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天才怪盗の社会奉仕  作者: ハルサメ
ミネルヴァの梟、探る
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17話

「それで、そういう君は何か別の考えがあるのかな?」


 静観していた成美さんが食いつくように問いかけてきた。その目は手品のタネ明かしを待つ子供のように輝いている。凄く期待している目だ。

だからこそ俺は自慢げに鼻を鳴らし、グッと親指を立てて答える。


「いや? まったく? 何も思いつかないぞ」


「「……は?」」


「いやだから、俺は何も思いついて無いって」


 アホの様に拍子抜けしている二人に向かい、肩を竦める。


「……先ほど饒舌に語っていたのは、何かが分かったからではないのですか?」


「そんなこと一言も言って無いだろ? 勝手に勘違いされても困る。確かにいろいろと気になるところを調べたが、結局俺もあーやと同じ意見だ。だから前置きしただろ、今の状況だったら女バスがどうなるのかって」


「確かにそうだけど……君、ここまで引っ張っておいて、そのオチで終わらせるつもり?」


「オチも何も、事実なんだから仕方ないだろ。今回の件は俺にもよく分からん。てことで、さっき言ってた通りのまとめで良いんじゃないか?」


「そんなまとめ方で良いと思っているのですか?」


 少しきつめの口調であーやが問い詰めてくる。


「良いも悪いも、それしか思いつかないんだ。専門家に依頼するならともかく、素人がこれ以上手を出しても難しいだろ。それに鍵だって戻ってきたんだ。誰も損しないで済んだんだから、良しとしようぜ」


 と訴えるが、俺を見るあーやの目は納得しているようには見えない。だがこれ以上俺にどうしろと言うんだ。正直な話、これ以上調べても新しい情報が出てくるわけが無い。


「まぁ確かに、無いって言うならこれ以上議論するのも無駄かもしれないね」


 助け舟は成美さんだったが、その声音にはがっかりした、という失望の色が見えた。残念だが、そんな期待に応える義理は無い。不平不満は甘んじて受けるようじゃないか。


 なにせこうすることが、一番の正解なのだから。

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