表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才怪盗の社会奉仕  作者: ハルサメ
ミネルヴァの梟、助ける
42/131

42話

「コホン、お騒がせしてすみません。依頼の持込でしょうか?」


 あーやは西城に気付いていなかったのか、一度咳払いを交える。


 分室への依頼は基本的に、ネットか投書での受付になっている。直接の持ち込みも対応はするのだが、緊急性などが無い限りその場で動くようなことはまず無い。それも大半の直接持込の理由が、誰にも知られたくない案件だから直接言いたいからなので、分室としてもそこまで重要視しているわけではないからである。


 だが、稀に大きなもの――ギルド関連――がヒットするのが、直接持ち込みらしい。


「えぇ……そうだけどそれよりも先に、あたしはあんたに言いたいことがあるッ!」


「……………………ん?」


「いやあんたよあんたッ! 後ろ壁でしょ!? 後ろ振り向くとか何考えてんのよ! 昨日といい、どこまで人をコケにすれば気が済むのよ!」


 キレのあるツッコミをありがとう、感動した。


「結崎君、何かしたのですか?」


「別に恨まれるような事は、何もしていないはずだが。あいつが昨日、自分は陰湿なイジメに遭ってるって泣きついてきたから、思わず蹴り返しただけだ」


「十分悪質です。というかあなたの行為がそもそもイジメです」


「お、上手い事言うな。座布団やろうか?」


「ちょっと待ちなさいよ! あたしの事無視して勝手に話を進めるな! というか昨日の話捏造してるんじゃないわよ! 誰があんたに泣きついたって!?」


「『あたしのこと、信じてよ』って、あんなに愛くるしく言ってきた昨日のお前は、一体どこに行ったんだぁ!」


「熱弁されても最初からそんなの存在し無いわよ! てかあんた気持ち悪い位に声真似上手いわねッ!」


 声真似など潜入の基本だ。俺にかかれば異性の声真似もどうという事は無い。


「結崎くーん。そろそろ、真面目に話を進めようか」


「西城今日はどうしたんだ? 俺になんでも言ってみろ!」


「変わり身早ッ!」


「上からの命令には、尻尾を振って従うのが生きるコツだ」


 室長の笑顔の裏に、怒気を感じた。元々腹の内が探り難い人物だけに、怒らせると面倒だ。一応今は上司ということなので、とりあえず命令には従っておく。


「話の前に場所を変えましょうか」


「なら隣の応接室でどうかな。今日は面談の予定も無いし、空いているよ」


「うむ、じゃあ頑張れ二人とも」


「「あんたも来なさい」」


「知ってた」


 西城の依頼内容はまだ分からないが、昨日西城がらみの問題に関わった人間なら、今回の話の場にもいた方が、何かと進めやすいのは確かだろう。


 というか、西城も俺の同席希望かよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