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姉妹百合なんて興味ない!……はず?  作者: M・A・J・O
こちらの世界

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君が好き

「……なんで……」

「わたしに訊かれても……わたしだってどうしてこの世界に来たのかよくわかってないですし……」


 聞こうとしていたことを先回りされる。

 めいは賢くて機転が利く。だから、未来人だと言われても多分疑わないだろう。

 でも、ただ別世界の人と言われても、説明のつかないことがまだある。


「……お姉ちゃんが、わたしの姉と好みが一緒なようで安心しました。あの時は賭けだったんです。性格はすごく違ったので驚きましたけど。あとネコっぽかったし……」

「最後のいる!?」


 最後の一言で台無しだ。なにが台無しなのかわからないけど。

 でも、とにかく、最初から悪意や敵意を持って現れたわけではないらしい。

 それどころか、やっぱり好意があって近づいてきたようだ。


「向こうのお姉ちゃんは、わたしと付き合ってはくれませんでした。タチ同士だったし、なにより姉は複数の人と関係を持ちたがる人だったので……それで、わたしがこっちの世界に飛ばされたとわかった時、お姉ちゃんが姉と同じだったことがわかった時、近づかずにはいられなかったんです」


 一つを語り出すと、次から次へなにもかもが溢れ出して止まらないみたいだった。


「わたしは、こっちの世界では別人(うみさん)になってるようですね。可能性の分だけ平行世界は存在しているようなので、そういうこともありえるのでしょう。……わたしとしては、そっちの方がありがたいですけど」


 私はどう声をかけていいのかわからず、とりあえずめいの言っていることを頭の中で整理してみることにする。

 ようするに、なんでこっちへ来たのかわからないけど、向こうでお姉さんと結ばれなかったからこっちの私と付き合うことにしよう。……みたいな感じでいいだろうか。

 え、私はめいの本当のお姉さんの代わりにすぎないということか……?


 私が地味に傷ついていると、めいはそれに気づいたのかあたふたしだした。


「あ、あの、最初は確かに向こうで姉と結ばれなかったから、こっちのお姉ちゃんならもしかしたら……っていう思いはありました。で、でも、今は違います……! わたしは、〝お姉ちゃん〟が大好きです! 本当です!」

「……それが本当だとしても、めいはいつか向こうに戻される日がやってくるよね……?」

「そっ、それはっ……」


 そう。仮にめいの言っていることが本心からのものだとしても、めいはいつか向こうに帰らなければいけない時が来るはずだ。

 私が一日だけ平行世界の私と入れ替わったように。

 ……というか、なんで私は一日だけでめいは何日もいるんだろう。


 不思議でたまらないが、きっとめいはこの答えを持っていないだろう。

 もし知っていたら私にこんなこと話さず、その日になったら静かに姿を消すか私と別れるかすればそれで済む。

 きっと、この世界に来た意味も自分が帰る日もわからないのは本当なのだ。

 ここまで一生懸命話してくれているのは、平行世界があるのも……私を慕ってくれているのも多分本当だと思う。


 慕っていてほしいという願望が大半だが、めいが私をただの代わりだと思っているのなら、ここまで話さない……はずだ。

 私だったら、どうでもいいやつにわざわざ打ち明けたりはしない。


 でも、だったら、いつ元の世界に戻されるのかわからなかったら……っ!


「……それなら、最初から私に近づかなきゃよかったのに……」

「っ……!」


 めいはとてもつらそうにうつむく。

 それが、せめてもの救いなのかもしれない。

 少しでも悪いと、情を持ってくれているのなら、たとえ離れ離れになったとしてもやっていけるだろう。

 いや、離れたくはないのだが。


「ごめん……なさい。わたし……そこまで考えてなくて……夢かもしれないから、この機会にお姉ちゃんの代わりとしていっぱい好きって伝えたくて……最初はただそれだけで……ここまで好きになるなんて、思ってなかったから……」


 めいは涙を流しながら何度も「ごめんなさいごめんなさい」と謝る。

 私はどうしたらいいのかわからなかった。

 だけど、口下手な私がなにを言ったところで届けられるものはなさそうだから……


「……お姉ちゃん……?」


 ……ただ、ぎゅっと抱き締めた。

 めいの想いは痛いほど伝わった。

 きっかけがどうだろうが、大事なのは今だ。

 今のめいは、〝私〟のことが大好きなのだろう。


 改めて言葉にすると少しくすぐったいが、ここまで想いを打ち明けてくれたのなら、私も応えなくてはならない。

 たとえめいが私のことを嫌いになろうが、私はめいのことが――!


「めい……大好きだよ。いつか向こうに戻るとしても、それまではあなたのお姉ちゃんでいるね」

「……っ、お姉ちゃぁぁぁん!!」

「あー、もう、泣かないでよ。服が濡れちゃうから」


 私の判断が正しいかどうかはわからない。

 もしかしたら、今すぐにでも向こうに連れ戻されてしまうかもしれない。

 それでも、私はその瞬間まで、そばにいたいと思った。


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