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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
転生の章
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2-47 ドワーフ軍南部兵団

ストリーはドワーフ戦線にもどり、ドワーフ軍と対峙していた魔軍を壊滅状態にしたイザベルとカイオ王子のエピソードです。


 イザベルとカイオはドワーフ軍の地下陣地内のある大きな部屋にいた。

そこには、鉄製と思われる“モノ”がうずたかく積み上げられていた。


 それを見ながらイザベルが聞いた。

「ラナ将軍、進捗状況はどうですか?」

「そうだなぁ。鍛冶職人(かじしょくにん)だけでなく、女や子どもも手伝ってくれているので思ったより進んでいるようだな!」

ドワーフ軍南部兵団の司令官であるラナ兵団長が答える。


「必要な数量は間に合いますか?」

今度はカイオ王子が聞く。

「これは、今回の作戦ではたいへん重要なことだと皆にしっかり伝えてあるので、皆十分理解して作業に取り組んでおる!」

今度はズン第一師団長が答える。

「すべては予定通りということだな?」

ラナ兵団長が確認する。


ドワーフ軍においては、男も女も差別はない。

最前線でいっしょに戦い、手柄を立てれば男でも女でも昇進する。

なので女であっても功績を積み重ねれば佐官級にでも将官にでもなれるのだ。



 ラナ兵団長。

フルネームはドワ・アグア=ラナ・バンディ。

女ながら南部兵団を率いて魔軍相手に一歩も引かない戦いを進めている。


 いや、一歩も引かないどころか、半年ほど前から攻勢に移り、魔軍を大きく押し戻している。

アグア=ラナというのがファーストネームだが、長くてメンドウなので誰でもラナと呼んでいる。

 いくらドワーフであれ、女性に歳を聞くのは失礼だが― イザベルが聞いたところ、「ガッハッハッハ」と大笑いして、「あたしなんかの歳になったら、そんなこと気にしないよ」と言って教えてくれた年齢は50代半ばらしい。


 ラナ将軍といっしょにいる南軍兵団の師団長たちは:

第一師団 師団長 ドワ・エデュ=ミナ・バンディ(通称ミナ)女― ラナ将軍の妹

第二師団 師団長 ドワ・ズンドコ・タングレ(通称ズン)男

第三師団 師団長 ドワ・ガンロン・グレド(通称ロン) 男

第四師団 師団長 ドワ・ベージズ・ボビン(通称ボビ) 男


 ラナ兵団長は片目がなく、黒い皮の眼帯をかけている。

ズン師団長は右腕が肘の先からなく鉄製の義手をつけている。

ロン師団長は右足が膝下からなく、これも鉄製の義足をつけている。

ボビ師団長は左手には指が三本しかない。


 五体満足なのはラナ兵団長の妹のミナだけだが、それでも鉄製のプレートに隠れた体にはいくつかの戦いの傷跡があるという。

 ドワーフの軍人にとっては、戦傷とか手足を戦いでなくしたというのは“勲章”と等しいほど栄誉あることのようだ。




 あの日―


 十日ほど前、イザベルとカイオがドワーフ軍と対峙していた魔軍の前線を焦熱地獄に変えた日。

2人がようやく焦土作戦を中止したのは、陽もすでに高くなったころだった。

 おそらく数万単位の魔軍兵士が焼き殺されたことだろう。イザベルもカイオもローギもキャネリーも疲れ切っていたが、彼らの顔は汗と煤で真っ黒になっていながらも晴れ晴れとしていた。


 最初に確保していた魔軍前線横断ルートで待っていた銀狼たちと合流したあと、粛々(しゅくしゅく)とドワーフ軍の前線へと向かったのだった。

 無人と化した魔軍の前線地帯を超えて、しばらく歩くとドワーフ軍の前線地域に入るが、ドワーフ軍からは一切攻撃がない。

 一定の距離をおいて設置されている物見やぐらから監視員らしいドワーフ軍兵士がこちらを見ているが何も起こらない。


 ドワーフ軍前線の防御陣地が見えてきた時、門が大きく開かれドワーフ族国の国旗を掲げたドワーフ軍人たちの一団が近づいてくるのが見えた。誰も剣も槍も弓も構えていない。

 近づくにつれて、十数人ほどの彼らのほとんどが立派なプレートアーマーを装備し、マントをはおっているのがわかった。ということは、下っ端の現地の指揮官などではなく、かなり階級が上のドワーフ軍将校だろう。


 双方の距離が10メートルほどになった。

ドワーフ族は背が低く140センチから150センチの者がほとんどだ。

その代わり、横が太く、まるで樽にプレートアーマーをかぶせ剣を下げているように見える。


 彼らは笑みを満面に浮かべていた。その将校たちの真ん中にいる、身長が140センチを切るほど低い女- そのドワーフ一将校一団の中でもっとも階級が高いと思われるドワーフ将校- がニコニコ笑いながら両手を広げて言った。


