6 アンナ・イニン
私がスライムの草原行こうとしたが肝心の場所がわからない。あたりをキョロキョロしていると、おばあさんのNPCが近づいてきた。
NEFWoでは高度なAIを全キャラに積んでいて、会話はもちろん、まばたきや息づかいまでリアルの人間を再現されているらしい。そのためにさまざまなことがリアルと同じようにできる。例えば鍛えているNPCがいたら、腕相撲頼めばしてくれるらしいし、男キャラが女NPCに痴漢すると、叫ばれて治安維持のNPCに牢獄に連れていかれる。まぁ痴漢するようなやつは厳罰でいいけどね。リアル、ゲーム関係なくいらない。
話はそれたけど、一番大事なのはNPCからの好感度があるらしい。これも結依から聴いた話だけど、同じ依頼を受けようとしたプレイヤーが片方は受けれたが、もう片方は受けれなかったという。2人とも職業やレベルは一緒だが、片方は普通に対応して、もう片方が横柄な態度とっていたらしい。それでうけれなかったのではないか?と、推察されているらしい。
この情報に関しては断言はできないが、そういう事もあったというのが重要だ。まぁそもそもNPCを、人として扱ってない奴らが悪い。昔のゲームみたいに対応していたらいつかバチは当たるものでしょ。
そんな事考えていると、近づいてきていたおばあさんが私の前に止まった。どうやら私に用事があるらしい。
「おぬしみない顔だのー。もしや新たに天から来た探究者かのー?」
と、話しかけて来た。ここではプレイヤーの事を探究者という。NPCからしたら、未知を求めて探究する者の集まりという認識だ。これも結依情報だが、聞いてなかったら混乱すると思う。いきなり探究者かの?と、聞かれたら。
「うん。いま来たところ。」
私はおばあさんにそう返した。ここで話しかけてくるということは、何か重要なことがあるかもしれない。私はこのゲームは初心者だし、いろいろわからないから、聞いてて損はないと思う。多分。
「ほーなるほどな。わしゃアンナ・イニンという。ここであったのも、何かの縁じゃしのーよかったら街をアンナイしてあげるぞ。」
と、おばあさんが言ってきた。名前そのまんまじゃん。と、思ったが、私の予想通りとても重要なイベントだった。私は迷わず頷き、
「お願いします。」
と、頼んだ。街のこと知っておくのは今後のためにも重要だ。知らなくて後で困るのも嫌だし。
「そうか。じゃー案内するぞ。まずはここじゃ。ここは始まりの噴水と呼ばれている場所じゃ。おぬしら探究者が天から降りてくるときに目印にする場所じゃの。また敵と戦って死にそうになると探究者はここに帰ってくることもあるそうじゃの。後は、ちょっとした薬にもなるから困ったらここに来るといいのじゃ」
死にそうになると帰ってくる。というのは、つまりリスポーンのことだよね?それと薬云々はさっき書かれていたことかな?そんなこと考えているとおばあさんは歩きはじめていた。私は置いて行かれないようについていくと、大きいお店についた。
「ここは酒場じゃ。探究者とはいえ、腹が減っては戦ができぬ。ここで食べたら、空腹がなくなるだけではなく、体力はみなぎるし、活力もつくぞ。それと一階の右奥側は依頼を受けることもできる。後で少し見てみるといちじゃろう。うーんそうじゃ。せっかくじゃ。私が紹介してやるでの。そしたら毎回2割オフじゃ。じゃんじゃん利用してくれてよいぞ。」
と、説明された。体力はHPだよね。活力は………MPのことかな?とにかく、回復するのはありがたいな。しかも二割引は断る理由はないね。親切心ほ素直に受け取っておこう。
「ありがとう。絶対に使う。」
と、お礼を言った。それを聴いたおばあさんは嬉しそうにしながら次に進みはじめた。今の場所が北側だとすると、今度は東側の方に歩き始めた。東側の方にあるのは武器屋だった。初心者の武器とは違い、豪華そうな武器もある。値段もそこそこだ。NPCの店もあるが奥の方はプレイヤー産らしい。
「ここは武器街じゃ。オーダーメイドで頼むなら他の探究者の店がいいが、今おぬしが持っている武器より少し上等なものでよかったら、そこの店がおすすめじゃ。」
と、一番手前の店を指差した。そこにはとても顔がいかついおじさんが店員をしていた。
「あやつ顔は怖いが腕は一人前じゃ。」
と、おばあさんが言った。それに反応するかのように店の店員が、
「顔はよけいだ。」
と、叫んでいる。確かに顔は怖いが、私は平気だ。それにNPC同士でも会話が成立していることに驚く。AI力すごいんだな。
「そうじゃせっかくじゃそこの武器屋も2割引で買えるようにしておこう。」
と、言ってくれた。正直ありがたいが、勝手に決めて良いのかな?と、武器屋の店主をみたら、
「はぁーばあさんの頼みだからそうするが、素材の依頼とかは受けて欲しい。」
と、答えは肯定だった。もちろん素材依頼も受けるよ。ここまでしてもらったのに、こっちが依頼受けないのはフェアではないと思う。
「ありがとう。絶対に受ける。」
私はそうおじさんに返すと、片手をあげ。
「おう、まっているぞ。」
と、返事が返ってきた。私は一度ペコリと頭を下げ、歩き始めたおばあさんの後について行き始めた。次は南側に着いたのかな?目の前に宿と書かれたお店がある。どこからどー見ても宿屋でしょ。
「ここは宿屋じゃ。探究者達がよく利用しておる。ここを使用していると、死にそうになった時にこっちに飛んでくるようになるみたいじゃ。それに天に一度戻る時もここで寝てから戻ると短時間でも最大限回復できるのじゃ。探究者にはおすすめの場所だぞ。」
と、説明された。ここで泊まるとリスポーン場所がここに変更されるというわけかな?後で私も宿屋とっておこうかな。噴水のところじゃ敗北すると、すぐバレそうだし。そんなこと考えていると、おばあさんは歩き出していた。私も、置いていかれないように気をつけながら追いかけた。
北側、東側、南側と回ったから残りは西かな。西側につくと大きい教会があった。
「ここは教会じゃ。質のいいポーションなど売っておるぞ。また魔物によっては呪いをかけるらしいからの、呪いかけられた時もここに来るととける。覚えておいて損はないの。」
と、説明された。ポーションはその名の通り回復薬とかだろう。質のいいっていうのは気になるしここも後で来てみよう。私がそう考えているとおばあさんは中央の噴水のほうに戻り始めていた。もう、説明全部終わったのかな?そんなこと考えていると市場みたいな場所に着いた。
「ここは市場じゃ。酒場ほどではないが、おなかに溜まりそうなやつもある。探究する前によっていってもいいかもしれんな。ただし気を付けておけ。ここで油断すると、すぐ財布が軽くなるのじゃ。不思議なことも起きるものじゃ。」
と、おばあさんは説明した。それってただの買い過ぎじゃ。と、思いはしたが、そのことは言わない、私も、すぐ買いすぎるから人のことは言えないのだ。そして、その後噴水のところにおばあさんと戻ってきて、
「これで案内は終了じゃ。最後にこの街で悪いことすると治安維持に連れてかれるでの。気を付けるのじゃ。」
と、おばあさんはいった。悪いことするつもりはないが、具体的なことは聞いておこうと。




