告白
ルーラ・・・
ルーラに自分勝手なお願いをしてから数日後。
傷もほぼ癒えた俺はルーラとともに旅支度をしていた。
「なあ、ルーラ。」
「なんでしょうか、ウタイ様?」
そんな中で俺は家では変身魔法をといていつものウサミミ姿のルーラに最後の確認とばかりに聞いてみる。
「本当にいいんだな?俺と一緒で。」
「はい。私はウタイ様と一緒に行きます。行きたいです。」
迷いなく答えるルーラ。
確固たる意思を示すルーラにたいしてやはり俺は女々しくも同じようなことを聞いてしまう。
「俺と一緒だとルーラは傷つくかもしれない。だったら・・・」
「ウタイ様。」
俺の言葉を遮り、ルーラは俺を見つめて言った。
「ウタイ様が私を気遣ってくださるのはとてもうれしいです。ですが、私はあなたの側にずっといたい。これから先もあなたとともに。たとえあなたが私を捨てたとしても私はあなたと一緒にいたい。どうか私のわがままをお訊きください。」
「ルーラ・・・」
俺がルーラを捨てることなどあり得ないが、ルーラはそこまで思ってくれていた。
だったら俺はそれに答えなきゃだめだ。
「今さらこんなこと聞いて悪かった。あと、ありがとうルーラ。これからもよろしくな。」
「はい!」
満面の笑みで答えるルーラ。
不思議とそんな表情みていると胸が締めつけられるような甘酸っぱい、もどかしい感情が沸いてくる。
目をそらそうとしてきたが、そろそろ限界だろう。
多分俺は・・・。
「ウタイ様?」
そんな俺の変化に不思議そうな表情のルーラ。
俺はとっさになんでもないと言おうとしてから少し考えてルーラに聞いてみる。
「なあ、ルーラは恋ってしたことあるか?」
「ふぇぇぇ・・・!」
唐突な俺の質問に真っ赤な顔をするルーラ。
「ああ、悪かった。他意はないんだ。ちょっと知りたくてな。」
「そ、そうですか。えっと・・・」
ルーラは少し赤くした顔を俯かせて頷く動きをと。
「それってどんな感じなんだ?」
「え、えっとですね・・・」
唸りながらも一生懸命考えるルーラ。
「その人のことを片時も忘れられなくて、寝ても覚めてもその人のことばかり考えてしまいます。」
「ほうほう。」
「あと、その人のちょっとした仕草や表情にドキッとしたり一緒にいて楽しかったり、あとは・・・」
「あとは?」
ルーラはそこでうつむいてた顔をあげてこちらを潤んだ瞳で見つめてきた。
「その人の全部が欲しくて、その人に全部私をあげたい。苦しんでいたら助けたいし、それがむりなら苦しみを分かち合って一緒にずっと一緒にいたい。そう・・・思います・・・。」
後半は消え入りそうな声だったが確かに聞こえた言葉。
そこで俺は確信した。
「ああーそっか。俺はルーラが好きなのか。」
「えっ!」
「あっ・・・」
思わず口に出していたらしいセリフ。
とっさにどうしようかなーと考えつつもこの際なのでルーラに本音を話す。
「ルーラ。」
「は、はい・・・!」
ルーラはさっきの俺の台詞で顔が真っ赤になっていた。
そんなルーラに俺は言った。
「俺はルーラが好きだ。」
「ウタイ様・・・。」
「命を救われたからだけじゃなくて、俺のために怒ったり悲しんだりしてくれたことも、そして多分ルーラの全部が好きだ。」
言えば関係はプラスにしろマイナスにしろかわってしまう。それでも俺は言う。
「そのウサミミもしっぽもルーラの優しいところもルーラの隠しているまだ見たことがないところも全てが愛おしい。」
ルーラは黙って聞いている。
「最近ルーラを見ていて胸が締めつけられるような感覚を感じていたんだ。何でかは今ルーラの話を聞いてい分かった。」
怖いという気持ちもある。だけど止まらなかった。
「ルーラがひたすら愛おしいからだ。そして俺はルーラとずっと一緒にいたい。今の不確かな関係だけじゃなくて確かな形として。」
明確な形として。
「だから・・・・」
俺は最後の言葉を言う。
「俺と恋人に・・・ゆくゆくは夫婦になって欲しい。」
言い切った。思いの丈をぶつけた。
普通に考えれば重い台詞。ひかれてしまうかもしれないし、嫌われてしまうかもしれない。
それでも止まらなかった。
一度溢れてしまったものは止めようがなかった。
「ウタイ様・・・。」
そこでルーラはようやく言葉を発した。
そしてそのままこちらに歩み寄り
「ん・・・・!」
「む・・・・・!!」
俺の唇を自身の唇でふさいだ。
つまりはキスされた。
一瞬の時間が何時間にも感じる。
やがてお互いの唇が離れていく。
「ル、ルーラ?」
「うれしいです!うれしいです!」
大きな声で涙を目にためながらルーラは俺に抱きついた。
「わ、私怖かったんです。ウタイ様がほんとは私をどう思っているのか・・・。わ、私、兎人族だし、それにウタイ様は次の王女様の婚約者だと聞いていたので・・・」
「ルーラ・・・・」
ルーラはそんなに不安に思っていたのだろう。確かに前は次期王女のマリンと婚約という話もあったが、俺が反逆者扱いされたことでそれは消えただろう。
俺はルーラの肩に手をおき、もう一度こちらを向かせてそしてキスをした。
「ウタイ様・・・。」
「不安にさせてごめんな。」
「いえ、私は・・・」
何かをいいかけるルーラに俺は人さし指を唇にあてて待ったをかける。
「だからはっきりと言おう。俺はルーラが好きだ。」
「はい・・・!」
「俺と恋人に・・・家族になってくれルーラ。」
俺はルーラにもう一度同じことをきく。
ルーラは涙目でこちらをみながら精一杯の笑顔で返事をした。
「・・・・はい!ウタイ様!」
そうして俺とルーラは晴れて恋人同士になった。
このあと何があったのかは大人の事情とだけ言っておく。
俺とルーラは朝まで二人でお互いを確めあった。