5 運営困惑
私が、鏡をくぐるとそこに広がっていたのは、昔の西洋の街並みっぽいものだ。高い建物はなく2、3階建てが主流だ。そして私の後ろにあった鏡が消えた後、後ろを振り向くと、そこは大きな噴水があった。
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始まりの噴水
探究者が始めて訪れる噴水。その大きさは半径8メートルもある。またこの噴水の水は掬って1時間いないに飲めば、スタン、毒、火傷などの状態異常も解除できる。また一番最初のセーブポイントのため、他のセーブポイントで更新するまではここがリスポーン地となる。また、ファースターの一番の名物のため待ち合わせにも便利。
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一周するのに約50メートルもあるのか。どうりで大きいわけだ。私は周りをぐるっと見てみたが結依はいないみたいだ。チュートリアルで時間かかっているのかな?私はチャットを開いて、
『スライムダンジョンに行く。』
と、送った。最近のゲームはゲーム内でのフレンド登録していなくても、本体の方でフレンド登録してると、チャットを送ることもできる。もちろんゲームしながらルインも送れるし、ルインを見ることもできる。結依も今はゲームしてるはずだからルインよりはチャットの方が見ると思う。これで、後から合流したら問題ないね。
私は、結依には悪いけどワクワクが止まらないし先に行くとしようかな。
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とある運営室。
「ただいま、スライムキング《劣化版》の、ノーダメ討伐が確認されました。」
VRMMO内の運営ルームにてモンスターやプレイヤーにバグやチートがないのかを確認していた運営の1人が報告した。そのプレイヤーにおかしいところはなく、プレイヤースキルでクリアしている。一応クリアはできる難易度だがノーダメで一度でクリアできるものは今までいなかった。
「ついに、スライムキングが討伐されたか。それは第二エリアにつながる布石の一つだし、残り3つか。……うん?ちょっと待て《劣化版》だと?」
運営リーダーはさっきの言葉に強く反応した。それもそのはずスライムキング《劣化版》はチュートリアルでしかでない。
「はい。《劣化版》です。しかもノーダメですね。」
その話を聞いていた他のメンバーも仕事半分に聞き耳をたてていた。
「おかしなところは無かったんだよな?それならとてもすごいやつがNEFWoに来たということだな。」
運営の1人は戦闘シーンを大画面で再生しながら、
「おかしいところ無いですね。矢は曲がってないし、ダメージ率も通常通り。」
再生されている映像は、他の運営もガッチリみている。
「あれ、避けれるんだな。テスターで試した運営さすがに、被弾してたぞ。」
流される、映像に運営は全員困惑していた。限りなく速い反応速度とそれに伴った判断力、そしてそれを行動に移せる。さすがに、この動きできるならノーダメもできるかと判断した。
「最後の弾幕は特攻か。戦法としては悪くないな。それにしてもセミスミのスキルどうなっているんだ?ここまでキックではダメージでないはずだが?」
と、リーダーが呟くと、それを聞いていた運営がセミスミのデータを開示した。
「脚力強化と身体強化の両方とってますね。だから遠距離も近距離も対応できるようになっています。他のゲームで慣れているのか分かりませんが、身体の動かし方もスムーズですね。」
スキルを確認したリーダーは、これならそうなるか。と、考えて
「まぁ改めておかしいところはないし、しばらくは見守るとするか。強いプレイヤーは大歓迎だしな。それで報酬なんだったか?」
リーダーが聞くと、すぐさまぱっと資料を用意して
「弱体化無しの報酬である、条件付きの即死の巻物。ノーダメ報酬である即死無効の腕輪。目標時間以内にクリアのスライムEXの書。クリア報酬の冒険者のバックですね。」
と、一つ一つ画像をだしながら説明した。
「おーそうか。報酬全部持ってかれたのか。まぁ当然か。まぁ強くはあるが、ぶっ壊れほどでも無いし問題はないな。よし彼女のことは一旦終了だ。業務に戻るぞ。」
と、声をかけた瞬間。
「あー報告っすけど、メガラット《劣化版》も倒されそうっすね。」
と、別の運営から報告があがり再び運営は確認することになるのだった。




