黄色いアカシア
これは先輩が好きな「僕」目線のお話。
(過激なシーンや生々しい描写等ございませんので純粋な気持ちでお読みいただけます。)
人間は恋愛となると臆病だ。
今までの関係が壊れてしまうんじゃないかと思ってじ自分の気持ちをなかなか伝えられない、みんな恋愛に恐れてばかりだ。
僕は先輩のことが好きだ。いつも優しく笑わせてくれる先輩が好きだ。少しでも先輩の目に映りたかった。けど先輩の目には僕は絶対に映らない。先輩は僕に振り向いてくれない。
先輩には心を寄せてる人がいる。頭が良くて運動もそこそこできて、美人さんで、誰にでも優しいみんなの人気者。僕とは真逆の人間だ。そりゃ何も取り柄もない人より華のある人の方が魅力的で惹かれるだろう。先輩が好きになるのもわかる。先輩ともお似合いだし、先輩のことを忘れて応援するべきだった。
けど、僕には出来なかった。僕は先輩への思いを忘れられなかった。忘れることが出来なかった。
「あの人と今日は話せたんだよ、明日も話せるかな」
「三時間目さー自習だったんだけどな、監督の先生がめっちゃ厳しい先生で落ち着いて勉強もできんかったわwあ、でもな外で二組が体育してて、あの人がさ、俺のこと見つけたとき手振ってくれたんだよな。今日俺ツイてるw」
そんな先輩にとって何気ない話が僕にとっては苦痛だった。付き合ってもないのに勝手に嫉妬して、そんな自分も嫌いになった。
やっぱりあの時、先輩があの人を好きになったあの時あきらめるべきだった。先輩を好きって気持ちを忘れて仲のいい先輩後輩、ただの男友達のままでいればよかった。こんなに辛い思いをするなら先輩を好きになるんじゃなかった、出会うんじゃなかったって後悔している。
なら一層酷く振ってくれて思った。それなら先輩のことを諦められる。でも先輩の事だから僕からの告白もちゃんと受け止めて考えてしまうんじゃないかと思う。告白しても先輩を困らせるだけだし、軽いノリで告白しても人としてどうなのかと思う。告白って恋愛って難しいな、世の中の好きな人に勇気を出して告白してきた人を尊敬するよ。
そんなこと考えているなら行動するべき、考える前に行動するが今は1番合ってるんじゃないかなて思いながら僕は先輩に連絡した。
「先輩、明日空いてますか?
ちょっと話したいことがあるんですけど」
「明日?空いてるよー!話したいこと?」
「はい、なので明日放課後いつもの空き教室で大丈夫ですか?」
「了解!」
こんな何気ないやり取りも僕にとってはとても楽しくて好きだった。けどもう出来なくなるかもしれないて考えると寂しくなる。こんな何気ないトークが会話がずっと続けばいいのにて思ってしまう。
(ふぅー…はぁー…)
「こーんにーちはー!おっ待たせしました!」
先輩に緊張してることが気づかれないようにいつもより声を張って挨拶をした。
「お?今日はいつもより元気がいいねーw何かいいことでもあったんかw?」
あぁ、今日も優しい声で話してくれる。先輩のその優しい笑顔も着崩した制服も寝癖もいつも通り。いつも通りじゃないのは僕だけだ。
「普通誰もいない教室に呼び出されたら何か期待しない?!」なんて、恋愛マンガのようなラノベのようなことは思わないし、先輩も期待なんてしてないと思う。
「そんで、話って何?」
さっきまでスマホいじってたのに、スマホ置いて真っすぐ僕の目を見て真剣に話を聞いてくれようとしている。そんな真っすぐな目で見られたら緊張が増しちゃうよ…
何から言えばいいか、なんて言うべきか。あんなに考えたのに頭の中が真っ白になってしまった。
「?話の内容は分からないけど、言える時になるまで待つよ?」
先輩らしいと思った。いつもそうだ。僕は先輩に待ってもらってばっかりだ。
そうだ今日はこっ酷く振られに来たんだ。言ってしまえばいいんだ。
「先輩、あの、僕…その、、、」
「?」
まただ。1回突っ変えると声がなかなかでなくなる。深呼吸しても落ち着かない。心臓の音がうるさくて耳にも響く。緊張しすぎて自分の声が聞こえない。けど言わないと。勇気を出して伝えた。
「僕は…先輩のことが好きです」
言った、ついに言った。あんなに何を言うか考えたのに結局口から出た言葉はたった一言。でも色々遠回しに言うよりわかりやすかったのではないか。
「…」
先輩は黙ってしまった。そりゃそうだ、好きな人がいるのに告白されてしまったら誰でも困惑するし黙ってしまうのも無理はない。しかも男に、まして後輩に告白されるなんて思ってもなかっただろうし、僕が先輩の立場だったら多分色々取り乱してると思う。
「…な、なんちゃって!そんな訳ないじゃないですかー冗談ですよーw」
なんて言えるはずもなかった。
「えっと…あの…」
僕も黙ってしまった。顔が上げられない。今顔を上げたら恥ずかしすぎて死ぬと思う。
「…ありがとう」
驚いて顔を上げてしまった。耳を真っ赤にさせ、はにかんで笑う先輩がそこに居た。
僕は訳が分からなくなった。普通好きじゃない人に、男に告白されたらそんな顔をするのだろうか。好きな人を目の前にしてする顔では無いのか。その表情には何の意味があるのかこの時はわからなかった。
「さぁ、帰るか。今日は俺が奢ってやる、何食う?」
またいつも通りの会話が始まる。
先輩は僕の告白には突っ込まなかった。振ってもくれなかった。多分先輩は僕が先輩に気持ちを寄せていることに気づいていたからだと思う。先輩に好きな人が居ると僕が知っていることを先輩は知っていたからだと思う。だから何も言わなかったんだろう。
いつもの会話、いつもの帰り道。僕はいつも通り先輩と寄り道して帰った。何気ない普通が幸せなんだ。
僕は未だにあの時の先輩の顔が忘れられない。あれはどういう意味だったのか。それは先輩にしかわからない。知りたいけど今は聞かない。先輩が話してくれる時を待とう。
数年後、その答えを知ることを、先輩の隣を歩んでいることを今の僕は知らない。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
タイトルにある「黄色いアカシア」は、「秘密の恋」という意味を持っています。色々な花言葉を調べるのが楽しかったです(笑)アカシアには「友情」という意味もあり、僕の先輩への恋心だけでなく、僕と先輩の友情という意味でもとらえることができて楽しいですね!
初めて小説を書き、しかもあまり国語が得意ではないので内容が薄かったりあまり伝わってこなかった方もいると思います。気になったことやアドバイス等ございましたら感想と一緒にお願いしたいと思っております。
次回作は「黄色いアカシア」のアナザーストーリー「先輩目線」のお話を同じく短編で投稿予定です。本編では「僕」「先輩」と明確な名前はありませんでしたがアナザーストーリーまでには登場人物の名前を決めようかなと思っているので「僕」と「先輩」の名前(苗字)のいい案がございましたら感想と一緒にコメ欄にて募集してます!
是非小説を書くことが初心者で国語苦手高校生の次回作をお待ちください!