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成人の儀式

精霊に守られていると言われる国アリル。

この王国では14才から成人であり、成人する時に精霊から武器を受け取るという昔からの伝統がある。

強い武器を受け取れるかは精霊次第だが、受け取る武器によって将来が変わるのだ。

強い武器を受け取れば騎士や兵士に、てんびんやそろばん、時計などの商売道具であれば商人に、くわなどの農業の道具であれば農家になる。

1度受け取ればもう変えることもできない。

だからか成人の儀式のときはみんなそれぞれの夢や希望を持って祈る。




そんな成人の儀式は今、神殿の中で行われている。

白い艶やかな大理石でできた柱は8本あり、白い大理石の床に描かれている複雑な魔方陣を囲むように建てられている。

大理石は魔方陣の光を反射し、美しく幻想的な場を作り出している。

これから成人の儀式を迎える子供たちの多くは、この幻想的だが重みを感じる場にのみ込まれそうになっていた。




長く白いひげに、装飾がたくさんついているローブを着た老人、神殿長はそんな空気を打ち破るように魔方陣の横に立ち、名前を呼ぶ。

「シェリア・エイリーン」

そう呼ぶと、「はい」と1人の少女が返事をし、静かに立った。

薄い茶色の髪は紅茶にミルクを入れたような、そんな甘い色で2つに緩く編み込んであり、薄いラベンダー色の大きな瞳は少し垂れ目だが、緊張してるからか少し強ばっている。

肌は白く頬は桃色、小さな唇も桃色と、整っているが愛らしい顔立ちをしている。

着ているものは白い質素なワンピースだが、彼女が着るとなぜか絵になる。

そんな彼女は魔方陣の上に立った。

たくさんの白く丸い光、精霊が彼女を取り囲んだ。

精霊は淡く発光し始めた。

しばらくたつと光は止み、彼女の目の前には2つの剣が置いてあった。




その2つの剣は同じデザインをしていた。

紋様が刻まれている刃は白銀に淡く光り、持ち手は黒に塗られ、持ち手の先には親指の爪ほどの大きさの金剛石がつけられている。

どうやら双剣のようだ。

「なんてことだ!これは王国に報告せねば!」

そう驚いた神殿長は叫ぶように言い、神殿から出ようとしたが、兵士らしき人物に止められ、こちらに戻ってきた。

そして成人の儀式が再開された。

武器を抱え、魔方陣から降りた少女シェリアは、誰にも聞こえないとても小さな声で呟いた。

「面倒くさいことになったな~…」




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