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「ね、これ、どういうこと?」
ここは、教会内部の奥の部屋、歩いている途中で見つけた神父さまに案内してもらい、さっそく、判定の水晶とやらに、手をかざしているところだ。
力を込めたり、念を送ってみたり、先ほどから、うんうんと頑張っているが、なんの変化も見られない。……いや、じっと見ていると、なにか変わった気もしてきた先ほどより、白く濁ってきただろうか。
「白くなったかも……どう?」
神父さまに、聞いてみるが、首を振られた。
(だから、才能が無いと言っただろう?)
グリューは、時間の無駄だったと言わんばかりに、ため息をつきながら言った。
「ちょっと、待ってよ。判定の水晶が反応しないだけで、もうダメなの? 訓練したら、変わるかもしれないじゃない」
納得できない気持ちで、そう反論する。
「最初にこの水晶で反応しなくて、努力で魔法が使えるようになった話は、聞いたことがないですね。……まあ、魔法が使える人の方が珍しい訳ですし、そう残念がらず、諦めて他の方法を探しましょう」
クラウスは、さっそく切り替えて、話を進める。
「……この水晶が壊れてないのか、知りたいわ。クラウス、あなたも試してみて?」
「……無理だと思いますけどね」
納得できない気持ちが収まらず、クラウスに、そう提案すると、気が乗らなそうにしながらも、手をかざしてくれた。
「……ほら。魔法が使える人のほうが珍しいって言ったでしょう」
クラウスは、一向に変化が無い水晶を見て、がっかりする訳でもなく、そう言った。
「反応すると、どうなるのか知りたいわね……グリュー?」
(壊れても、知らんぞ)
グリューを振り返ると、グリューは、そう言いながら、水晶に、ぽんと手を乗せる。
途端に、判定の水晶が、美しい黄金色に輝き出した。かなり強い光が明滅しだして、水晶が細かく振動している。
「もういいわ! グリュー、ありがとう」
慌てて、そう言った。グリューが、手を離すと、水晶は、少しずつ光を弱め、やがて最初の白濁した色に戻ると大人しくなった。
「壊れてないことは、証明できましたね」
「……そうね。綺麗な黄金色だったわ」
クラウスに言われ、しぶしぶ水晶の性能を認めた。
(属性の色が出るようだな。正確には、黄色だろう。地属性の色だ)
グリューが、色について教えてくれた。
「そうなのね。……あの、アメリアは、何色に光ったのですか?」
「アメリアさまは、白ですね。光属性の、特別な方ですから」
先ほどから、静かに控えていた神父さまに聞いてみると、やや自慢げに教えてくれた。
「やっぱり、主人公って、凄いわね……」
同じ土俵で戦える気がしない。悪役令嬢では、やはり特別な力を持つことは叶わないのだろうか。がっかりしながら、呟く。
「いやいや、グリフォンを従えるお嬢様も、たいがい、おかしいですよ」
クラウスは、呆れ顔で、呟きに答えた。




