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聖女の加護を双子の妹に奪われたので旅に出ます  作者: ななみ
第六章 審判編

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順調に進む救助

「マリー。そろそろだ」


 私はすっかりハートさんの胸に顔を埋めて寝ていたらしい。

 仕事中に流石にこれは……。


 肩を揺すられて自分の置かれている状況に眩暈(めまい)がした。


「そうですか。ありがとうございます」


 師匠の目が痛いけど、ガインさんも爆睡していたのでセーフってことで。

 そんなガインさんもテッドさんにすぐに起こされ、そしてフェルネットさんを叩き起こしていた。


 みんな上着を羽織り、私はコートを着て自分の薬の入ったカバンを斜め掛けにする。


「俺とフェルネットは現地の聖騎士と救助隊と合流する。シドさんは避難所の総指揮。ハートとテッドはマリーの警護だ。何かあったらシドさんに情報を回せ!」


 ガインさんの命令に、みんなの顔が引き締まった。

 馬車は徐々に減速して停止すると、外からドアが勢いよく開かれる。


「お待ちしておりました! 聖女様!」


 辺りはすっかり真っ暗で、松明を(かか)げた白神官たちが私たちの到着を待ち構えていた。


「こちらに物資をお願いします」


 神官が指定したのはキッチンスペースの近くだ。

 彼らは私が出した回復薬や救援物資を手に、次々と散らばって行く。 


 凄い。

 随分と手際が良くなっている。


「こちらの患者からお願いします。今のところ死者はいません」

「ああ。良かったです」


 ホッとしながら全て取り出し終わると、壁の奥に案内された。


 土魔法で作った個室には、小さな明かりの中で患者が数人横たわっている。

 泥だらけの患者はひとりもいない。


「重傷者は彼らだけです。応急処置で聖騎士が、水魔法で洗浄しました」


 どうりで。

 災害派遣を何度も経験して、私も白神官達も成長していた。


「ここはもう大丈夫そうですね」

「はい。そろそろ聖女様も休憩なさっては?」


 夢中で気が付かなかったけれど、キッチンスペースからはスープのおいしそうな匂いが漂っている。

 料理も成長してるのかな……。みんながほっこり顔で食べていた。


 まだ夜が明けるには時間があるし、なにかお腹に入れて仮眠でも取ろうかな。

 そう思いながらも、私はガインさん達がいる上のポイントに行く道の前で足を止める。



「マリー。ダメだ」


 ハートさんが私の肩に手を掛けた。

 テッドさんも首を振る。


「ちょっと気になっただけです」


 彼らはこうして危険な時だけ私を止める。

 聖女の仕事をしている時は、危険でない限り何をしようが絶対に口を挟まない。

 尊重され信頼されている事を、今更ながらに実感した。


 でも……、ガインさん大丈夫かな。嫌な予感がする。



「嬢ちゃん。ちょっと頼む」


 そこへ、師匠が聖騎士を引き連れて歩いて来た。


「魔力に余裕はあるか?」

「はい」


 師匠は通常ルートから外れた山の中へ、ためらいもなく入って行く。

 着いた先はいくつもの松明に照らされた山肌で、本当に何もなかった。


 通り過ぎた土砂が山を削ったんだ。怖い。

 時折(ときおり)カラカラと小石が転がり落ちてきていた。


「あれが見えるか?」


 目を凝らして師匠が指した方を見る。


「この先に生命反応がある。土魔法で(ゆる)んだ斜面を固めてくれないか」


 なるほど。

 このままだと救助が出来ないんだ。


「ハートさん、テッドさん。協力をお願いします」


 二人は黙って(うなず)き、索敵を開始した。

 私は出来るだけ山肌に近付くと、足元から徐々に固めていく。


「マリー。そこから右斜め上に人がいる。壁を作って保護できるか」

「はい」


 私は指示された方向に、壁を作り、道を作る。


 無心で魔法を操る私の肩を、師匠がポンと叩いた。


「ありがとう。もう十分だ」


 二人の指示の(もと)、どうにか安全な道を作れたみたい。


「流石だな。助かったよ」


 師匠が目を細めて褒めてくれる。

 聖騎士達はすぐに私が作った道を使って救助を始めた。


「生存者は順に馬車で下山している。嬢ちゃんは少し休んでろ」


 私は避難所に戻り、聖女用の個室の簡易ベッドに寝転んだ。

 みんなが働いている中で休むのは、なんとなく気持ちが落ち着かないな。


「ガインさん、大丈夫なのかな……」


読んでいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 1.更新ありがとうございます。  救助活動がトラブルなく進んでよかったです。  住民も最初の救助活動で派遣された町の住民と違って、良識と礼節をわきまえいるのも良きですね。 [気になる点] …
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