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来るべき世界  作者: うらじろ
第一部 老人異世界へ行く
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2.日常の亜人2

 相変わらず引き篭もっています。


 親が残した遺産?というか僅かな貯金を相続して、食いつぶしながら生活しています。


 住んでいる家は築50年ほどのあばら家です。庭付きの一戸建てで、かつて庭だったところは草ボーボーなので近所からも苦情がありました。最近は近所も空き家が目立つようになりました。


 シャッター商店街という言葉がありましたが、ついに一軒家も住む者なく朽ちていくことになり、いずれ周辺が無人になりそうです。


 先日、ドワーフ事件以来外に出るのも嫌になりました。少しだけ調べてみたら色々と事件が頻発しているようです。


 スーパーに設置してあるテレビを気にして観ていましたが、こういったことはまったく報道されていません。図書館で新聞も閲覧してみましたが、扱われていませんでした。


 ネットにはわんさかこの話題で溢れてはいるのです。ただ憶測みたいなものばかりで真実はわかりませんでした。証拠と言われる【画像あり】とか【証言】とか謳ってあるものも、加工と本物の区別が出来なくて、証言もどこぞの教授とか言われてもなぁ・・・おしなべて言い争いの羅列でしかありません。


 もっともらしい解説に、なるほどと唸っていると、反論を見るとそれにも頷ける。まったく嘆かわしい自分に呆れています。


 それはさて置き、物価の高騰による生活の逼迫問題です。


 衣と居はなんとかなっても、食だけはなんともなりません。


 庭を開墾して農作物でも作るか・・・なんて無理に決まっています。死ぬほどの重労働だと思います。知識もハンパなく必要です。すぐに収穫できるものでもありません。すべてがうまく育って実がなるはずもありません。こんなことが出来るのなら、引き篭もってるはずもないのです。


 食べないで生きていけないものだろうか・・・


 中古の本屋で『食べられる野草』とかいう図鑑みたいなのを百円で手に入れた。農業が無理なら自然にあるものを食べようという計画だ。


 タンポポなんかは食べられるのは有名だが、和食の飾りに使ってるのはタンポポではない。あれは菊なのだ。以外に知らない人が多い。


 けっこう食べられる雑草は多い。ナズナやヨモギなんかスーパーでも売ってるくらいだが、認識は雑草なんです。オオバコなんてたくさん見かけるし漢方薬にもなる。いかにも雑草っぽいのも特徴で、踏みつけられて他の雑草が駆逐されても生息している。路上の王者なのだ。


 なんか将来の展望が明るく見えてきたような気がする。


 日課として、庭の食べられない雑草を引っこ抜いている。立派な畑になってくれ。


 あとは昆虫なんかを食べられるようになれれば完璧なんだが・・・さすがに無理でした。葉っぱでも毒々しい色のは食えなかった。なぜ豚や牛は食べれる・・・たぶん解体現場なんか見たら食べられなくなるんじゃないか。それを克服して、食べられるようになれば、虫でもいけるような気がする。


 しかし絶対食べてはいけないものもあったりするのは怖い。まぁフグみたいなのはどうせ食べないからいいものの、食べる時期や部位に致死性の毒があるやつがある。道草ていどなら大丈夫だとは思う。


 みんなが食べてればいけるかも・・・。無理かな・・・。







 裏の空き家で夜遅くに物音がするようになった。


 俺はビビリなんで、なかなか確認にいくことができないでいたが、とりあえず明るい昼間に覗いてみることにした。


 それはもう慎重すぎるほどだった。裏の家に面している部屋で、ずーっと一日過ごした。昼間は物音がしなくて夜になると、カサコソと断続的に音がしていた。


 朝になって遠目で動きがないことを、小一時間じっと見ていた。


 少しずつ近寄っていき、音を立てないように扉を開け・・・ガラガラ・・・うっ!大きな音を立ててしまった。昔ながらの玄関スライド扉だった。音が出るように出来ている。


 しばらくその場で硬直していたが、何も出てこないし音もしないので奥へと進んだ。


 どうにも空き家とはいえ、土足で上がるのもなんだかなぁと思いながら、脱いだら逃げられないという思いが強かった。犯人が車で逃げていくのに、いちいちシートベルトをしている刑事ドラマとか、なぜかいちいちエンジンを停止して、ゾンビから逃げるときに始動するけど、なかなか掛からないみたいな、まったくわけがわからんみたいな、そんな心境だと思う(違うか?)


 廊下を歩きながら、いやもう音なんかギシギシと、廊下が鳴って気にすることすら無用だった。


 突き当たりの和室にそれは居た。


 紙屑や空のペットボトルが散乱した中に、横向きに蹲る少女。


 お尻から生えた短い尻尾が力なく、クネッと畳みの上に伸びている。


 それ以外は普通に人間だった、いや頭に耳があった。


 多少毛深いのかな・・・なんで裸なのかは知らない。


 うーん、ドワーフじゃないのも居るんだね。



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