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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
転生の章
5/526

1-05 寿命が100分の1になりました!?

「ならいいんですけど… あ、説明が遅れましたけど、その守護天使、もとい、シーノの専門はあくまでもデフェンスだということを言っておきますね!」

「えーっ、メラ○ーマとかの巨大火力魔法使えないのォ?」

「何を言っているのでですか?あなたが100倍能力持ちで、シーノまでがそんな超強力魔法を使ったら、DKXの世界なんで一週間でクリアしてしまうでしょう!?」

「それもそうだ…」

「その子は、あくまでもあなたが犬死しないための保険よ」

(犬死…オレはワン公と同レベルってか)


「あ、言い方を間違えたわ。不本意な死に方をしないための保険ということよ」

(結構さっき言った言葉を根に持っているみたいだな...)

「私は大らかな心をもっていますから、小さなことを根にもったりはしませんよ」

(そう弁明するあたりが… もう止めとこ)

気を取り直して、最後に聞いてみる。

「ところで創造主様、どうして、こんなにまでしてくれるのかな?」

「ふふふ。よくぞ聞いてくれました」


 そう言うと金髪の創造主は、長い金髪のためかくれていたモノを首から外した。

それは細い金の鎖に付けられた平べったく薄青いものだった。

 オレはどこかでそれを見たような気がした。前世の記憶をまさぐってみたが、いつ、どこで見たのかよく思い出せなかった。

(ひょっとして、元の世界でオレが娘に買ってあげたお土産だったかな?)

「どうやらわずか70年ほど前のことを思い出せないようね」

「?」

「では、これでどうかしら?」


 見る間に金髪の創造主はどんどん小さくなり始めた。

着ている白いドレスはそれに合わせてサイズが縮小しているらしかったが、スリーブがロングからノースリーブに変化した。そして、ウエストあたりまである見事な金髪が短くなり、肩のところまでになった。その顔は少女の顔に変わっていた。


「お、お前はあの時の南アジアの国のはだしの女の子!」

「ようやく思い出せましたね」

そうだ、あの日、あの南アジアの国の街でお金を欲しがる子どもたちに囲まれ、僅かなお金を必死に守ろうとする自分の卑小さに気づいた。そして、そのあとで8歳くらいの金髪で色の白い裸足の少女に出会い、ペンダントをねだられ、少女のあまりの可憐さに何も考えずにあげたのだった。

(そうだ、あのペンダントだ!)

金髪の創造主が手にもっている青みがかった楕円形の陶器製のペンダントは、嫁さんから誕生日プレゼントもらったもので、それをあの日裸足の女の子にれてあげたものと同じだった。


 いつの間にか少女はもとの金髪の創造主エタナールの姿にもどっていた。

ドレスも元にもどっていた。


「私はあの時、あなたの中に”善意”というすばらしい心を見たのです。」

「...... あのクソ暑い、いや、すごく暑かったあの国で、善意をもった人間を探していたってわけか...」

「いえいえ、そんな趣味はありませんわ。」

「え? じゃあ、なんでストリートチルドレンみたいな女の子の格好をしていたんだい?」

「しいて言えば、“人間観察”でしょうか?」

「人間観察?」


「はい。極貧の住民が多いあの国のスラム街で、底辺の人間がどのようにして生きているかを観察していたのです。そこへひょっこりと東アジアの若い旅行者が迷い込んで来のです」

「それがオレだったというわけか...」

「ご明察!」

「それで、小銭とペンダントを子どもたちにあげたオレに善意を見た」

「はい。あなたはあの日以来、ずっと善意を忘れずにみんなのために尽くして来ました。それゆえ、私はご褒美をあげることを決めたのです」


「そうだったのか…」

「でも、あなたにあげるご褒美は当初、100倍能力とDKXの世界だけにつもりでした」

「じゃあ、シーノは…」

「そう。その子はエクストラアワード、特別賞です。あの日、あなたが唯一残っっていた”価値あるモノ”を私にくれたことに対するお礼なのです」

「お礼?」


「はい。今回、あなたのために創った世界=DKXはかなり特別なものとなりますけど、永遠なる時間を生きてきた私にとっては、“善意”の心をもつ高等知能生物は、あなたが初めてではありません」

「それもそうだろうな」

「でも、これまで私が“善意”の心をもつ高等知能生物たちにご褒美として“望む通りの世界”を創りあたえましたけど、誰一人として守護天使を付けた者はいません」

「えっ、そうなの?」


「ええ。それに、少々チート能力を付加してあげても、運悪く新しい世界での目的を果たさずに死んでしまう者もいました。いえ、訂正します。今まで一人として目的を果たすまで生き残った者はいなかった、と言うべきでしょう」

「楽勝世界じゃないんだ…」

「そんなのはゲームの世界だけです。ゲームの世界ではゲームオーバーになっても、セーブ時点で生き返りプレイを続けることができますけど、創造主である私が創る世界は、いくらゲームの世界に類似しているように見えても現実の世界だということを夢々忘れないでください。」

「わかった」


「その上で、今回は特別にシーノを付けたのですから、これは100京回に1回のチャンスだと思って目標達成までがんばってください」

「サンキュウ。がんばるよ」


言い終わらないうちに、目の前が白くかすみ始めた。

(ああ、これで本当にDKXでの新しい人生が始まるのだな…)

気持ちが高揚しつつあるのを感じていると…


「あ、いろいろと説明などに長時間かかってしまって言い忘れましたけど、寿命の方も100分の1になりましたので、クリアはできるだけ急いで…」

(えーっ、何だってェー?)

思う間もなく暗転して、スーッとどこかへ落ちるような感覚に包まれて気が遠くなっていった。




次回からは、いよいよ念願(?)の異世界での冒険が始まります!

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