☆その2 銀の指輪(青く光る!)
「・・・先生なんですか。お若く見えますね。」
赤坂留依はほぼ棒読みで言った。
「でしょ?!ボクいつも中学生ぐらいに見られちゃうんだ~あはっ!
大人なのに可愛い可愛いって言われて困っちゃうよ!」
なんだかイラッとする小林ことコリンの笑顔・・・
女だったら絶対友達になれないタイプかもしれない。
この後に続くであろう会話の定石である、「先生おいくつなんですか?」とは、面倒くさくて聞かない留依。
「ん?いやいや、待って。
キミもよく見たら可愛いよ!
・・・いや可愛いは言い過ぎかもしれないけど、ん~、AKBにいそうな感じ?
ていうか、どうしてAKBにいるのか分からないけどメンバーの一員って感じ?あはっ!」
・・・今日はいつもより早く帰ろう、留依は心から超思う。
何か同レベルの皮肉を言い返そうと思ったが、如何せんコリンの顔は下手なジャニーズより可愛い。
茶色に近い髪の毛もサラサラ・・・剛毛がコンプレックスの留依には非常に目障りだった。
「あ、ペンシルも正規品使ってるんだ~」などと、コリンがまだ留依にからもうとしたので、留依はスッと席を立つ。
「トイレに行くんで」
横切ろうとした時、コリンも避けようとしたのか二人はぶつかってしまった。
コロン
軽い音が床から響く。
留依が見ると、指輪がクルクル床の上で回っていた。
どうやらぶつかった衝撃でコリンのポケットから落ちたらしい。
「これ・・・」
留依はかがんで指輪を拾った。
その指輪は銀色のリングで(シルバーかプラチナ?)、まんまるの綺麗な直径1センチぐらいの石が付いている。
宝石には全く詳しくない留依だが、おばあちゃんが持っていた「オパール」に似ているな、と思った。
ま、そんなことはどうでもいいので、落とし主のコリンに渡そうとする。
その時、留依の指先がその綺麗な石に触れた。
パーーーン
何かがはじけるような音。
「え?」
指輪から、青い石から光が溢れる。
「ラピュタか!」
オタク喪女・留依は1秒でそう思った。
机に座っていた3人の先輩は、なぜだか気付いていないようで振り向きもしない。
青い光はどんどん強くなっていく。この指輪をどうしたらいいものか、留依は慌てた。
「ちょっ、コリン先生、これは何ですか?!どうすればいいんですか?!」
しかしコリンは、その増幅される青い光を見てパチパチと手を叩いて喜んだ。
「おー!!こんなに強い反応は初めてだよ!
指輪、右手の中指にはめてみて!」
「嫌です!!」
留依はとっさに拒否した。絶対の絶対、よくない事が起こるに決まっている。
「はめないと、あちらに行く前にちぎれて死んじゃうけど。」
サッ
光よりも早く留依は指輪をはめた。とりあえずはめた。ちぎれるってなんだ。
指輪から放たれていた青い光は、スウッと溶けるように消えたかと思うと、今度は留依の体の中から光始めた。
「なに、これっ!コリン先生!!!!」
自分が発する声がおかしい。
ガラスの向こうからしゃべっているような、くぐもった声になっている。
コリンはそんな留依を見ることもなく、自分のポケットからもう一つ指輪を取り出して自分の指にはめた。
そんな姿も、どんどんぼやけて留依には見えなくなる・・・
(コリン・・・・・・・・)
最後にかろうじて見えたのは、ニコニコと手を振るコリンと、パソコン部の3人の先輩の無関心な後姿だった・・・。




