2-55 ドワーフ娘のヒミツ
「ところでモモさァ...」
「なあに、イザ?」
「あのね... 話は変わるけど、ドワーフの人ってみんな、こう、横に大きくて体格いいじゃない?」
「そうね。あの体格がドワーフの特徴だもんね」
『名もない兵士亭』という一風変わった名前の料亭の個室で、カイオ王子とイザベルたちは、ドワーフ国軍総司令官のガン将軍、南部兵団長ラナ将軍、ミナ師団長、ロン師団長、それに新しく勇者グループの一員になったモモー 本名ダルーシ・モモッタ・ロウ・バンディ少尉- とすっかり打ち解け合って、ご馳走を食べ、お酒を飲んでいた。もっとも、カイオ王子もイザベルもお酒はたしなまないのでジュースを飲んでいるのだが。
「で、あなたはドワーフなのに、なんでそんなにスマートなの? それに髪も金髪だし。ドワーフって、ほら、髪はみんな黒かったり茶色だったりじゃない?」
「うふふ... それは私が食事制限をしているからよ。ほら、私もお年頃でしょう?やはりスマートになりたいわよ!」
「ええーっ!モモって食事制限をしているのォ? その割にはよく食べているようだけど...? それにそれは金髪で青い目という理由にはならないわ?」
イザベルはモモの前にあるお皿が山鳥のホネや串焼きの串などでいっぱいになっているのを見ながら言った。
「あーはっはっは!冗談よ、冗談!私が食事制限なんかするはずないでしょう? そんなことしていたら、勇者さんたちといっしょに魔軍相手に戦われないわ!」
「あー、もうビックリした。じゃあ、なんでそんなに細いのよ?」
「えーっ、そんなに細くないわよ? ちゃんと出るところは出ているんだから!イザほどじゃないけど...」
「な、なに、その“イザほどじゃないけど”って言うのは? まるで私の胸やお尻が豊かみたいじゃない?!」
イザベルが周りの男どもに聞こえないように声を低くして抗議する。
モモも同じく声を低くして言う。
「だって、イザったら、うらやましいくらい豊満なんですもの...」
しげしげとイザベルの豊満なところをジロジロ見ながら上目づかいに言う。
これにはイザベルもぐうの音も出なかった…
「私はね... ひいひいおじいちゃんが龍族なのよ。」
「ええーっ、ガン総司令官、いや、あのおじちゃんは龍族人なの?全然そんな風に見えないけど?」
ニゴリ酒で顔を真っ赤にしながらも、まだぐいぐい飲み続けているガン総司令官の方を見る。
「ガンおじいちゃんは、ひいひいおじいちゃんじゃないわ。ガンおじいちゃんのひいひいおじいちゃんよ。その人が龍人― 正しくは白龍族って言うらしいんだけど― という種族だったらしいの。その龍人の奥さんが、私のひいひいおばあちゃんになるそうなんだけど、あまり詳しい話は知らないわ...」
「ああ、それでさっきモモのステータスが出たときにスキルに《龍人能力》ってあったのね...」
モモがおばあちゃん- ガン将軍の奥さんから聞いた話によると、これも彼女がガン将軍に嫁いだときに、当のひいひいおばあちゃんから聞いた話ということだが- そのひいひいおばあちゃんの夫は龍族人で色が白く金髪で青い目をしていたらしい。
それが、どういうわけか、モモがそのひいひいおじいちゃんの血をより濃く受け継いで生まれたらしい。ほかの兄弟やいとこたちにはモモのように色白でスラリとした体のものはいないそうなので、隔世遺伝みたいなものだろう。
母親のラナ将軍は女性ながらふつうにドワーフらしく横幅が広いし、叔母のミナ少将も幅広い。モモの2人の兄も母親に負けないくらい横に大きいらしい。
「えーっ、モモって一人っ子じゃなかったのォ?」
「いやあねェ、イザ。ドワーフって結構多産なのよ? ラナ将軍の娘は私一人だけど、兄たちがいるのよ。」
「てっきり一人っ子だと思ってた...」
「一番上の兄は東部兵団の少佐、二番目は兵器廠開発課の課長よ。ついでにロン少将は2番目の兄の奥さんの兄さん― つまり、私にとっては義兄ということになるわね。それに兵器廠長官も叔父さんなのよ。」
「どうりでラナ将軍の新兵器などがどんどん採用されて制作されるわけね。」
「バンディ一族のドワーフ国軍に対する影響力って想像以上のものがあるの。まあ、私は違った道を選んだわけだけど...」
「そうなんだ... でも、私たちは、新しい“勇者”を歓迎するわ!」
「ちょっとぉ、イザ、私はまだ何もしてないし、“勇者”なんておこがましいわ。」
「そんなことはないよ、モモちゃん。ガン総司令官の話してくれたこと、君のこれまでの経歴、その純粋さと意気込みは、もう十分“勇者”だと思うよ。」
いつから聞いていたのか、カイオが話に割り込み、イザベルの意見に同意する。
「カイオ、あなたいつから女子トークを聞いていたの?」
「何かがとても豊かだとか... ドワーフの穀倉地帯の収穫のことかな?」
「そ、そうよ。モモとドワーフ国の平原地帯の収穫は豊だって話して...」
「いや、たしかイザのどこそこが豊かだったって話だったよね?モモちゃん?」
「っつ...」
「!!」
いまさらながらにカイオの地獄耳に驚く二人だったが、このままでは女子トークを続けられないと思った二人、対面に座っていたロンにカイオの隣に来て座るようにたのんでから、さっさと席を立ってラナとミナの横に座りに行ってしまった。
それを見たカイオは“やれやれ...”と肩をすくめながら、ガン総司令官とロンにはさまれて話をする羽目になった。
一方、ラナ将軍とミナのとなりに座った若い二人は今度はどんな話をしてるかといえば…
「あのね、イザ...」
「なぁに、モモちゃん?」
「私ね、お尻にシッポがあるの...」
「ああ、ビテイ骨っていうヤツでしょう?人族でそういうのがちょっと出ている人がいるってお母さんが教えてくれたわ。」
「いや、私のはちゃんと10センチくらいの長さのあるシッポなの。ほら、ちょっとさわってみて。」
イザベルの片手をとり、上着をちょっとまくってから腰のあたりから手をズボンの中に入れた。
「モ、モモちゃん、な、なにをするの?」
ふっくらとした柔らかいお尻の感触に少々あわて気味のイザベルの指先がふれたのものは...
ゴムのような弾力性のあるムチムチしたなめらかで太く長い指のようなものだった!
たしかに、それはビテイ骨にしては長すぎた。10センチほどの長さがある!?
となりで二人がモソモソやっているのを見たミナは
「あー、モモッタたら、またシッポを人に見せている!」とニヤニヤしている。
「モモッタは気に入った人にはすぐ自分の“ヒミツ”を見せたがるからね!」
ラナがモモが自分の体のヒミツを信頼できるものと共有したがるクセがあることを言う。
「それで何人のボーイフレンドにフラれたことやら...」
「だ、誰がシッポを見せてボーイフレンドにフラれたんですって、叔母様!?」
「あら、そうじゃなかったの?」
「軟弱な男子は私の好みじゃないだけよ!」
「じゃあ、まあそういうことにしときましょ」
「ヒドーイ!」
「ギャハハハハ!」
「ガッハッハッハ!」
なんとも仲のいい家族だ。
ニゴリ酒




