初めてのステータス
朝陽が眩しくて目が開けられない。
眠い目を擦りながらなんとか起きて顔を洗うと、ハートさんがタオルで顔を拭いてくれる。
「眠れなかったのか?」
「眩しいだけです」
目をしょぼしょぼさせてそう言うと、木剣を渡され『目を覚ませ』と笑われた。
ははは。嫌でも目が覚めましたって。
カンカンカンと力いっぱいに、両手で木剣を叩きつける。
「ほら、ほら、踏み込みが甘いぞ」
ハートさんとの朝練もだいぶ慣れてきた。
朝の空気は気持ちいい。
ふふっ。隙あり! カン!
汗を拭うハートさんに目掛け、死角から打ち込んだはずなのに片手で軽く返される。
むぅ、5歳児にも容赦ないな。
弓使いかと思ったら、剣の方が適性武器なんだって。
ふふふ。最近は、みんなが私に色々教えてくれてありがたい。
世間知らずな上に日本の常識が邪魔をして、正直困っていたからね
シドさんは移動中、読み書き、歴史、地理などを教えてくれた。
今夜はフェルネットさんが結界魔法を教えてくれるらしい。
でも、魔法が使えないとは伝えたけれど “使えない” の意味が言えていない。
どうしよう。
「先にステータスを確認したいんだけど、いい?」
「ステータス?」
朝食が終わり身支度を整えていると、フェルネットさんが手招きをして私を呼んだ。
ステータスってよくあるアレだよね。
出せませんよ。
5歳児に難しいこと言わないで。
「そっか、そっか、それもまだ教わっていないのか」
トコトコと歩いて行った私の頭を優しく撫でて嬉しそうに笑う。
好奇心いっぱいのフェルネットさんはとっても楽しそう。
「ステータスフルオープンて言える?」
「ステータスフルオープン?」
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マリー 女 5歳 光適性
Lv.5
S級冒険者「黒龍」所属
HP 80/80
MP 70100/70100
光属性Lv.1
闇属性Lv.1
火属性Lv.1
水属性Lv.1
緑属性Lv.1
土属性Lv.1
風属性Lv.1
加護
緑の精霊
光の女神
闇の女神
火の女神
水の女神
緑の女神
土の女神
風の女神
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お、レベル上がってる。
て、なにこの加護……。
適性がないと使えないのはこの世界の常識だから、この場合 “光” だけは使えるのかな?
緑の精霊さんが入った事だけは分かっている。
でも、この女神って……。
それともこれがデフォルト表示なのかな?
私がステータス画面を見て考え込んでると、フェルネットさんが「どれどれ」と覗きに来た。
「なにこれ?」
フェルネットさんがステータス画面を見て固まっている。
異変に気付いたシドさんとハートさんが、画面を覗いて固まった。
「何やってんだお前ら」
そう言いながら覗き込んだガインさんも固まった。
皆が驚くという事は、やっぱりデフォルトじゃないのか。
緑の精霊さんの加護は分かるのよ。
もしかしてあのハグで女神さまが加護を?
と、私も含めて全員が、ステータス画面の前でしばらくの間フリーズした。
「マリーこれどういうことだ?」
「私も何が何だか、ていうかガインさん顔怖いですよ」
ガインさんの顔がめっちゃ近い怖い。
パニックは私も一緒だから!
「何か心当たりはないか?」
シドさんがガインさんをベリっと剥がしてくれる。
とりあえず私は加護の日にあったことを掻い摘んで説明した。
「うーん。そんなことがあったのか……」
「女神の加護なんて物が存在するとはな」
「他の属性の女神の加護は使えるのか?」
「それよりも化け物じみたMPの量どうなってるの?」
うんうん唸りながら、みんなが私に注目する。
「し、知りませんよ? 初めてステータスを見たのですから。魔法だって諦めていましたし。今の今まで、緑の加護しかないと思っていたのですからね」
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