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天才怪盗の社会奉仕  作者: ハルサメ
ミネルヴァの梟、堕ちる
68/131

68話

 上履きと外履きの盗難。下駄箱に汚物。教室を離れるたびに机はひっくり返り、教科書が散在。廊下ですれ違えば舌打ち。授業中に物を投げられる。班別活動なんてのはいないものとして扱われる。


 以上が一週間で体験した、俺への陰湿な嫌がらせである。


 おかげで上履きは持ち帰ることを覚えたし、靴もなくなっても良いように外履きは安物に変えた。鞄も教科書も常に持ち歩くようにした。下駄箱と机はどうしようもなかった。


 嫌がらせはそこまでやるか、と言いたいほどのものであり、四日目の下駄箱には蛙の死体も入っていた。


 俺が犯罪歴を認めたことで、状況は一変した。生徒たちはまるで口裏を合わせたかのようにあれやこれやを画策し、俺を排除しようと動き始めた。


 どうやら、結崎流斗は司法取引を行ってこの学園に保護観察処分の身として通っている、というシナリオが出回っているようだ。ほとんど当たっているだけに異議を述べるつもりはなく、そして一般人でも想像しやすいシナリオだけに、俺を犯罪者とする見方が更に強まった。


 犯罪者に対してなら何をしてもいい。あたかも自分たちが罰を与えているような優越感に浸っているのか、傍から見てその行為には一切の迷いが無い。


 そして腕っ節では勝てないと分かっているからか、直接危害を加えるような事はなく、間接的に精神を追い詰める手段が用いられている。


 どうやら中心となって俺を標的にする者が現れたらしい。以前食堂で問題を起こし、俺に撃退された柔道部。彼らがリーダーとなり、色々と俺に災難をふりかけている。ギルドの後ろ盾もあって、今では学園での権力も相当高いようだ。


『もう僕には君を庇うことはできない』


 室長はそう言って、俺から手を引いた。悩まず、俺は分室のバッチを室長へと返した。


 この事態は完全に俺が招いた事態だ。西城と白鳥部長を餌にするという、支倉の挑発に乗ってしまった結果だ。


 あれから西城も白鳥部長も、廊下ですれ違っても目を合わせようとしない。当然だ。今の俺と交遊を持てば、それだけで迫害される。そのリスクを冒してまで俺に関わるというのなら、それはお人よしではなく単なるバカだ。


 確かに少し風当たりが悪くなったが、何も変わらない。


どこにいても一人なのに違いはなかった。

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