どんな関係?
その日、私は幸せな夢を見た。
めいと一緒にご飯を食べ、カラオケやゲーセンに行ったり、映画や水族館に行ったり。
デート……的な? ことをしていたと思う。
そして最後はもちろん、ホテルに――
「って、何考えてんの私!?」
そこで目が覚めた。
なんという夢を見ているんだ、私は。
もうこの思考回路はどうにかならないものか。
これじゃあ変態だ。変態以外の何物でもない。
私をこんなにした当の本人は、私の身体をぎゅうっと抱きしめたまますやすや就寝中である。
その顔はどこか嬉しそうで幸せそうで、私はもう何もかも考えることをやめて二度寝することにした。
……今度は、悪夢を見た。
元カノと街でばったり会ってしまって、なぜか成り行きで一緒に遊ぶことになっていたのだ。
なぜこんなことになってしまったのか。
この状況を嘆きながらも、なんだかんだ楽しもうと試みる。
「ねぇ、こういうのはどうかしら?」
「……いいんじゃない?」
シンプルなデザインのワンピースを見せられる。
私は適当に合わせておいた。
なぜ別れた相手とこんなことをしなくてはならないのか。
正確には向こうが振ってきたのに、なぜ私とデートみたいなことをしているのか……謎である。
未練はなく、好きというより嫌いに近い相手。
それなのに、どうして私は……
「次はあなたの選んであげるわ」
こんなにも……
「ふふ、よく似合っているわよ」
〝楽しい〟だなどと……
「――はっ!」
そこで二度寝から目覚めた。ついでに悪夢からも。
なんなんだ、さっきから。
私の夢はおかしなことだらけだ。
「んぅ……お姉ちゃん?」
隣で眠っていためいも、目を擦りながら起き出す。
もうわけがわからない。
頭が混乱しすぎておかしくなりそうだ。
だから私は、めいに身を預けた。
「お、お姉ちゃん……? どうしたんですか?」
めいはすごく困惑している。
でも、私はそんなめいの様子に構わず、ぎゅーっと強く抱きしめた。
「お、お姉ちゃ――」
「めい……好き……大好きだよ……」
「ふぇ……? ど、どうしたんですか?」
私は想いをぶちまけた。なぜか今なら言えると思ったから。
めいはしばらく困惑しながら私の頭を撫でているだけだったが、ついに私のことを抱きしめ返してくれた。
私よりも強く、しっかりと。
「わたしも大好きですよ、お姉ちゃん」
その言葉を聞いて、私は救われたような気がした。
涙が溢れてきて、私はもう抑えきれなかった。
私は抱きしめたままめいを押し倒す。
押し倒したあとにえっちなことをしようとしているわけではない。
ただ、〝愛〟を感じたかった。〝愛〟を確かめ合いたかった。
「めい、大好きだよ」
「わ、わたしも……大好きです……」
めいの表情がとろけきっている。
これなら、今なら、言えるかもしれない。
「めいは、私のことどう思ってる?」
「ふにゃ……? さ、さっき言ったじゃないですか……」
「それって、恋愛感情? それとも……普通の姉妹として?」
血が繋がってないのに、普通の姉妹というのはおかしいかもしれないが、つまりはそういうことだ。
私に恋愛感情を抱いてくれているのかいないのか、それを知りたいと思っている。
その答え次第では、私は……
めいは考え込む様子を見せた。
そこまで難しいことだろうかと思ったが、気長に待つことにした。
それが私の望んでいる答えではないとしても。
「わ、わたしは……どっちもあります……」
「……どっちも?」
「はい。お姉ちゃんのこと、姉妹としても好きですし……お付き合いしたいなっていうのも……あります……」
「そ、それって……」
それはつまり、私のことが大好きということではないだろうか。
これは、期待してもいいのだろうか。
めいと恋人になれることを、期待してしまう。
「それって、恋人になりたい……ってことでいいのかな……?」
「……も、もちろんです。というか、前もお嫁さんになりたいって言いましたよね?」
「確かに言われたけど……ちゃんと聞かないと不安っていうか……」
そう、確かに言われた。
だけど、それはその場のノリとかだったら嫌だと思って忘れることにしたのだ。
でも、その時から既に思ってくれているというのなら、記憶の奥底にしまっておいてよかったと思う。
本当に忘れ去ることがなくて、心の底から安堵した。
「めい、好き。大好き。愛してる!」
「わたしもお姉ちゃんのこと愛してますよ……!」
めいは目をきゅっと瞑って、何かを期待しているような様子だった。
その意図を察して、私はめいにキスをする。
軽く触れるようなキスだったけれど、それでも私たちは満足していた。
「めい……恋人になろっか」
「はい……!」
もう何度目かわからないほどに抱きしめ合ってお互いの愛を確かめ合った。
私は今、とても幸せだ。




