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この星は、5回滅んでいる  作者: げんちゃん


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1話 空に、壊れた月が浮いていた

初めての作品を投稿致します。

拙い文章だったり、誤字脱字があるかもしれませんが、楽しんで頂ければ幸いです。


では、ご覧下さい。

雨が降っていた。


春の終わりにしては冷たい雨だった。


コンビニの自動ドアが開くたび、湿った風が店内へ流れ込んでくる。


「……はぁ」


神代ユウは、レジ横のコーヒーマシンをぼんやり眺めながら、小さく息を吐いた。


時刻は夜十一時四十分。


大学帰りのアルバイトを終え、ようやく帰宅するところだった。


スマホを見る。


母親からのメッセージが一件。


『ちゃんとご飯食べてる?』


短い文。


でも、返信する気力がなかった。


既読だけ付けて、スマホをポケットへ押し込む。


外は土砂降りだった。


「最悪……」


傘を開き、ユウは夜道へ出る。


住宅街は静かだった。


車の音もない。


信号だけが、濡れた道路を赤く照らしている。


そのときだった。


――キィィィィィッ!!


突然、耳を裂くようなブレーキ音が響いた。


「え?」


振り返る。


大型トラック。


スリップしていた。


赤信号を突っ切り、真横からこちらへ滑ってくる。


避けられない。


そう理解した瞬間、不思議なくらい頭が冷えた。


あ、死ぬんだ。


そんな言葉が、妙にはっきり浮かんだ。


次の瞬間。


世界が、白く染まった。


衝撃は来なかった。


代わりに――。


『■■■ 接続確認 ■■■』


機械音声。


頭の奥で、直接響くような声だった。


『対象個体の生体反応を確認』


『適合率……測定中』


『文明解析因子……反応あり』


「……は?」


ユウは目を開ける。


暗闇だった。


いや、違う。


そこは、星空だった。


足元がない。


身体が宙に浮いている。


上下感覚もない。


宇宙空間のような場所。


なのに、呼吸はできた。


「なんだよ……ここ……」


声が震える。


すると、遠くで光が瞬いた。


最初は、小さな点に見えた。


だが、それは徐々に近づいてくる。


巨大な“何か”。


月。


いや、違う。


月に似た構造物だった。


表面には無数の亀裂。


崩壊した都市。


むき出しの金属。


赤く点滅する光。


そして――。


巨大なリング状の人工構造体。


まるで、壊れた機械の月。


『管理システム再起動』


『観測対象:第六文明圏』


『最終滅亡確認より、三四二一年経過』


「……滅亡?」


ユウの喉が引きつる。


意味が分からない。


夢?


走馬灯?


だが、妙に現実感があった。


耳鳴り。


冷たい空気。


遠くで軋むような金属音。


全部、本物みたいだった。


そのとき。


壊れた月の表面に、“目”が開いた。


巨大だった。


都市ほどのサイズがある、青白い光の瞳。


それが真っ直ぐ、ユウを見ていた。


『個体識別完了』


『神代ユウ』


『権限照合開始』


『――旧人類コード、適合』


ぞわり、と背筋が粟立つ。


なぜ、自分の名前を知っている。


なぜ、“旧人類”なんて言葉が出てくる。


混乱するユウへ向けて、

その声は静かに告げた。


『あなたを、第六世界へ転送します』


『どうか――今度こそ』


そこで。


世界が、砕けた。


視界が光に飲み込まれる。


落ちる。


どこまでも。


深く。


暗闇へ。


そして最後に見えた。


空だった。


そこには――。


真っ二つに割れた“月”が浮かんでいた。

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