「おお、おぬしらか? 一晩中かけて魔軍のウジムシどもを焼き払ってくれたのは?!」

「あ、はじめまして。私たちはあなたたちと一緒に魔軍と戦うために来ました!」

「ガッハッハッハ!それは願ってもない!」

「私はイザベルです。」

「ボクはカイオ。」

「ボクはギブです。そしてこの銀狼さんたちは、ボクたちの味方です!」


「おお、そうかそうか!あたしはドワーフ軍南方兵団長のラナだ、よろしくな!」

すぐにそばにいた別の将校が慌てて補足する。

「こちらは南方兵団兵団長のドワ・アグア=ラナ・バンディ中将だ」

「よいよい、そんなかたくるしい階級名は。それより夜通しの戦闘で疲れておるだろう、早くわが軍の陣地内に入るがよい。風呂も食事もあるので、ゆっくりと休み、食事をしたあとで話そう!」

 ドワーフたちは、イザベルたちがドワーフ軍にとって“魔軍前線を壊滅状態にした、想像もできないほど心強い味方”ということを知っていたのだ。




 ドワーフ軍の前線陣地は、当然ながら地下にあった。

 魔軍はブラックドラゴンなどを使って攻撃してくるため、それを避けるためには地下に陣地を作るのがもっとも安全なのだ。

 それにドワーフは人族など比べものにならないほど力があり、スタミナもあるため、トンネル掘りはまったく問題ないのだ。そのため、ドワーフ軍は前線に縦横無尽にトンネルを張りめぐらせていた。


 その地下陣地の中にある風呂でさっぱりと汗と埃を流し、持って来ていた着替えの服を着て、まあまあの食事- 軍隊の食事というのは不味いのだ- をとったあとでイザベルたちは司令本部室に使われているかなり広い部屋に案内された。もちろん、すべて地下だ。銀狼たちもシャワーや食事をあたえられて、別の部屋で休息をとっている。


 テーブルの上の作戦図を見ながら何やら話していたラナ兵団長たちは、イザベルたちが入室すると話をやめ、近くに来るように招いた。

椅子を勧められ、カイオ、イザベル、ギブは座る。ラナ兵団長たちもテーブルをはさんで対面に座った。

「うん、すこしは生き返ったような顔になったな。本来であれば、もう少し休ませてやりたいんだが、こいつらが“早くどういう目的をもって魔軍前線を攻撃したのか聞きたい”とせかすもんだからな!」

「ラナ兵団長、“こいつら”なんて言ってないで、我々をこの勇敢な人族の戦士たちに紹介してください!」

「ガッハッハッハ!そうだった、そうだった。まだお前らを紹介してなかったな?」

「まだですよ...」


ラナ兵団長に似ているが、ずっと若いドワーフの女将校がブスっとした顔で言う。

「面倒くさい。右の者から自己紹介しろ!」

ラナ兵団長の命令でそれぞれ自己紹介をする。

それぞれ、第一師団長、第二師団長、第三師団長、第四師団長と名乗った。


第一師団長のドワ・エデュ=ミナ・バンディ― 「ミナでいい」と言ったのがラナ兵団長の妹のようだ。

“全員“ドワ”って名前がついているけど、みんな兄弟か親戚?”

とカイオやイザベルが思っているのを察したのだろう、ラナ兵団長が説明してくれた。

「ドワーフ軍人で大きな戦功のあった者は“ドワ”という称号を国王閣下からいただくんだよ。」


 それからイザベルたちは自分たちが異世界からやって来た者で、もう一つのグループ(レオとアイミの二人だけだが...)がヤマト軍と接触し、南部と北部から同時に魔軍を攻撃するための作戦についてヤマト国軍の司令官と話し合っているであろうことを説明した。

 そして、昨夜からの魔軍への攻撃は、自分たちがミィテラの世界でほかの種族と協力して戦い、魔軍相手に十分に戦える力を持っていることを示すことが目的だったと話した。


「ふーむ... たしかにあれだけの攻撃能力を持つものは、ワシの知っている限り、ドワーフ軍にも魔軍にもいない... いるとしたらエルフの魔術師くらいかな... まあ、エルフのことはよく知らんが。」

「しかし、にわかに現れて、ヤマト軍と協力して魔軍と戦えと言われてもな...」

第二師団のズン師団長が、当然とも言える反応を示した。

「ドワーフ軍の猛者の皆さんが、私のあとについてきて、私の火矢の雨から逃れた魔軍どもを片っ端から始末してくださるのであれば、私はルゾード魔王の魔都まで攻め入ってお見せしますよ!」

イザベルが自信たっぷりに言い切り、ずらっと目の前に並ぶドワーフ軍の師団長たちをジロリと青い目で見渡した。


赤毛の美少女、まるで昔の女任侠映画のヒロインのような凄みを見せた!?





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