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姉妹百合なんて興味ない!……はず?  作者: M・A・J・O
こちらの世界

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涙の先に

「はぁ……なんかごめん。年下の前で泣き出しちゃって、情けないよね……」

「いえ、わたしは大丈夫ですよ。むしろもっと見たかったくらいです……」

「……え?」


 めいのセリフはさておき、涙がだいぶ落ち着いてきたため安堵する。

 歳をとったせいか、涙もろくなった気がする。

 まあ、20代前半で何を言ってるんだと言われるかもしれないが。


「そういえば、朝ごはんまだでしたね。うみちゃんが作ってくれてると思うので行きましょうか」

「あー、だからベッドにいなかったのか」


 うみは私より早く起きて朝ごはんを用意してくれていることが多い。

 私は料理できないから、用意してくれているのはすごくありがたい。

 リビングに着くと、うみが朝ごはんを机の上に並べていた。


「もう、二人とも遅いよ! ご飯冷めちゃったから温め直したんだよ!?」

「ご、ごめん……」


 私は素直に謝罪する。

 いつもご飯を作ってもらっているので、いくら相手が妹とはいえ強く出られない。

 私が悪いし、これ以上怒らせても面倒だし。


「やっぱりうみちゃんのご飯は美味しそうですねー!」

「お! めいさんわかってるね!」


 二人は椅子に座って、一緒にご飯を食べ始める。

 もしかしてこの二人、相性いいのでは?

 まあ、私としてはうみとめいが仲良くなるのは嬉しいからいいけど。


「あ、そうだ。めいさん今日どうする?」

「え? どう、とは……?」

「いや、昨日泊まったから今日も泊まっていくのかなーって」

「あー……」


 めいが困ったように私に視線を向けてくる。

 泊まりたいけどこれ以上迷惑かけるのも悪い、とでも思っているのだろうか。

 別に泊まりたいなら泊まっていってもいいのに。


「迷惑じゃないよ」

「え?」

「めいがうちに泊まりたいなら、泊まっていってもいいんじゃない?」

「い、いいんですか……?」


 あたふたしているめいは可愛い。

 私は妹を可愛がる姉のように、めいの頭を優しく撫でてあげる。


「わわっ……!? お姉ちゃん……?」

「……っ!」


 しまった。ついやってしまった。

 これは完全にアウトかもしれない。

 自分から手を出すなんて……


「……あのさぁ、見せつけるのやめてくれない?」

「へ!? べ、別にそんなつもりじゃ……」

「二人の空間作るのやめてってば」


 そう言って、うみが不機嫌そうにしている。

 まあ、三人でいるのに二人だけで盛り上がっていたら面白くないだろう。

 リア充滅べという気持ちもわかる。

 しかし、当てつけるつもりは本当になかった。そこだけは信じて欲しい。


「ごめんごめん。まあ、じゃあ今日もめいが泊まるって方向でいいのね?」

「はい! お世話になりま……いえ、お世話しますね!」

「うーん……もう好きにして……」

「やったー!」


 めいが嬉しそうにしている。

 まあ、昨日も泊まっていったわけだし今更か。


「今日はこれから授業あるから大学行くけどめいはどうする? そういやどこの大学通ってるんだっけ?」

「お姉ちゃんと同じですよ?」

「は……?」


 驚いた。まさか同じ大学だったとは……

 確かに私の名前を知っていたし、どこかで接点があるのだろうとは思っていたが。


 ……しかし、大学でもめいを見かけた記憶がない。

 こんなに可愛くて愛嬌があるなら、少しくらい記憶に残っていてもいいものなのに。

 めいは本当に謎が多い。


「うーん、なら一緒に行く?」

「はい!」


 それから私たちは一緒に家を出た。

 めいと同じ大学だという事実に混乱しそうだけど、これは逆にチャンスだと思った。

 めいの秘密を知るチャンスかもしれない。


「お姉ちゃん、手繋いでいいですか?」

「え? あ、うん……」


 いきなり手を繋がれたので少し動揺してしまう。

 しかし、この程度で動揺していてはいけないと自分を律する。

 ……それにしても誰かと手を繋ぐのなんて何年ぶりだろう。


「えへへ……お姉ちゃんの手あったかいです……」


 めいは目を細めて幸せそうにしている。

 人の目があるから恥ずかしいけど、私もめいの手を握っていると安心する。


「お姉ちゃん、大学でもよろしくお願いしますね」

「……うん」


 私は小さく頷く。

 それから大学に着くまでの間、私たちはずっと手を繋ぎっぱなしだった。


「お姉ちゃんと一緒だからか、大学がいつもより新鮮に感じますね」

「まあ、それは否定しないかな」


 いつもは一人で登校しているし、見知った道を歩いているから新鮮な感じはしない。

 誰かと一緒にいるだけで、見る景色がこうも変わってくるなんて……


「お姉ちゃん?」

「……っ! ごめん、ぼーっとしてた……」


 めいに顔を覗き込まれていることに気づき、咄嗟にごまかした。

 ……あまりにも可愛い顔をしているものだから見惚れてしまっていた。

 私は心配させないようにめいに笑顔を向けてあげると、彼女は安心したように表情を綻ばせた。

 そんな顔をされてしまうとまた見惚れてしまうから困るんだけど……


「めいはどの棟に教室あるの? 行き先近かったらその辺まで一緒に行く?」

「え? あー……えーっと……」

「……?」


 めいは困ったように視線を彷徨わせている。

 何か言えない事情でもあるのだろうか?


「じ、実は授業なにがあるか忘れちゃって、同じ授業取ってるお友達に聞いてきますね! それじゃ!」

「え? 待っ」


 言い終わる前に、めいは全力で私から離れていった。

 さっきまでおっきく主張している胸を私の腕に当ててくるくらいくっついていたのに。

 感触の柔らかさよりも殺意の方が勝っていたから離れてくれて助かったけど。


「どうしちゃったんだろ?」


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