序章
……目が覚めた。時計は6時30分。
起きなければ。
「さぶ……」
冬の寒さから逃れるための布団から一旦は出たはいいもののまた潜り込んだ。俺の高校までの所要時間は約一時間半。8時30分に着けばいいから───。
よし寝るか。そう思って再び楽園の扉を開いた。
───悪夢だった。楽園のつもりが悪夢を見た。覚えてはいない。ただただ炎があったことだけを記憶している。夢の中の炎がそうしたかのようにおれの布団は汗で大洪水を引き起こした。今は───8時……。
終わった───。
跳ね起きて、制服を着る。胸に盾を模した校章がデカデカあるブレザーに袖を通して階段を駆け降りる。朝食も食べずに飛び出した。電車に揺られること30分。俺は思った。
「もういいわ」
学校の最寄りで降りてコンビニに直行。サンドイッチとコーラを買って店を出た。
サンドイッチを店の脇で貪り食う。うめぇ。うめえ。今日一日はもう何にもしねぇ。そう決めた時、腹が痛くなった。
ん?なんだ?サンドイッチ当たったか??
不正解だ。腹を刺されていた───。
「は?」
痛みというのは不思議なものだ。状況が理解できず痛みとも認識できず。くすぐったく感じて笑いそうになった。さしたやつの顔は?みえない。はいごからつかれていゆかほなまそよままおれはめほとひか