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姉妹百合なんて興味ない!……はず?  作者: M・A・J・O
あちらの世界

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別の関係性になる可能性

「……私としたことが、めるに取りつかれてしまうだなんて……」


 めるとのデートが終わった夜。

 私はベッドの上で今日のことを振り返っていた。

 あれから慣れない土地を歩き回ってウィンドウショッピングなどをして楽しんだ。

 そして、二人でお茶を飲んで休憩したりした。

 その時間がとても幸せだった。


 だけど……それと同時に胸が締め付けられるような感覚があった。

 理由はわかっている。

 この関係が間違っていると改めて気付かされたから。


「よっし、気を取り直して! 今後はシリアスな雰囲気にならないよう気をつけねば!」


 頬を軽く叩いて喝を入れる。

 これからも楽しい時間はたくさんあるだろう。

 その時にこんなことで悩んでいてはもったいない。

 それに……


「今日一日でかなり収穫あったしね!」


 私たちはもう誰から見ても恋人と言っていいほど親密な仲になったのだ。

 だからきっと大丈夫。

 いつか私も誰彼構わずじゃなく、普通に一対一の関係が構築できるはずだ。


「お姉ちゃん、入りますよ」

「めい? どうした?」


 軽快なノックの音と共に、ゆっくりとドアが開く。

 入ってきたのはよそよそしい感じで目をキョロキョロさせているめいだった。

 普段はあまりこの部屋に入ってこないので少し驚いた。

 だが、何か用があるらしいので黙って聞くことにした。


「……お姉ちゃん、なにか悩みでもあるんですか?」

「えっ!? なに急に……」

「いや……最近元気なさそうだなって思って……あー、話したくないなら別にいいんですけど」

「いや、そんなことはないけど……」


 突然の質問だったので戸惑ってしまった。

 しかも、先ほどまで「髪乾かしてー」とか「体洗ってー」とせがんでいた相手だから、こうして真剣な話をするのはなんだか気まずい。

 めいはなんとも思っていないのだろうか。お姉ちゃんがこんなふうになっても。


 まあ、めいの方からお世話をしたいと言ってくれていたから、多分気にしてなさそうだ。

 めいなら夜の相手も平気でしてくれそうな雰囲気がある。

 だけど、実の妹にそこまで望めない。


 まあそれは一旦置いといて、ここで下手に誤魔化すと怪しまれてしまうかもしれない。

 これでも小さい頃から一緒に過ごしてきたのだ。

 少しの違和感にも気づかれてしまうかもしれない。


「……めいこそ、なにかあったの?」


 なので、ここはあえて聞き返すことにしてみた。

 めいが私のことを気にかけて声をかけるなんて珍しい。

 私は自分のことを話し終えたら満足して自分の部屋へこもってしまうから。

 それなのに、そんな姉のことを心配するとは……


「べ、べつになんでもないです!」

「あれれ~? 怪しいね~」


 明らかに動揺している。

 これは確実に何か隠していることが伺える。

 やはり、めいの方でもなにか問題があったようだ。

 だが、それを簡単に話すとは到底思えない。


「ま、まあでも? どうしてもって言うなら話してやってもいいですけど?」

「あ、話したいんだね」

「うるしゃい!」


 顔を真っ赤にして怒るめい。

 図星をつかれたからなのか、ただ単に恥ずかしかっただけなのか。

 どちらにせよ、癪なことに可愛いと思ってしまった私がいた。


「このままでいいのかなって……思ってしまって」

「……どういうこと?」

「あ、いや、その……えっと……」


 めいは何か言いたげだが、うまく言葉にできないようだ。

 私は黙って次の言葉を待つ。


「お……お姉ちゃんが最近元気ないのは、わたしのせいなのかなと……」

「え、なんでそうなるのさ」

「だって、わたしにお世話されてても嬉しそうじゃないし、むしろ苦しそうだし、それに……」

「それに?」

「……わたし、邪魔じゃないかなって思ってしまって」


 今にも泣き出しそうなめい。

 いつものめいとは大違いだった。

 普段見せない一面をこんな形で見せられて驚くと同時に嬉しくも思った。


 めいも苦しむし悩むんだという実感が湧いてきて、なんだか安心できた気がするのだ。

 そして何より……姉である私に気持ちをぶつけてくれたことが嬉しかった。

 私はたまらずめいのことを抱きしめた。


「わっ!? お、お姉ちゃん!?」

「大丈夫だよ」

「……?」

「お姉ちゃんはめいのこと大好きだから」

「え!?」


 めいは驚いて私から離れる。

 その目は今まで以上に大きく見開かれている。

 さらに顔も真っ赤だ。ここまで照れているめいを見たのは初めてかもしれない。


「お姉ちゃん、今なんて……?」

「ん? 大好きだから?」


 めいは再び顔を真っ赤に染める。

 そして、今度は私から視線を逸らして俯いた。


「ずるいです……」

「なにか言った?」

「なんでもないです!」


 めいは勢いよくベッドに横になった。

 それ私のベッドなんだけど。


「ねぇ、お姉ちゃん」

「ん?」


 めいはベッドに横になりながら私を呼ぶ。

 私はその横に寝転んだ。


「わたしがお姉ちゃんのこと好きって言ったら……どうしますか?」

「うーん……」


 めいの質問に少し考える。

 めいが私のことを好きだと言う。今まであまり考えたことがなかったけど、きっと悪い気はしない。

 いや、むしろ嬉しいかもしれない。実の妹とどうこうなんて世間が許さないだろうが、私はむしろそれを望んでいたような気がする。


 だけど……

 私の脳裏にはめるのことが浮かんでいた。

 もし、私がめいのことを受け入れてしまったら、きっとめるとはもう一緒にいられなくなる。

 ……いや、もしかしたら。


「……少し待ってて。もうちょっとで答えを出せる気がする」

「わ、わかりました」


 めいは私に背中を向けた。

 私はその背中にそっと手を置いて、目を閉じた。


「おやすみ、めい」

「……おやすみなさい」


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