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天才怪盗の社会奉仕  作者: ハルサメ
ミネルヴァの梟、助ける
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46話

「乗り気じゃなさそうだな?」


「私はやはり、警察に届けるべきだと思います。学園生活以外でも被害が出ているのなら、尚のこと警察の方が」


「それは無理、ごめんなさい。わがままだとは分かっているのだけれど、そこは譲れない」


 警察を親族に持つあーやとしては、警察に届け出た方が良いと思うのも無理はない。実際その方が、学生が知恵を絞って解決するよりはよっぽど効果的だろう。


「……分かりました。私たちだけでも出来ることをやっていきましょう」


 葛藤の末、あーやは了承した。


「ですが危険だと判断した場合には、警察に届けることを覚えておいてください」


「えぇそれは分かっているわ。私だって自分の言っている事が、危ないって理解してる」


「ならば、私も協力をします。同じ女性として見過ごすことは出来ません」


 相手はれっきとした犯罪者、それも女性の敵ということであーやの凄みが増す。


「それでストーカーの方は、一体どんな状況なんだ?」


「普通に付き纏われてるって感じよ。下校の時とかね」


「犯人の姿を見たとかは?」


「直接顔を見たことはないわ。でも一回ヤケになって追いかけたことがあったわ。逃げられたけど」


 ストーカーに正面方立ち向かうとか、予想以上の行動力の持ち主だ。暴漢に襲われた時に真っ先にやるべき事は、体の緊張を解き、直ぐに動けるようにすることだ。その意味で西城の度胸と行動力は目を見張るものがある。


「無理に刺激すると、相手もヤケになってしまう可能性があります。これからは慎重に行きましょう」


 まぁあーやの言う通りなんだがな。追いかけるのはやりすぎだ。


「流石のあたしもやばいと思って、一回しかやって無いわよ。でも、それでもまだつけてくるのよ? どうしろってのよ」


 当事者である西城にばれていても続けるのは、それもそれで異常なことだ。いくら俺でも手違いで実行前に気付かれてしまえば、どれだけ周到に準備をしていたとしても現場を全力で去るだろう。そして二度とそこに侵入することはない。


 まぁ直前でばれるなど警察に謎の密告書が送られた最後のアレぐらいしかないが。しかも逃げ切れなかったし。


「それでは依頼内容は、ストーカー問題の解決ということでよろしいですか?」


「えぇそれでお願いするわ。何か良い方法ない?」


「そうですね……」


 含みのある口調で、あーやは目配せをする。尾行の一種としてそのまき方などなら助言出来るが、根本的な対処法など現行犯で取り押さえるぐらいしか、俺には思いつかない。


「何か思いついたか?」


「はい、ですがこれに関しては結崎君が大丈夫かどうか……」


「そうか、俺の心配をしてくれてたのか…………んで俺に何やらせるつもりだてめぇ」


「やる事は簡単です。特に肉体的苦痛を強いるようなものでもなければ、金銭的な何かを消費する訳でもありません。ただ…………社会的地位の低下と精神的苦痛を伴います」


「失う代償が重いッ!」


 前者は回復が容易だが、後者は元に戻すのにかなりの時間を有する。別に地位が下がろうと気にはしないが、わざわざ率先して転げ落ちるつもりも無い。


「もったいぶらずにさっさと言え! 俺に何をやらせる気だ!」



「目には目を。ではありませんが、君には……ストーカーになってもらいます」

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