閑話 教皇様と第一聖騎士団長
「光適性の姉はまだ見つからんのか?」
教皇様の声が少し固い。
「申し訳ございません。第一聖騎士団総出にて探させておりますが足取りが全く……」
いや、本当にいないんですよ。
「光適性の娘じゃぞ。隣国やどこかの貴族に先に捕えられたら大変じゃ。急ぐのじゃ」
それはそうなんですけどね……。
確かに子に光適性が生まれる可能性があるから、闇で高く売られそうだけど。
聖女ではない子供に、教会がそこまでする必要が?
通常業務に支障が出ている状態ですし……。
「ですが第一聖騎士団は教皇様の直轄部隊。あまりお側を離れる訳にはまいりません」
「構わん。うるさくて敵わんが第三聖騎士団が代わりについておる。お前達は子供を探せ」
あの脳筋の第三か。
武闘派しかいないから警護に向かないのに。
教皇様は我々第一ではなく何故、第五の隠密部隊を使わない。
確かにあいつらのやり方はえげつないが、それなりに結果は出すだろうに。
いや、冒険者を拷問にかけたら、それはそれで問題か。
「……かしこまりました」
すぐに立ち上がり教皇様の執務室から出て廊下を速足で歩くが、全く良い手が思いつかない。
我々から逃げてるのか?
あのS級冒険者は教会を敵に回す気か?
それともS級ならではの山越えルートがあるのか?
山の中を捜索しても焚火の跡一つ見つからないし。
どこの村にも町にもいないのに、まさかまだ山に入っていないという事はないよな?
そもそもなんで山越えにS級なんだ。
子供連れでもB級で十分なんじゃないのか。
意味が分からん。
「あ!団長。教皇様はなんと?」
「急いで子供を探せと」
副団長が気の毒そうな目で私を見る。
お前に労わられるくらい気の毒に見えるのか。
「もう一往復しちゃいます?」
もうため息しか出ない。
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