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姉妹百合なんて興味ない!……はず?  作者: M・A・J・O
こちらの世界

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19/57

三人でおでかけ

「えー、日替わり定食って唐揚げだったんだー! あーあ……ちゃんと見てから頼めばよかったなー!」


 ちょうどお昼時でがやがやと賑わうファミレスに、うみの大きな声が響く。

 うみは対面に座るめいが食べている唐揚げを凝視しながら、自分の焼きそばを口に入れる。


 唐揚げを食べたいのか焼きそばを食べたいのか、よくわからない。

 私は呆れながらピザカッターでピザを切っていく。

 でも、うみはそこまで唐揚げが好きだっただろうか?

 嫌いではなかったと思うが、他人の食べているものを羨むほどではなかったような……


「一口でいいから唐揚げ食べたいなー……」


 うみは物欲しそうにめいの唐揚げを見つめる。

 そんなに唐揚げ好きだったっけ。

 めいはそのキラキラとした視線に圧されたのか、箸が止まる。


「え、えっと……じゃあ、唐揚げいりますか?」

「わーい! ありがとうございまーすっ!」

「もう……うみのことまで甘やかさなくていいのに……」


 めいの優しさに呆れつつ、私は見守りに徹することにした。


「えへへ、可愛い子はついつい甘やかしたくなるんですよね」

「へー……うみが可愛いのはよくわからないけど、その気持ちはよくわかるわ……」


 うんうんと適当に相槌を打ちながら、適当に流す。

 それを察しのいいめいが気づかないはずがなく……


「お姉ちゃん、あんま興味ないです……?」


 べ、べべべ別に興味ないなんてことはないけど?

 興味なかったら相槌すら打たないだろうし?

 だからねぇ? そんなこと聞かなくても、ねぇ?


「じゃあ、あーん」

「え? なんでそうなるの!?」


 前後の言葉が繋がっていない気がする。

 じゃあってなんだろう。

 じゃあ仕方なく、ってことなのだろうか。

 こういうのは仕方ないからするようなものではないと思う。

 本当に、めいは私のことを本気で想っているのか――


「あたしがするー!」

「は? ……うむぐっ! がはっ、げほごほっ!」


 うみに焼きそばを突っ込まれ、むせてしまう。

 咳で、口に突っ込まれた短い麺がテーブルに落ちてしまったのだった。


「わー、ういきたなーい。こぼしたらだめなんだよー?」

「げほっ。お前が突然口に突っ込んできたからでしょーが。もっと丁寧にしてくれなきゃ」

「あっはっは。ういおもしろーい」

「くっ……ムカつく……っ!」


 そんな私たち独特のやり取りをしていると、めいがなにやらじっと顔を見ている気がした。

 でも、その後すぐにめいはそっぽを向いて口いっぱいにご飯を詰め込んで頬が膨れる。

 どことなく、その前から頬が膨らんでいただ気もするが。


「あ、めいさんもこいついじっていいですよ」

「ついにこいつ呼ばわりしやがったな……」


 うみのこの舐めた態度は一体なんなんだ。

 姉を姉とも思っていない。


「い、いえ、わたしはお姉ちゃんを甘やかす担当なので……」

「めいもめいで何言ってるの?」


 ところで、今更だけどなぜめいはお出かけに誘ってきたんだろう。

 しかもこの三人で。

 うみとも仲良くなりたかったのか、それとも単にお出かけしたかっただけなのか。


「ふー、おなかいっぱい……もう動けない~……」

「出かけるのってファミレスだけなの?」

「うーん……そうですね。お昼ご飯食べたかっただけなので」

「……だったら一人で食べればよかったんじゃ?」


 めいの適当な返事に呆れつつ、それとなく真意を探る。

 でも、こういうことは華麗にスルーされるのがお約束で――


「だって、みんなで食べた方が美味しいでしょう?」


 ……なるほど。そっか。そうだ。

 めいの言っている通り、とても単純なことだったんだ。

 それなら、もう迷いはない。

 めいとの付き合いも上手くやっていけるだろう。

 ニヤリと不気味に笑っているように見えるめいの顔を見ながら、私も精一杯笑った。


「そういうことならもっと遊ばない?」

「ほぇ?」

「ほら、せっかく三人で遊べるんだしさ。もっとめいの好きなもの知りたいし」

「……あ、はい。そうですね。そうしましょうか」

「わーい! 遊ぶぞー!」


 めいよりうみの方がはしゃいでいる。

 お昼ご飯を食べ終え、私たちはショッピングモールを見て回ることにした。

 このショッピングモールは規模が大きくて、ゲームセンターに服屋に映画館などなど色んなお店があるらしい。


 そして何より、ペットショップも入っているのだとか。

 ペットショップには猫や犬はもちろんのこと鳥やハムスターなどの小動物もいるらしいので、うみはそこに向かっている。


「あんまり急ぐと迷子になっちゃうよ」

「なりませんー! あ、この服可愛いー!」

「……まったくもう」


 うみのはしゃぎっぷりに呆れつつ、私はめいと横並びになって歩く。


「お姉ちゃんは、いい人ですね」

「え? そう?」

「はい。だって、わたしのことを気遣ってくれてますし……それに、ちゃんとわたしのこと妹として向き合おうとしてくれてるじゃないですか」


 私はただ、自分のために動いているだけだ。

 だからそんな大それたことをした覚えはない。

 でも、めいの目にはそう映っているらしい。


「……やっぱりお姉ちゃんは優しいですよ」

「なんだか褒められるとくすぐったいね……」

「ふふっ。お姉ちゃんは褒められ慣れてないですからね」


 うん、確かにそうだ。

 今まであまり褒められたことがないから、どう反応していいのかわからない。


「あ! これ可愛い!」

「どれ? あ、ほんとだ」


 めいが持ってきたのは黒猫のぬいぐるみだった。

 よくあるような普通のぬいぐるみだが、ところどころに肉球の跡がついており、可愛らしいデザインをしている。

 それに何より、めいが好きな猫ということもあってか心なしか目を輝かせている気がする。

 そんなめいを見て思うのはただひとつ――これをプレゼントしたい。


「すみません、これください」

「あ、お買い上げありがとうございます!」


 私は店員さんにめいの欲しがっていた黒猫をプレゼントする。

 それには当然めいが慌てて止めに入る。


「ちょ、ちょっとお姉ちゃん! 悪いですよ……!」


 そんなめいを無視して会計を済ませる。

 そして商品を受け取ったらすぐにめいに渡す。


「はい、どうぞ」

「……っ! もう……ありがとうございます」


 少し頬を赤らめながら受け取るめいを見て、思わず笑みがこぼれてしまう。

 こんなに可愛い笑顔が見られるなら安いものだ。


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