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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
転生の章
50/526

2-31 エルフ少女の冒険①

スピンオフ作品です。

天才エルフ少女魔術師、アイミちゃんのバイオグラフィー的ストリーです。

スピンオフ作品です。


 そのエルフの女の子は、ミッッデンランジア(中央大陸)にあるマハナヤ山脈の奥深いところにあるエルフのかくれ里で生まれました。


 エルフのかくれ里は、それはそれはとても美しいところにありました。

エルフのかくれ里からは、マハナヤ山脈の中でももっとも美しいと言われるガヤー山が気高く聳えているのが見えます。

 また、ガヤー山に連なって見える山々は、高さこそガヤー山には及びませんが、それぞれ美しい白銀の峰を見せています。


 エルフのかくれ里は、もっとも近い獣人族の村からでも100キロ以上離れたところにあります。

当然、マハナヤ山脈の真っ只中にあるため、高地で空気が希薄なこともあり常人ではとてもたどり着けないところです。


 百年前に新魔王ルゾードの魔軍によって、エルフ国の首都アルフヘイムおよび“神聖な山”ミトラカルナー山をふくむエルフの聖域が占領されたあと、エルフ女王エフィジェンヌは必死の思いでエルフの民を連れてこのミッッデンランジアの秘境とも言えるところに逃亡してきたのでした。

 女王とエルフの民が逃げる時間をかせぐべく戦ったエルフ軍のシューナーデ将軍と数百人のエルフ戦士たちは最後の一兵まで戦って死んだそうです。


 シューナーデ将軍とエルフ神衛士たちは、最後まで魔王の軍勢と戦いながらも若いエルフ兵士たちを魔法陣を使って女王のあとを追わせたあとで自ら魔法陣を破壊して、魔王の軍勢がエフィジェンヌ女王たちの後を追うのを阻止しました。

 女王は、最後のエルフ兵士が魔法陣から出てきたのを確認して、涙を流しながら脱出側の魔法陣の破壊を命じたと言われています。


 多くのエルフたちの血と命によって救われたエルフの民を引き連れたエフィジェンヌ女王は、二度とエルフの民をそんな悲惨な目に合わせないために、長い、長い旅をして、誰人も容易に近づけないマハナヤ山脈の奥深い場所に新しくエルフの里を作ることを決意したのです。

 新しいエルフの里を作るにあたって、女王がもっとも苦労したのが生活の基盤となる食と住のほかに種族の安全でした。


 エルフの里の安全を確実なものにするために、エフィジェンヌ女王は、魔法陣の最高権威であったカイヒャク師にエルフの里を守る魔法陣を開発するように命じました。

 カイヒャク師は異世界 ―つまりテラ― へ行くことができる魔法陣を作り上げた魔法陣の大天才でした。エフィジェンヌ女王と多くのエルフの民が無事に逃げることができたのもカイヒャクが移動用の魔法陣を研究用に作っていたおかげなのだそうです。


 しかし、ミィテラの世界への転移用もしくは異世界への転移用魔法陣とエルフの里を守る魔法陣は根本的に違います。でも、エルフの安全を考えた場合、防御結界魔法陣はどうしても作る必要がありました。

アルフヘルムで起こった悲劇は、二度と起こしてはならないのです。

 かくして、カイヒャク師は一生懸命にエルフの里を守る結界魔法陣を作るために、寝る間も惜しんで研究を続けていたのですが...

 そこにカイヒャク師にとっても、エルフ種族全体にとっても、思いもよらない深刻な問題に直面することになったのです。その問題はエルフにとっては死活問題でした。



 そもそも、エルフたちには、一般的に長寿種族と言われています。 

さすがに一部で言われているように、千歳などというエルフはいませんが、それでも三百歳、四百歳というお年寄りエルフはたくさんいました。

 エルフ種族全体にとっての死活問題とは、高齢エルフたちがエルフの里に暮らすようになってから、年に二十人、三十人、四十人と死に始めたことです。

 エルフは長生きであることもあり、その赤ちゃんが生まれる数もとても低いのですが、死亡数も同じように低く、年にいく人かが亡くなるかくらいなのですが、それが年に2桁も亡くなりはじめたのですからこれはもう大問題でした。


