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お披露目前の控室

 今朝は早くからこの豪華な控室に、沢山のヘアメイク専門女性白神官さん達がいらしてくれた。


 うふふ。

 初めてハーフアップに髪を()われ、初めてお化粧をして、なんだか舞い上がりそう。


 私はレースを贅沢に使った白いロングドレスに着替え、5センチのヒールを履き、完全な別人へと変身。


「聖女様。とてもお綺麗ですよ」

「とてもお似合いです」


 更衣室を出て、大きな鏡の前まで来ると、嬉しくなってスカートをクルっと(ひるがえ)した。


 うわぁ。

 自分で言うのもなんだけど、綺麗に化けたなぁ。


「ありがとうございます。別人のようですね。プロは凄いです」

「とんでもない。聖女様本来のお美しさですよ」


 そして、全てを準備してくれたボルドーさんに向き直り、ドレスの(すそ)を持ち、出来るだけ優雅に腰を落とす。


「本日は素敵なドレスや靴の他にも、色々と準備して頂きありがとうございました」


 ボルドーさんはドレスや靴やアクセサリーはもちろん、お化粧品やシャンプーに石鹸に至るまで、全て私好みに準備してくれた。


 流石、付き合いが長いだけあって、私の事を把握している。


 ボルドーさんは(まぶ)しそうに目を細め「光栄の(きわ)みでございます」とコーデンさんと共に芝居かかった仕草で頭を下げた。


 やっと、やっとお礼が言える。


「ファーストヒールを頂いてから、かなりお待たせしました。やっと恩返しが出来そうです」


「あの小さなお姫様に、ファーストヒールを贈らせて頂けた事は、私共(わたくしども)の誇りですよ」


 ボルドーさんはとても懐かしそうに私を見た。


 ふふふ。小さなお姫様か……。

 そういえば昔のボルドーさんは、時々私をそう呼んでいたな。



「聖女様。そろそろ皆様をお呼びします」


 準備が整ったので、白神官さんがガインさん達を部屋に呼び入れる。

 ガヤガヤと騒ぎながら入って来たみんなは、私を見て、その場で息を飲んだ。


「「「「!!」」」」


 ふふっ。なんだか恥ずかしいな。

 白神官さん達のビフォーアフターテクが凄いんだってば。


 照れ隠しに聖女様っぽく、優雅に微笑んで見せると「これはこれは」と師匠が驚き、ガインさんはニヤニヤ笑って「化けるもんだな」と失礼なことを言う。


 そしてフェルネットさんが「見違えたなぁ」と笑い、ハートさんは「綺麗だよ」といつものように優しく笑った。



「ハートさん。今日で娘を卒業です。本当に、本当に、ありがとうございました」



 ハートさんは “実は教会からの極秘任務で、年を誤魔化し父親役として聖女の警護をしていた” という設定で公表される事に。


「俺が望んだ事なんだ。今度は娘じゃなく聖女としてお前を守るよ」



 15歳になった私は今日、聖女のお披露目のパレードをする。



 てっきりお城で、お披露目パーティーをすると思っていたから驚いた。


 今日一日は国民に夢を与える為、優雅に神秘的に振舞うよう言われているし、頑張らなくては。


 聖女の初舞台だ。


 それにしても、ガインさん達が聖騎士の正装服を着ていて凄くかっこいい。

 化けるもんだなって言葉を、そのまま返したい。


「ふふふ。皆さんも素敵じゃないですか。凄くお似合いです!」

「まぁな。お前の為なら、なんだって着るさ」


 もう、ガインさんったら赤くなっちゃって、照れ屋なんだから。



 彼らは私と教皇様の張り付き警護に任命され、共にパレードに参加する。


 ハートさんは風魔法で花びらを舞わせる係、師匠は水をミストにして私の周りにキラキラを降らせる係。


 運営必死かよ。と、突っ込みたくなる。


 私はオープンカーではなくオープン馬車に乗り、教皇様の隣で広範囲の疲労回復魔法を民衆にバンバンかけながら、全方位に笑顔を振りまくんだって。


 魔力の回復薬は足元に大量に準備されているらしい。

 ホント運営、どんだけだよ。


 王都の中心街を出て、グルっと一周し、戻って来たら終了。

 とにかく頑張るぞ! とみんなで気合を入れ、パレード用の馬車に向かった。


読んでいただきありがとうございました。

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誤字報告、本当に本当にありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
双子だから顔が同じだから、入れ替わりを画策しそうだな。妹 でも、同じ顔でも知性って目に現れるし 成長とともに表情の癖とかがシワになったりなんだりして だんだん生き様が顔に現れるから、似ている別人にな…
[一言] これ離れに隔離された黒神官との婚約禁止って手紙出してきたエヴァス母が思いっきり後悔しそう。 10歳〜15歳までの5年間全力で外堀埋めるのに尽力してたら聖女の義母になってた可能性が大分あったん…
[一言] 問題はパレードの間に他人のモノを奪う事を躊躇わない悪魔の妹がPOPしないかだが……
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