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姉妹百合なんて興味ない!……はず?  作者: M・A・J・O
こちらの世界

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ロリコン?

「これ、お姉ちゃんに似合いそうです!」

「え、めっちゃヒラヒラじゃん……そういうのはめいの方が似合うでしょ……」


 私たちは服屋に来ていた。

 とは言っても、私はお金がないのでただ見るだけだけど。

 めいはなにか買うつもりなのだろうか。


「ねぇねぇ、ママ。これっ……! 可愛い!」


 タタッと、小さな女の子が母親らしき人に駆け寄る。

 その女の子の手には、キャラクターもののパジャマみたいな衣服があった。


 昔は自分もそういうものを着ていたなと懐かしい気持ちになる。

 決して幼女可愛いとかそういうことではない。そういう目で見ているわけではない。

 私、別にロリコンじゃないし。


「これ? うん、確かに可愛いわね。気に入ったの見つかってよかったね」

「うん! ママ、これ買って。だめ……?」


 なんていい子だろう。

 ちゃんとだめかどうか訊くなんて。

 ……まあ、断りにくいようにしているのなら、なかなかの策士ということになるが。

 そういう子ではないことを祈ろう。


「うーん、そうね。いいわよ。買いましょう」

「ほんと……? 嬉しいっ……!」


 ピカーっと眩しいほどの笑顔。

 その子に後光が差したような錯覚に陥る。

 天使が舞い降りるとはこのことを言うのだろうか。

 可愛い。可愛すぎる。もう私はロリコンでいい!


「お姉ちゃん!? 聞いてます!?」

「ぎゃっ! ちょっ、耳引っ張らないで! 痛い痛い!」


 私がそのロリ……じゃなく女の子に夢中になっていると、めいから攻撃を喰らった。

 耳がもげそうだ。


「み、み、耳がなくなっちゃう……!」

「わたしの話を聞かないお姉ちゃんの耳なんてなくなっちゃえばいいです」

「あいたぁ!? ってかなに言って――痛い痛い!」


 めいの攻撃は止むどころか、むしろ威力を増している。

 もうこれはどうすればいいんだ。

 私にはめいの攻撃を止められなかった。

 あ、もう耳の感覚がなくなってきている。これはやばいやつだ。死んでしまう。


「むぅ……やっぱりお姉ちゃんはちっちゃい女の子の方がいいんですか?」

「……え?」


 ようやく解放され、私はほっと安堵する。

 耳がなくならなくてよかった。聴力にも問題なさそうだ。

 だが、めいの様子は変わることなく、今もなにか不満そうな顔をしている。


 もしかして、私があの女の子に釘付けだったのが原因か。

 いや、でも、別にあんなちっちゃい子に恋愛感情がわくわけもないし。

 確かに幼女は可愛いが、あくまで動物とかに向ける愛玩のようなものなので、恋愛感情は一切ない。


 百合好きな人が女の子同士の関係に萌えても挟まることはしないように、ロリコンは遠くから幼女を見つめていたいだけなのだ。

 ……これはこれで通報案件かもしれないが。

 ま、まあともかく、やましいことはなにもない。

 邪な考えなんて抱いていないということだ。


「ちっちゃい女の子は神聖な存在だからさ、私が安易に触れていいものではないのだよ」

「わたしは神聖じゃないと!? お姉ちゃんの特別じゃないんですか!?」


 ……あ、これは面倒くさくなるやつだ……

 言葉選びを間違えた。

 幼女のことになるとつい。

 いや、決して私はロリコンではないけれども!


「もうお姉ちゃんなんて知らないもんー!」

「あ、ちょっ、そのまま行ったら……!」


 ピーッ!


「あの、お客様。お会計せずうちの商品をお持ちのまま出られますと……」


 まあ、こうなるよね。

 思いっきりさっきのフリフリワンピ持ってるし。

 ……え、あれまだ持ってたの?


 最近は未会計の商品を外に持ち出せないようにする機械がそこらじゅうの店に設置されている。

 まさに機械の時代だな。もちろん置いてないところもまだまだあるけど。


「うぅ……お姉ちゃぁん……」

「よしよし……さっきの誤解はあとで解くから……その服、元の場所に戻すなり買うなりしたら?」

「ぐす……そうします、お姉ちゃん……」


 そう言って、めいはレジへ向かう。

 それ買うのか。

 まあ、ちらっと見た限りだけど似合っていたし、私がお金出すわけじゃないからいいか。


 でもまさか、めいの嫉妬があれほど強烈だとは思わなかった。

 気持ちはわかるが、あそこまでしなくても……と思う。

 だって私がめいのことを好きなのは変わらないんだし。


 本当に、どんどんエスカレートしていってる気がする。

 今回は本当に耳が取れてしまうかと思って怖かった。

 このまま何事もなければいいけど。

 私の不安をかき消すように、会計を終えためいが笑顔で戻ってきた。


「お姉ちゃん、お会計終わりました!」

「うん。じゃあ、次どこ行こうか」

「あ! あのお店行きたいです!」


 そう言ってめいが指さしたのは、アクセサリーショップだった。

 そういえばめいはピアスとかイヤリングとかつけているのを見たことがある。

 めいがそういうのに興味があるのは知っていたけど、まさか私も連れていこうとするなんて。


「アクセサリーか……いいよ。行こうか」

「はい!」


 私たちは店内に入る。

 すると、そこにはたくさんの種類のピアスやイヤリングが並んでいた。

 どれもこれも可愛いデザインだけど、どうにも興味が持てなかった。


「わぁ……すごい……!」


 そんな私とは対照的に、めいは目を輝かせて商品を見ている。

 いや、本当に子どもみたいだなぁ。

 年下という点では私よりは子どもなんだけど。


「あ! これかわいい……」

「ほんと? どんなの?」


 めいが手に取ったピアスは、小ぶりで透明なものだった。

 透明だからか、中にあるきらきらと輝くラメがよく見える。

 確かにこれは可愛いかもしれないな。


「え、えへへ、お姉ちゃーん」


 値札を見ためいが一瞬にして甘えんぼモードになった。

 ……なるほど。なんだか予想はついた。


「はぁ……買うのこれだけだからね?」

「わぁーい!」

「まったく……」


 私はめいに甘い。

 それは自分でもわかっている。

 だけど、めいの喜ぶ顔が見たいし、なによりも私がめいを甘やかしたいのだ。

 だから、これは仕方のないことだろう。


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