 新しく生まれて来るエルフは少ないのに、亡くなるエルフの数が多い。

まるでどこかの世界の東洋の島国のようですが、エルフたちにとって大問題でした。

さらに悪いことに、死んでいくエルフは長生きをした二百歳とか三百歳といった老人エルフばかりではないという衝撃の事実が判明したのです。


 新しいエルフの里に住むようになって十年、二十年、三十年ほど経ったころ、避難して来た時、60歳とか80歳とかいう、エルフとしては極めて“若い世代”と言えるエルフたちが次第に老け始め、“老衰”で亡くなり始めたのです。このことが判明するとエルフたちはパニックに陥りました。


 エルフは一般的にたくさん子を生みません。

生涯で一人か二人か産めばいいうちなのです。結婚、子作りはまだこれから…と考えられる若いエルフ世代― 人族で言えば十代― つまりエルフのそれまでの寿命からいうとティーン世代とも言えるエルフ世代に属するエルフたちまでが亡くなり始めたのです。


 エルフの女王とエルフの長老たちが何度も何度も集まって、この短命という重大問題について話し合いました。そして出した結論は、聖域を離れミッッデンランジアに住むようになったのが原因だということでした。

 というのは、エルフたちは魔王によって侵略されるまで、エルフの聖域(アルフヘルム一帯)と呼ばれるところに住んでいて、この聖域には“神聖な山”と呼ばれるミトラカルナー山が近くにありました。

 この神聖な山からは、神のおぼしめしで慈素という神秘な放射能のようなものが発せられていて、その慈素は生命を生み出す力をあたえると同時に、生きとし生けるものすべてに強い生命力をあたえる特性ももっており、その影響をミィテラの世界中におよぼしていました。

 そして、その神聖な山の守護を神より任せられていたエルフたちは、彼らが長生きできる種族という特性とあわせて神聖な山からの強い慈素を近くで浴びると言うことによって、さらに長生きができるようになったため、エルフたちは数百年も長生きることができていたのです。


 そして、エルフの短命問題は、思いもよらなかったところにまで影響を及ぼしました。

エルフの里の防御結界魔法陣を研究していた魔法陣の最高権威カイヒャク師までが、わずか320歳という若さで老衰で亡くなってしまったのです。

 幸い、彼の研究は弟子のビックズが受け継いだのですが、このヒックスも老齢で150歳を前にして亡くなってしまい、防御魔法陣の研究はその息子のボックズに受け継がれ、カイヒャク師の研究開始から80年目にしてようやく新しいエルフの里を守る結界魔法陣が完成したのでした。


 その結界は、誰人足りと言えどエルフの里に入ろうとすると、知らないうちにUターンして来た道をもどってしまうというものでした。

方位磁石を使おうが、太陽の位置を見ようが、エルフの里に近づく者の視覚や判断力に幻覚をもたらし、絶対にエルフの里に入れないようにすることができるのです。この結界が完成したことにより、新しいエルフの里は本当の意味での「かくれ里」となり、エルフたちが安心して住めるところとなりました。



 そのエルフの女の子が生まれたのは、そういう状況の中でした。

青い目とお母さん譲りの白い髪をもつその女の子はアイミと名付けられました。

ミドルネームとファミリーネームを入れるとアイミ・キャロール・テフと言います。

 アイミの母親のアイフィ・マイユ・テフは有名な魔術師で、祖母のアイホ・ジルダ・ウィンテルは知る人ぞ知る“エルフの大魔術師”と呼ばれる偉大な魔術師でした。


 アイミのお父さん、オイヴァルド・コナ・テフはエルフ女王の宮殿の神衛士長です。

祖父のエヴァルド・ジロン・テフはエルフ女王の神衛士長でしたが、魔軍のアルフヘイム侵略の時、将軍シューナーデとともに最後まで戦って戦死したエルフの英雄の一人です。


 女系に希代の女性魔術師を輩出した家に生まれたアイミも、濃くその血を引いていたのでしょう。

生まれてから8ヶ月になったばかりのある日、アイフィママがお近所にエルフ豆をいただきに行って帰って来たとき、窓辺の涼しいところに置いていた籠の中にいたアイミの周りに、なにかヒラヒラしたものが舞っているのを見ました。


 近づいて見ると、それは数匹の白い蝶々でした。

アイミはキャッキャ言ってよろこんでいます。小さな手を伸ばすと、なんと蝶たちはそろってアイミの手にとまります。しばらくすると、また周りを飛び始め、今度は一匹はアイミのお鼻に、二匹はそれぞれ少し尖った耳の先に、そして一匹は頭の上にとまるではありませんか!


