表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/66

16

「……もういいわ。あら、お父様」


 クラウスと話をしていると、お父様がやってきた。


「ここにいたのか。探したぞ」


 お父様の後ろに何人か見える。


「そちらのお客様は?」


「ウインザー公の嫡男、レオノール子爵だ。それから、こちらが、お前の家庭教師として呼んだルイ先生と、今度、この家に来ることになった弟のエドワードだ。仲良くするようにな」


 レオノール子爵は、赤みがかった長めの前髪を、時折サラサラとかきあげている。普通なら嫌味になりそうだが、本当にかっこいいと違うらしい。たまに見える眼の色は、暗めの赤、かな?年は、18歳だった気がする。


 ロラン王子以外は、必要があるときしか攻略してないので、記憶も曖昧だ。


「レオノールです。ごきげんよう、ルクレツィアさま」


 レオノール子爵は、爽やかに紳士の礼をする。その所作はいちいち様になっていて、なるほど、女性に人気というのも頷ける。


「ごきげんよう、レオノールさま」


 こちらも、なんとか淑女らしい礼を返す。


「婚約者候補ということだから、これから仲良くしようね。私のことは親しみを込めて、レオと呼んで?それから、私もルーと呼びたいな」


 笑顔で続けられた。


「……もちろんですわ。レオさま」


 正直、微妙だが、相手は格上。とりあえず希望に従い笑顔で返す。


「ありがとう、ルー。これから、よろしくね」


 笑顔で机に陣取ると、出された紅茶を優雅に飲み始めた。

 ……笑顔は優しいが、これはなかなか手強そうだ。


「ごきげんよう、ルクレツィアさま。家庭教師のルイです」


 話が一段落(いちだんらく)ついたと判断したのか、家庭教師のルイ先生が、挨拶してきた。アッシュグレーの長い髪を後ろで束ねている。眼鏡の奥の眼の色は、薄いグレー。


 厳しそうだが、攻略対象だけあって、やはり綺麗な顔立ちだ。


「ごきげんよう、ルイ先生。これからよろしくお願いいたします」


 こちらもなんとか礼を返すが、ルイ先生は目を細めて言った。


「……所作については、後ほど勉強しましょう。ザリア伯爵からは、どこに出しても恥ずかしくないように、淑女としてのマナーと知識を与えるように、と言われております」


 ……笑顔がなくて怖い。


「よろしくお願いいたします」


「それから、新しく来たエドワードさまにも、全ての教育を同じようにするように、と同じくザリア伯爵から言い付かっております。エドワードさま、挨拶を」


 ルイ先生に促され、エドワードが、たどたどしく礼をする。


「エドワードです。ご、ごきげんよう、ルクレツィアさま」


 ……可愛い! エドワードは、確か12歳。まだまだ、幼さが残っているが、栗色の髪に、栗色の眼が綺麗。今後が期待できる美少年だ。


「ごきげんよう、エドワードさま。新しい環境で不安なこともありましょう、なんでも相談してくださいね」


自然と笑顔になる。


「あ、あの! 僕も、エドと呼んでください。あと、ルーさまとお呼びしたいです」


「もちろんですわ。エドさま」


「ただ、エド、と」


「では、私のことも、ルーで構いませんよ」


 可愛いなあ……仔犬みたい。思わず、頭をなでなでしてしまった。


「あ、あの……ルー、僕も婚約者候補です! 子供扱いはしないでください!」


 怒られた。


 ロラン王子のことばかり考えていて、すっかり油断していたが、ゲームの主人公、アメリアの攻略対象が、全員登場だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