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85話

「あ、結崎君、出てはいけません!」


 俺の姿を見た瞬間、あーやが大きく手を振った。


 だがその言葉の意味を理解するより先に、騒いでいる生徒たちが一斉に俺を見た。


「おぉ君は結崎流斗君じゃないか! 噂はかねがね聞いているよ!」

「鋭い洞察力に、豊富な知識!」

「優れた語学力に、腕っ節の強さ!」

「まさに探偵の器! 彼以上に相応しい相手がいるだろうか? いやいない!」


 反語がうざい。言い回しも芝居がかって、全体的に関わりたくないオーラがする。


「ここに探偵部なんてあったのか?」


 生徒たちの沈静化を諦めたあーやが、傍に来たので尋ねる。


 あれからあーやとは、以前とは変わらない関係を続ける、という契約を結んだ。契約というのはつまり、未だあーやの中で俺の事の整理がついていないということだ。


 それでもこの『契約』というところに、あーやなりの確固たる意思が見える気がした。


「あれは彼らの自称で、実態は推理小説同好会です。分室の活動が探偵活動に似ていることから、毎回何かにかこつけて分室に勝負を挑んでいるのです」


「なんだそれ。あいつらも分室の一員になりゃ、そんなことしないで済むだろ」


「元は実力不足で分室の初期研修で落ちてしまった人々により生まれた組織なので、昔から相容れない仲であると聞いています」


 それで力比べ、というか知恵比べの勝負を申し込んでいる訳か。


「おいおい、それってただの逆恨――」


「影宮! 今回は彼に決めた! 異論は無いな!」


 いやー無駄にタイミングよく言葉被せてきたなーこの人。


「うんいいよ」


「おいこら待て。俺は夕飯のメニューじゃねえんだ。そんな軽く決めるな」


 見間違いか、隣に立つ室長がゲスな表情をしている。さっきので恨みでも買ったか。


「知恵比べだから楽しめると思うよ?」


「知恵比べって言葉を使えば俺が食いつくと思ったか? 残念だが俺はグルメなんだよ」


 知恵比べ、と言われて少しウズウズするが、何でも来いというわけではない。難攻不落の豪邸と、何の危機意識もない田舎の家を相手にするのでは、やる気が段違いだ。


「じゃあ明日休――」


「望むところだ! さぁ来い!」


「はぁ……その変わり身の速さは見習いたくありません」


 なんとでも言えば良い。そんなことより休みが欲しい年頃なんだよ。


「んで、実際何をやるんだ? 知恵比べってことは何か問題があるって事だよな?」


「うむ! その心意気やよし! それでは早速、君には我ら探偵部による、『百問耐久レース』へと挑んでもらう! 制限時間はなんと、今日の二十六時までだッ!」


「………………………………………………やっぱ明日も出勤するわ、俺」


「引き受けたのなら、最後まで責任を持ちなさい」


「ふざけんなよ! こんな話聞いてねぇよッ! なんでそんな深夜まで付き合わんきゃならねえんだよ! しかも俺一人で百問もやんのかよ!?」


「冷静さを欠いて、聞かなかった君が悪い。休日に思わず飛びついた自分を恨むんだね」


「なるほど、結崎君の少しお調子者のところにつけこむ。勉強になります」


 いやいやあーやさん、そんなところ勉強しないでください、マジで。


「ハーハッハッハー。事態は自分の思った通りには進まないものだ! 悪いが我々は先ほど三時間の仮眠を経ているため、集中力に関しては申し分ないのだ!」


「清清しいほどに腹立たしいなこいつら……おい周防! 俺の代わりにこいつらの相手を………………おい、お前なんでそっち側にいるんだ?」


 どさくさに紛れていたがよく見てみると、探偵部の一員の中に周防の姿があった。


「最近お前ばかり良いとこ取りをしていて、俺の出番が少なくなっている気がしてな。この波にあえて乗らせてもらうことにした」


「出番が無いのは元からだろ?」


「………………では第一問だ! さぁ結崎! 心して聞くが良い!」


 あぁそうですか、自分が不利な質問はスルーですか。事態の悪さを嘆いても何も好転しない事はよく理解しているが、これは訴訟も辞さない。


 ギルドがなくなっても、ここには問題を起こす面倒な輩が大量にいるのだ。


「結崎君?」


 隣に立つあーやが、ジト目で俺のことを見てくる。疑いの眼差しである。


 分かった、分かったよ。やればいいんだろ。


 そんな風に見られれば、やるしかない。


 やると言った、責任は取るさ。


「いいだろう。それじゃあお前らに、真実ってものを見せてやる」

天才怪盗の社会奉仕、いかがでしたでしょうか。後半に差し掛かり加筆しよう、という欲が出て更新速度が遅れてしまい申し訳ありませんでした。


映画や小説を読んでいて、「騙された」や「そこ伏線だったのか」という展開が好きで、自分でもやってみようと思い立って書き始めた作品でした。それが上手く引き出せていたかは分かりませんが、それぞれの事件や各登場人物に対して、そういった思いを抱いていただけていたら嬉しく思います。


これにて一先ず完結になります。続編の構想について、夏休みの出来事を少し書いていこうと思いますので、しばらくお待ちください。


よろしければ簡単でも良いので御意見、御感想、辛口コメントなどの評価をいただけたら嬉しく思います。

最後になりますが、流斗たちの物語を最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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