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これが私の延命措置  作者: 回転金魚
私の逃走
5/20

5

「あーあ、やっぱり、こんなことになったね」


自分を追っている大狼の声とは明らかに違う、愛らしくコロコロとした子供の声に、嘉埜は顔を上げた。


緑色の大きな一ツ目に、泥でぐしゃぐしゃになった嘉埜の顔が映っているのが見える。



「てめえどこ行ってやがった……」

嘉埜には、涙声でその一言を返すのがやっとだった。



「どこだっていいじゃないか」

一ツ目は、嘉埜の様子など気にも留めずに、浮世の苦労など一つも知らぬという風で答えた。

「それとも何かな? 僕がいなくて寂しかったかい?」



もし生きて家に帰れたらサッカーボールのように蹴り飛ばしてやろう。

嘉埜はひっそりと心に決めた。



「さて、どうするのかな、嘉埜?

奴はもうすぐに追いついてくるよ。

あまり迷っている暇もないんじゃないかい」


「どうしたらいい、私は……」


「うん? それは……奴に殺されないようにするにはどうすればいい?

って意味かな?」


時間がないと言っておきながら、態と勿体つけた話し方をする一ツ目への苛立ちを抑えつつ、嘉埜は頷いた。


「ここまできたら、選択肢は絞られているだろう?

仮に逃げおおせたって、明日になればまた教室で顔を合わせるわけだし……」


一ツ目は困ったふうにそう言うと、ふさふさした尻尾を揺らして嘉埜の顔のすぐ横へ駆け寄った。


「今の君に僕が提案できるプランは二つだよ。

奴を殺すか、自殺スーサイドか。

君はどうしたい? どっちを選ぶ?」

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