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8:クラウスの戦い(3)

「これからの対策を考えるために、敵の手に落ちている可能性が高い人を挙げていきたいんだが、いいか?」


 オレは、改めて皆に確認を取る。


「まずは、陛下だな。直接会ってはいないが、捕縛命令の印章は、オレも確認した。この偽造は難しいと思う。技術的に出来ないわけじゃないが、自殺行為だからな」


「そうですか? 今回の相手は、そういった常識が通じないようにも思えますが」


 ルイ先生は、相手の常識にとらわれない行動を、警戒しているようだ。


「確かにな。だが、偽物なら、騎馬隊は動かないだろう。ところで、オスカー隊長。……あの、オリバーって奴、知ってるか?」


 あいつの顔を思い出すと、まだむかつくが、それを抑えて、1番詳しいだろうと思って、ザリア防衛隊のオスカーに尋ねる。


「そうですね。名前は聞いたことがあります。騎馬隊の中では、割と身分が高いので、それを振りかざして無理を通しているとか。あとは、第1隊長になれないことに不満があるとか、そんな話でしたね」


 オスカーは、知っている情報を話すと、ふと、疑問を口にした。


「……そういえば、陛下の命令なのに、第3隊長が来るというのは、妙ですね。……もしかすると、騎馬隊内部でも、今回の件については、一枚岩ではないのかもしれません」


「ふむ……危険もあるが、第1、第2騎馬隊は、接触する価値があるかもな。だが、とりあえず、陛下と、第3騎馬隊は、敵の手に落ちているものとして、考えよう」


「それから、ロラン殿下も危険ですね」


 ルイ先生が、付け足してくる。


「ロラン殿下だと?! ……お嬢様が、やっとあれだけの信頼関係を築いたのに、ルイ先生は、敵だと言うのか?」


 お嬢様の気持ちを考えれば、辛すぎる。思わず、ルイ先生に、強く反論する。


「お嬢様にとっては、厳しい話かもしれませんが……アメリア嬢との接触が多いのは、事実ですよね」


 ルイ先生に冷静に返され、しぶしぶ頷く。


「魔法特性上、接触が多ければ、危険が高まります。今回、助けを求めるのは、リスクが高いかと」


「わかった。……レオノール様はどうだ? 逆に、アメリアとは距離を置いていたと思うが」


「レオノール様には、接触したいですね。ウィンザー公爵家の名前をお借りできれば、かなりの力になります」


 ルイ先生も同意する。


「よし! じゃあ、レオノール様と、王都騎馬隊第1隊長に協力を願おう。レオノール様のほうは、エドワード様とルイ先生に頼めるか?」


「……僕でも、役に立てる?」


 エドワード様は、不安そうに聞いてくるが、確信を持って答える。


「もちろんだ。エドワード様は、現状、ザリア領の領主代理として、王都に申請してある。レオノール様と連名で、正式な訴状を作って、正面から抗議して欲しい。これは、エドワード様にしか出来ないことだ。……任せていいか?」


 エドワード様は、オレの目を見て、真剣に頷く。


「王都騎馬隊第1隊長への接触は、オレとオスカー隊長だな。それから、ザリア防衛隊だが、……最悪の場合、お嬢様を奪還した後、ザリア家に篭城することになるかもしれん」


 考えたくはないが、可能性はある。


「精鋭は、エドワード様とルイ先生のほう、それからオレたちに頼む。残りのメンバーは、ザリア家の使用人たちと協力して、篭城に備えた準備を頼む。そんなところでいいか?」


 皆が頷くのを見て、気合いを入れて言った。


「よし! じゃあ、行動開始だ。ルクレツィアお嬢様を助けるぞ!」


 上手くいくかは全く見えないが、進むしかない。全員、出来ることをするために、立ち上がった。

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