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他は全部おかしい。
人の言葉を解し、話している。
身体は丸いどころか球体であり、首も肩も区別がない。
顔兼胴と形容するほかないその身体の下方には、短い足が四本、ちょこんとついていた。
いや本当に、生えているというより付いている、という表現が適切なのだ。
重量のありそうな球体の身体を、小指の先ほどの四つ足で支えているとは、とても思えない。
何よりおかしいのは、その巨大すぎる眼球だ。
全体の大きさがバスケットボールほどであるというのに、目が顔面?の三分の二を占めている。
これがたぬき?
そんなはずない。