 それを見たアイフィママは、腰を抜かすほど驚きました。

だって、蝶さんたちにそんな知恵はないに決まっているからです。

 すると、ママが帰ってきたのに気がついたアイミが、「バイブバイー!」と言葉にならない言葉をしゃべると、蝶たちは窓から外に出ていってしまいました。

 アイフィママがアイミを抱き上げて、ママを見つけてうれしくてたまらないといった感じのアイミをまじまじと見ていると、そこにアイホおばあちゃんが宮殿での用事が終わって帰って来ました。


「お母さん、お帰りなさい」

「ああ、ただいま。アイミは今日もニコニコご機嫌だね」

「あのー、お母さん。この子ね、今わたしが帰ってきたら、蝶々といっしょに遊んでいたのよ?」

「なになに?蝶々と遊んでいたぁ?」

「でも... まさかね。まだ1歳にもならないのに、そんなことあるはずないわね...」

「ふーん...」

あごに手をあててちょっと考えていたアイホおばあちゃん。


「アイミちゃん、元気でいた?」

「バブババブ」

「あら、そう?あのね、たった今アイミちゃんは蝶々さんたちと遊んでいたでしょう?」

「バブ?」

「そうそう。でね、おばあちゃんもアイミちゃんといっしょに蝶々さんと遊びたいから、また呼んでくれる?」

「バブ!」

母が何をわが子に話しかけているのかと思ったら、なにかとんでもないことを言っているようです。


「ちょっと、お母さん、いくらなんでも...」

と言いかけたとき、窓からヒラヒラと蝶が舞い込んできたのです。

今度は白い蝶だけでなく、黄色やすみれ色の蝶々たちまで!

それを見たおばあちゃんの喜んだことと言ったら。


「この子は将来、大物魔術師になるよ!見ていてごらん、アイフィ、あんたよりもあたしよりも、もっともっとすごい魔術師にね!」


アイフィママも少しびっくりしましたけど、エルフの中には子どもの時からとてつもない能力を示すも子もいるので、それほど驚きはしませんでしたが、アイミを誇らしく思ったのもたしかでした。

でも、そんなことはおくびにも出しませんでした。

アイミを籠から抱き上げ、イスに座ってお乳をあげながらアイフィは“親ばかじゃなくてババばかね...” なんて思いながらニコニコして頬ずりなどをしていましたが、やはりとてもうれしそうでした。


 そのあとで、アイホおばあちゃんは、

「きっとアイミはアイフィおばあちゃんがアーギアとコミュニケーションしているのを見ておぼえたのに違いないわ」と言ったそうです。


 アイフィママは、動物とコミュニケーションできる能力をもっていて、ときたまアーギア― 鷹科の鳥で、エルフたちはこの鳥の足に簡単なメッセージなどを書いた紙を結びつけて通信手段として使っている― を使ってメッセージを友だちなどに送っていたのです。

 アーギアは時速100キロという速さで飛ぶため、迅速な連絡にとても便利なのです。ただ、エルフであれば誰でも動物たちとコミュニケーションできるというわけではなく、これも限られたエルフしか使えないのですが。

 でも、魔術とか魔法とかって、1歳にもならない幼児が見て憶えれるような簡単なものじゃないのよね―! とふつうのエルフなら思うでしょう。けれど、アイミの場合は天性の才能をもっていたのです。


 のちほど、その才能がわかるにつれて、アイホおばあちゃんはアイミは1万年に一人生まれるかどうかという才能だ、と言ったそうです。

 



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