第6話
①生垣風磨(男)
空手部所属
インターハイ団体戦出場
10日前の夜に襲われる
怪我あり
感触✖️
「帰り道に歩いていたら突然前を塞がれたんだ。白いマスクっていうか、また口が開いてるお面みたいなのを被っていた。荷物持ってたから反応が遅れて、蹴りを脇腹に一発くらっちまったよ。そのあとはもう防戦一方で、何回か防ぎ切った後、勝手に満足したのか走ってどこか行きやがったよ。多少空手をかじってたみたいだけど、結構暴力的な動きだった。幸い怪我は大会までには何とかなりそうだが、一方的に殴られて終わったよ」
②早乙女綾太(男)
キックボクシング部所属
インターハイ予選敗退
9日前に襲われる
怪我なし
感触◯
「夜中に日課のランニングをしている。いつもの公園で準備運動をしていたら突然現れた。白い仮面を被ったふざけた風貌だった。打って来いと挑発してきたからこちらから攻めたが、ことごとく防がれた。次に向こうが攻めてきたが、おそらく手を抜かれていたんだろう。さっきの俺と同じ手順で攻撃してきた。だからか、自分の動きの稚拙さに気付くことができた。何度か打ち合ったあと、急に向きを変えて歩いて帰っていったよ」
③木村沙苗(女)
合気道部所属
インターハイ出場
8日前に襲われる
怪我なし
感触✖️
「あれはよくわかりませんでした。道場で精神統一しているときに突然現れました。目の口だけ空いている仮面みたいな物を被っていました。多分男だとは思います。突然襲ってきましたが、相性が良かったのか、幸い怪我をすることなくいなすことができました。まぁ手ごたえとしては地区予選会の方が恵みあるものでしたが」
④南條晴奈(女)
薙刀部所属
インターハイ出場
7日前に襲われる
怪我なし
感触◯
「あれって本物なのかな? 仮面舞踏会? みたいな白い仮面被っててさ! それにファントムも薙刀持ってるんだって驚いちゃった! しかも私より全然うまいの! すごくない!? それでグワーッて来たから慌ててうりゃーって返したんだけど、そこからペシッってされちゃって、でも私がそりゃーって返したら、なんか満足したのか帰っちゃった。超うまくてすごい動きが参考になったの! えっ、ねえねえ、なんでそんなドン引きみたいな顔するの?」
⑤加藤明隆(男)
フェンシング部所属
インターハイ予選敗退
6日前に襲われる
怪我あり
感触✖️
「超痛かった。それだけ。白い仮面を被ってて誰だか知らんけど。フェンシングの道具は持ったけど、使い方がすごい雑だった。最終的に素手で挑んできたし。こっちは道具持ってるしで、どうにもやりにくくてさ。そんなこと考えてたら思いっきり蹴られて。太腿の肉離れだよ。最悪だ」
⑥高見俊(男)
相撲部所属
インターハイ出場
5日前に襲われる
怪我あり
感触✖️
「ご褒美のラーメン食べに行った帰りに会ったんだ。夜にあの白い仮面はちょっとビビるよね。見様見真似の相撲スタイルだった。初心者相手に本気はまずいと思ったからちょっと小突いて終わろうとしたんだけど、避けて腕取ってきたんだ。はたき返そうとしたらちょうど相手の蹴りが腕に入ってね。吹き飛ばしはしたんだけど腕の痛みが取れなくてね」
⑦片桐勉(男)
剣道部所属
インターハイ予選敗退
4日前に襲われる
怪我なし
感触◯
「とりあえず今の所の被害者のデータを集めてみたよ!」
「ありがとうございます成美さん」
7人分の情報が書かれた紙を成美さんから受け取る。直近に襲われている片桐先輩には私自身が聞きに行ったが、それ以外は成美さんの情報力に任せていた。
先輩との話が終わって分室に戻ったところ、部屋には成美さんだけが残っていた。
室長はお祭りの運営に関わっている部分があるということで、商工会の方々との話し合いに出ている。
結崎君とルナは今日は早めの帰宅だそうだ。
さすが新聞部、というと聞こえは良いが、成美さんには裏の顔『元ギルドの幹部』という立場がある。
室長の計らいや結崎君の行動により、ギルドの呪縛から逃れることはできたが、まだまだ学園での影響力は大きい面がある。
「それで、何かわかったことはある?」
成美さんの仕事はあくまでもデータは収集。分析はこちらの仕事になる。
テーブルに書類を大きく広げ、手元に鉛筆を用意する。
『何かを比べる時は、1つ、同じところ、2つ、違うところ、でまとめるといいのよ』
昔に志織さんから教わった言葉だ。
同じところとして考えられるのは、怪我をした人は、全員感触が✖️になっていることだ。
「①生垣先輩、③木村先輩、⑤加藤先輩、⑥高見先輩に関しては、出会った際の感触が良くないので、偽物の可能性が高いと言えます」
ファントムの前提として技能の向上があるのならば、そこは必須の項目なはずだ。
特に①生垣先輩と⑥高見先輩についてはインターハイに出るにも関わらず怪我をしている。
その4枚だけを右に寄せる。
「偽物の共通点は蹴り技でしょうか。本物と同じように相手の土俵に合わせようとしていますが、最終的に自分のスタイルで戦おうとしているようですね」
真似事ゆえにそこまでの技能は体得していないのだろう。
「そうすると、あとの3人は本物に会っているってこと?」
相手の土俵に立ち、しかも余裕の立ち振る舞いを見せている。ファントムの動きとしては情報通りだ。
「ただ問題は3人のうち、インターハイに出るのは南條先輩だけというところです」
残った3枚を左側に寄せる。
「もしこれらの事件が本物と偽物が混じったものである場合、本物に出会ったと言えるのは④南條先輩だけになります」
「②早乙女先輩と⑦片桐先輩からしたら、本物なのか偽物なのか分からないって話だよね。でも感触はあるんだから本物っぽくない?」
「はっきりとしないというのが正直なところですね」
もしかしたらインターハイ出場はファントムの条件ではないのかもしれない。ただ今の情報だけではそれを裏付ける証拠もない。
④南條先輩を左上、②早乙女先輩⑦片桐先輩を左下に置く。
とりあえず被害者をグループ分けしてみた。
「先輩方の証言をまとめると、ファントムは蹴り技を主に扱う存在なのでしょう」
「これってうちの生徒なのかな?」
「可能性としては高いと思います」
元々ファントムはこの学園の存在だ。OBの可能性もあるが、突然現役生を襲い始める可能性については低いだろう。
蹴り技を主体にする現役生。犯人像として分かるのはそこまでだろう。
ファントムの正体を暴き、騒動を終結させる。当たり前だが一筋縄ではいかない。




