運命の出会い
別で異世界物を書いてますが、こっちも書きたくなったので書いていってみます。気に入ってもらえる方が少しでもいればうれしいです。
身体中が痛い。
全身傷だらけで正直立ってるのも辛い。歩くと全身が悲鳴をあげて今にも意識をなくしそうだ。
どうしてこうなった。
いや、もちろんアニメとか漫画とかでも最近流行りの異世界物ならあり得た可能性だ。
俺、蓑宮謳は現世で平凡な高校生だったが、異世界にとばされて、魔王を倒した。
そして、召喚主である王女様のところに戻ったら何故か反逆者扱いされて、そして今必死に森を逃げている。
「ちくしょう・・・」
自然とそんな言葉が口をさく。
勝手に呼び出して、役目が終わったら即ぽいとか酷すぎるだろ。
どれだけ悪態をつこうが現実は変わらない。
段々と失われていく体力と身体中の傷で意識も遠退く。もう、たっていることが出来ず俺は近くの木に寄りかかる。
「これで終わるのか・・・」
思えば理不尽な人生だったな。そんな感傷に浸りながら俺は徐々に遠退く意識の中で願った。
(あーあ。どうせなら夢にまでみたウサミミの獣人に会って見たかったな。)
この世界には獣人はいたけどウサミミはいなかった。
だからウサミミ好きな俺はそう願った。
「あの?大丈夫ですか?」
そんなことを考えていたら誰かが声をかけてきた。
若い女の子の声だ。
「ちょっとヤバいかな。それより君は早く俺から離れるか、もしくは俺が死んだと王国にでも報告してくれるかな?」
もう目が開かないので俺はそんな返事をした。
「なんでですか?」
女の子は不思議そうな声で聴く。
「知らないのかい?俺はこの世界で反逆者扱いされてる勇者だよ。だから俺が死んだと伝えればそれこそ王国からお金がもらえるよ。もしくは面倒事が嫌なら早く離れないとややこしいことになるよ。」
喋るのはつらいが、最後に人と話せるなら多少は我慢できたので俺は女の子に親切心で言った。だが、
「なら、早く手当てをしますね。」
予想外の返しに驚く。
「聞いてなかったのか?俺は反逆者の勇者だとさっき・・・。」
「だからこそですよ。」
女の子は静かに言った。
「あなたに助けてもらったからこそ私はあなたを信じて助けます。勇者様。」
そんなことを言われたら今まで抑えていた心が溢れて、俺は久しぶりに涙を流した。
温かい光が体をつつむ。どうやら回復の魔法のようだ。
目が見えてきて女の子の方を向く。するとそこには・・・
「ウサミミの天使・・・。」
これが、俺、蓑宮謳とウサミミ少女の運命の出会いだった。