プロローグ 2
「…………はぁ。」
私、一ノ瀬 水澄はVRゴーグルを外しながら大きなため息をついた。私のVRゴーグルに映っている文字は《You win》の文字。大好きだったシューティングゲームで、今回の勝利により私のランキング1位が確定した。その事についてはとても嬉しいことだ。悲願を達成できたから。だけど、そのおかげで私は目標がなくなった。別にゲームが嫌いになったとか、飽きたというわけではない。
フルダイブ型のVRゲームが主流となった今の時代。ゲームはもちろん、学校や仕事にも使われている場所もある。私の家も例外ではない。私の両親は私や妹にとても甘く、小学の入学祝いにVR本体を買ってくれた。もちろんソフトもいっしょに。だが、昔から私はとても飽きっぽっくさまざまなことをやってきたがすぐにやめたりもした。そのためほとんどのゲームがつづかなかった。
そんな私が唯一やめずはまったのVRでする、シューティングゲームだ。対象年齢12以上だったそのゲームにはまってしまった私は中学の青春をそれにささげた。青春をささげたとは言ったが、学校には通っていたし、志望校はA判定である。というか、合格した。
明日から長い春休みである。約3週間ほどある。もちろん引退などは考えていない。春休みがとても長く感じる。もちろん毎日ログインしてランキングを下げないことはするが、してもそれくらいかな。目標もなくプレイするのは性に合わない。それにダラダラとして、万が一にも嫌いにならないようにするためには、ほどよくが丁度いいのだ。
ホントにどうしようかな?別のシューティングゲーム探そうかな?とはいえだいたいのシューティングゲームはプレイ済みのため真新しさは感じない。
そんなこと考えていると、ピコンと通知が来た。現在深夜の2時だ。こんな時間にルインをするのは、1人だろうな。そう思いながらルインを開いた。予想通り親友の、如月 結依からルインが来ていた。
『起きてるよね?』
と、ルインに書かれていた。普通の中学生なら卒業して明日から、というか今日から春休みとはいえこんな時間に送ってくる時点でおかしいが、私も残念ながらおかしな部類なので何ともいえない。とはいえ、渡りに船だ。どのような連絡か分からないけど、目標が無い今の私には好都合だ。そしてなんだかんだいって、結依と遊ぶのは楽しいというのもある。そう考えた私は、
『寝てる。夢の中。』
と、返信した。すると、30秒もかかる前に返信が届いた。
『寝ているならしょうがないか〜。って、起きてるじゃん!まぁスミスミのボケはおいておいて、一緒にゲームをやらない?僕もまだ買ってないから、今日一緒に買いに行こうと思って。』
スミスミというのは結依が私につけたあだ名だ。とてもかわいいあだ名なので気に入っている。それにしても一緒にゲームか。それも悪くないかも。
結依は主にRPGが好きでさまざまなゲームをプレイしている。私と結依は幼なじみで家も近く、走れば30秒位で家に着く。そのこともあり、私も小さい頃は色々なRPGゲームを借りていた。高校も同じところを受験して、共に合格して、またこれからも一緒だね。と、互いに笑い合ったりするほど私たちは仲が良い。
でも、私がシューティングゲームにはまってからは、一緒にゲームすることは無かった。別に仲が悪くなったとかではなく、ただゲームのジャンルが違う。というだけだ。もちろんリアルでは帰りに寄り道して買い食いしたり、映画見たり、スポーツしたりと色々遊んでいた為、あくまでゲームはという話である。それにシューティングゲームにはまったとはいえ、RPGが嫌いになった訳でもない。
『いいよ。なにするの?』
私がそう返すと、やはりすぐに返信がきた。私、返信すぐにはしてなかったはずだけど、見張ってるのかな?
『ありがとう〜僕が今度やろうと思っているのは、VRMMORPGなんだけど、Next Eden Fantasia World onlineってゲームだよ。知ってる?』
Next Eden Fantasia World online。通称NEFWoと、呼ばれているこのゲームは、株式会社UNITelopがだした最新のゲームだ。いまや革命と言われているそのゲームは注目度は世界一である。
また、この会社は、他の会社よりVirtual技術も優れており、ユナロライブというVirtualの姿で、mytubeという動画サイトで配信する、mytuberを発信している会社でもある。
『知ってるよ。けど予約していない。』
発売されて、2ヶ月はたつが未だに売り切れが続いており、予約抽選が主流となっている。とても運が良ければ店頭でも買えたと言っている人もいるけど、それはほんとに稀である。
『大丈夫。僕ね、第三陣のゲームソフト発売の予約抽選を5カ所でしていたんだけどね、見事に全部当たったんだ〜。だから僕と、スミスミとマイマイと妹のユカリンと、スミスミ妹のハルルの5人で遊ばない?』
と、返信が来た。マイマイは本名大和 舞歌。中学からの友達で、リズムゲームが得意な子。実際にピアノも習っていて、ヴァイオンもでき、華道や書道もたしなんでいる。お嬢様みたいな子だ。
そして、ユカリンは結依の義理の妹で本名は如月 由夏。結依の父親が、結依が小学生頃に結婚した、結依の新しい母親の連れ子となっている。由夏は結依と同い年だけど、由夏の方が遅生まれのために妹になった。そして由夏もゲームが得意だが由夏が好きなのは格闘ゲーム。
最後にハルルは、私の2つ下の妹で本名は一ノ瀬 晴波私たちの影響でゲームもしている。特に好きなゲームや得意なゲームはなく、まんべんなくプレイしている。
『おけ。やろうよ。あっでも晴ちゃんは学校もあるし、リアル忙しいから3月最後の週からしかできないとおもうよ。』
私は迷わずに、そう返信した。ちょうど目的がなくなった自分にはちょうどいい。それにまた結依とゲームできるのも楽しみだ。
『ハルルの件はオッケー。こないだ誕生日だし誕生日プレゼントとして贈ることにするよ。じゃー9時に買いにいこうね。おやすみ〜』
と、結依から返信が来た。私もおやすみと返して、今日は寝ることにした。しっかり目覚ましかけて寝過ごさないように。




