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お定まりの罵声を浴びせ、便所の濡れたタイルに突き倒し、とどめとばかりに冷水をぶっかけて、奴らは少女らしい高い笑い声を響かせて去っていった。
私は女子トイレの床に倒れたまま、奴らの笑声が聞こえなくなるまでこのままでいようと、薄汚れ濡れたタイルを見つめながら思った。
別段変事というわけでない。
これは日常の風景だった。
奴らは私をいじめるのが日課だったし、私が反抗も反論もしないこともまた平常だった。
いわゆる学習性無気力、というヤツだ。
小中高といじめられてきて、何度反抗しても状況は良くならなかったのだから、「どうせ何しても無駄」と無気力になるのも無理はない。