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6

ヒュッと風切り音と共に宙をまった黄色い花弁のような物に、目を奪われて足を止めた。



花弁にしては厚みがある。

あれ、この色、毎日見てるような……そうだ、制服のスカーフの――



導き出された答えにゾッとして風切り音がした方向から離れたのと、二撃目が放たれたのは、ほぼ同時だった。



また手応えのない音がして、何が空を切ったのかと振り返った私の目に映ったのは、窓から差し込む夕陽を受けて冷たく輝くサバイバルナイフを構えた男の――大狼仁の姿だった。


「二回も外したか……お前も悪運の強い女だよな」

大狼仁は、ナイフを構えまま、その冷酷な感じのする薄い唇で笑って見せた。

「次は逃げんなよ、クソ女」



事態が掴めずに、呆然と奴の顔と握られたナイフとを見る。



「どうした? 怖くて声も出ないか?」


いや、まったくその通りだけど。


でもこの状況を怖がらない奴がいたら、そいつは精神に何か重大な問題を抱えている。



「な……に、何してんです……か?」

慎重に、言葉を選んで話しかける。

「さすがに、傷害罪で逮捕ですよ……?」

相手を刺激しないように、慎重に。



「それが、そうでもないみたいなんだよなあ」

大狼は余裕だった。猫が追い詰めた獲物で遊ぶみたいに。

「魔法ってモンがあるって、気づいたんだよ。最近」



あ、こいつ、頭おかしい。


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