広場での決意
ピーニャさんの息子さんには会っていたからすぐに分かった。
名前を、ルーモスという。旦那さんがダンジョンで見つけたらしく、身寄りがないため引き取ったのだ。
「トーマも追い出された組?まぁ普通子どもは話についていけないよな」
こいつはちょっと変だ。
難しいことはよく分からないから、言葉にするのが難しいけどとにかく変だ。
「大人の難し~い会議だってさ。ルーモスと遊んで来いと」
「そう。魔物の話、聞いた?」
「まだ聞いてない。」
「タランチュラだってさ。大きい蜘蛛だよ。」
「なんだ蜘蛛かぁ、」
蜘蛛なら父さんたちも大丈夫か。良かった。足が多いからあんな音が鳴っていたのか?
「かなり大きいかったね。ダンテさん3人分くらいじゃないのかな。なにはともあれ少しの怪我人だけで良かったよ。」
「父さん3人分!?そんなにでけーのか!すげぇな。怪我人も出たのかよ!」
「まぁこっちの村でも何人か救護に向かったみたいだから、大丈夫だと思う。」
「そうだったのか!ありがとなほんと!てかルーモスは何でも知ってんだな!見てたみてーだ!」
「そうだよ。そのことで相談があるんだ。トーマにはこの国の王になって欲しいんだ。」
「は?そうだよって、お前こんな時にごっこ遊びかよ!冗談やめろって!」
「遊びじゃないんだけど、無理なら良いよ。他にも王の資格を持つ人は居るからね。」
「難しいこと言うなっつーの!なんだそれやったら強くなれんのか?」
「さぁ。どうかな。それは今後の努力次第かな。でも頑張れば、世界一強くなれるよ。」
「世界一!?やる!!俺世界一強くなって母さんも父さんもサラもみんな守る!!」
「そう。じゃ、これから修行しなきゃね。俺が教えてあげる。」
なんかこいつ難しいことばっか言いやがってわけわかんねーけど、今回みたいなことが起きた時のために、俺は強くなりたい。
いや、ならなきゃいけない。
”強くなりたい”その一心で修業を始めることになった。