表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
難易度ナイトメア! クズ勇者に嵌められた俺はついに本気を出すときがきた 悪役令嬢と塔を攻略しよう!  作者: 野良うさぎ(うさこ)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/29

塔へ行こう!

 濃密な緑の匂いがする森の中で、俺はレッドオーガを800ポイントで買った安物の刀で切り裂いた。


 遠距離からキングコボルトが弓で俺を狙いにつける。

 弓を放つ寸前に首が地面に落ちた。


 アリスの高速移動からの首切りだ。


 アリスはモフモフダンスをしている。


「きゅきゅ!!」


 49800ポイントで買ったうさぎ用魔術ローブセットを着ているから上機嫌だ!


「きゅい!」


 鳴きながら俺の後ろに視線を送るアリス。


 俺は後ろを見ずに即座に前転をする、身体の上に槍が通過した。

 振り向きざま100ポイントで買ったクナイを投げつける。

 ハイオークの目にクナイが刺さる。


「グルアアアアアアアア!!!!」


 ハイオークは猛り狂ったように槍を連続で突き出す。

 隙間を縫って、俺は刀で首を切り落とす。

 こいつで最後だ。


 戦闘が終了した。




 メイドがお菓子を食べながら拍手している。


「さすが私が見込んだだけあって飲み込みが早い。今日はこれぐらいにしてカフェで作戦会議兼晩ごはんだ、明日は5層ボス部屋に行くぞ」


 今のは4層の雑魚敵だ。

 モンスパで戦ったレッドオーガよりも一段劣る。種族は同じでも技の練度が低い。

 4層で初めてレッドオーガを見た時、俺たちは正直びびった。


 アリスいわく、キングコボルトやハイオークも上級魔物の分類でランクB~Aらしい。


 俺とアリスは生徒達の中でトップクラスだ。

 全力を出せば今の敵は瞬殺だ。だが継続交戦を考えると全力なんてとても出せない。

 1層からここまで来る間、殺したモンスターは200匹はくだらない。


 敵の強さもそうだが頻繁にモンスターが襲ってきて休まる暇が無い。昔のファミコンみたいだ……


 だがそれだけレベルも上がる。


「王学とカトリーヌは戦闘能力があるからまだ大丈夫だけど、うちの学校の生徒達は無理だろ……」


 1層にいたゴブリンでひたすらレベル上げるしか無い……。

 そのゴブリンも侮れない強さだ。


 もしくは寄生してレベル上げか。

 レベルを上げるための経験値みたいなものはパーティー単位で得られるらしい。

 と、メイドが言ってた。


 メイドは意外と面倒見が良い。

 朝8時に集合した訳は、カフェの限定モーニングを食べたかっただけらしい。

 そのあと俺たちは塔へ向かった。


 メイドは誰かから命令された訳ではなく、自分の意思で俺たちと一緒にいるみたいだ。


 1層で死ぬ人間が多すぎるから、NPCお助けキャラとして城内にいる住人が手助けをしてくれるらしい。高額なポイントを払えば老執事やチャラ男も戦ってくれるみたいだ。


 メイドは俺たちに何かを期待しているらしいが詳しくは教えてくれない。

 でも、一緒に塔の内部へ入って色々助言をしてくれる。

 情報が不足しているからかなり助かる。


 メイドいわく、この塔の内部構造は「3つの世界にあるどこかの場所をモチーフにして作られてる」らしい。

 今の層は王学を基準として作られている。


 王学のどこが基準になっているか? 

 アリスいわく、ここは王都周辺らしい。


 アリスの世界の王都周辺は、森と草原に囲まれていて、ダンジョン遺跡もあるらしい。

 非常に栄えた城下街もあり豊かな国らしい。

 アリスが少し悲しそうな顔をしていたので、そこまで詳しい事を聞かなかった。


 てっきり塔だから上がるものかと思っていたら違った。

 2層は王都近くに在る砦だった。砦の奥に転移する空間があった。そこから3層に行けた。


 アリスのタブレットがオートマッピングをしてくれる。そこにちゃんと3層と表示があった。


 3層は広大な草原と川があった。


 現在いる4層は森林である。


「本格的にゲームみたいになってきたな……」


 アリスは首をかしげてタブレットを出した。


『ゲームってなんでしょうか?』


「あ〜、城内の商店で300ポイントで売ってたな……後で教えてやるよ」


 ちなみにセガサータンとドリキャムしかなかった……





 というわけで4層から撤退することにした。

 俺たちは、城内に戻るまでモンスターを倒しながら、再びメイドの教えを受けていた。


「お前たちは何ができる? 自分の限界を知れ。敵を見誤るな。この世界で強者と戦う事は死を意味する。本当は看破か鑑定スキルがあればいいんだがな」


「LPは希少だ。バカみたいに死ぬと後悔するぞ。命は一つしかないと思え」


 俺のレベルは現在57。

 俺は道場で習った武術をベースに、剣と刀をメインに使っている。

 あと妙な力がある。

 アリスいわく魔術に近い力を感じられるみたいだ。

 それを使って爆散する剣と常時使える刀を生成できる。

 力の消費が激しいので、通常は安物の武器を使っている。

 あの黒刀惜しかったな……

 身体を回復する謎の光も使用できるな。


 勇者はスキルをつかっていたが、どうやって覚えるんだ?




 アリスのレベルは52。

 メインの武器は鋭い爪と風の魔術。

 魔術は初級と中級が使えるらしい。うさぎ転生前は様々な魔術を最上級まで使えたがうさぎになってから使えないらしい。

 その代わり鋭い爪と素早さを得られた。

 レベルアップで中級魔術を思い出したからそのうち思い出すだろう。


 メイドにもレベルを聞いたらなんと209!

 メインは体術だ。

 さっき手本でゴーレムを素手で粉々にしてくれた……

 マスタークラスを超える腕前だ。

 未だ名前は教えてくれない……

 外見は可愛いのに、喋るとハードボイルドな感じが少しカッコいい。




 帰り道、3層の草原を抜ける時にそれは飛んできた。


 順調だと思っていた。

 やはりナイトメアはナイトメアだ……


 青い鳥が飛んでくる。遠近法がおかしいのか……えらく大きいな……早い!


「きゅっ!!」


 急にアリスが俺の頭に飛びのる。

 タブレットを見せる。


『あれはブルードラゴン! ランクSSの魔物ですわ!』


『あれと比べたらレッドオーガなんてゴミムシですわ!』


 メイドが叫んだ!


「あれはランダムで出てくる強キャラモンスターだ!! SCMだ!! お前らじゃまだ勝てん!! 2層へ逃げろ!!」


 青い炎を口から吐き出しながら、草原のモンスターを焼き殺してこっちに向かって来る!


「レベル50近くで勝てないのかよ!」


 あいつを倒したらレベルアップ相当できるんだろうな……

 今は逃げよう。だがいつか俺の糧になれ。


 俺は笑いながらアリスを頭にのせて走った。


 強くなることを想像するのはとても楽しい。

 たとえ難易度がナイトメアでも、この世界では俺の心がとても晴れやかだ。


「アリス!! 強くなろうな!! お前を守れるぐらい強くなるぜ!」


 アリスも笑いながら俺の頭をポカポカ軽く叩いた。


「きゅきゅっきゅ!!」

『私もハルキ様と一緒に強くなって、誰にも負けない様にしますわ!!』


 俺たちは転移空間まで一目散にトンズラした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