表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
ラストウオー
480/526

11-33 人魚姫の恋①

 イリリ川でカインガー族にしびれ薬を塗った吹矢を刺されたセレシア。

生け捕りにされたあとで、好色な魔軍の ボリゾディス軍団長に凌辱され、

そのあとでカインガー族の大酋長ツピナンバに食べられてしまう運命だった。


 だが、セレシアの運命は、そんな悲惨なものではなく、“人族の男にプロポーズされ、結婚して幸せに暮らす”ことだったようだ。

 間一髪のところで、駆けつけたレオたち勇者グループに救われ、オクタゴンパレスに連れて行かれて手厚く保護された人魚姫たち。


 アイミの娘、アイのおかげで体力を回復してもらったあとで、レオにプロポーズされたセレシアは、即答せずに「もう少し考えさせてください」とレオに答えた。



 セレシアはかなり混乱していた。


 レオ王さまには命を救ってもらった。

レオ王さまたちが来なければ、今頃は確実にあの黒いケダモノ(ボリゾディス)に凌辱されて、カインガー族の大酋長に食べられ骨までしゃぶられてていたことだろう。

 セレシアは、生け捕りになり、悲運が待っているということを知ったときに、力の限り念話で救いを求めた。誰が彼女の念話を聞いてくれるかわからなかった。誰も救いに来てくれないかも知れなかった。だが、必死に救いを求めた。


 そして、不思議なことにエルフ女王という人が答えてくれたのだ。


(セレシアさん、心配なさらないで。私たちがすぐに助けに行きます!)


そして、1時間もしないうちに、エルフ女王は彼女の仲間の強い戦士たちを連れて来た。

セレシアたちは何時間も網の中に身動きできずに捕らわれていて、脱水症状となり、意識もかなり朦朧としていた。


その時、外でなんだかすごい音が聞こえた。カミナリのようだった。


(やあ、オレはレオ! ちょっと遅くなったけど、助けに来たよ!)


見たこともない人族や鬼人族の戦士たちが入って来て、若い男が白い歯を見せて笑って言った。

セレシアはホッと安心し、お礼を言って気を失ってしまった。


 ………

 ………

 ………


 レオ王たちに助けられて、オクタゴンパレスの温室のプールですっかり体力を回復したあと、セレシアはレオたちに勧められてオムルカル湖に行った。

 どういう魔法か知らないが、“シュンカンテンイ(瞬間転移)”とかいう魔法で、気がついたらオムルカル湖という海のように広い湖にいた。


 オムルカル湖をふくめ周辺は、やはり魔軍が占領していたのだそうだが、レオ王の兵たちが一日で攻略してとりもどしたのだと聞いた。

 そして、オムルカル湖一帯は、レオたちにゾオルを救ってもらったことにたいへん恩義を感じたゼリアンスロゥプ大王が、勇者王国軍がとりもどしてくれたオムルカル湖一帯を勇者王国に無償で譲ってくれたのだそうだ。


 レオ王はゼリアンスロゥプ大王から譲ってもらったオムルカル湖一帯‐オムルカル州と名付けられた‐の統治を、そこを占領していた魔軍第5軍の軍団長であった バリゾディス にまかせたのだという。

 バリゾディスはレオ王の信頼にすごく感激し、自分から進んで『リニュルフ』になったのだとか。



 『リニュルフ』は魔族の身体を構成している元素を変換してふつうの身体(元素)にするもので、これによって魔族を魔族たらしめている元素はなくなって新種族となる。

 魔族の特徴がエルフに似ていることから、変換した魔族はリニューアル・エルフ、略して『リニョルフ』と呼ばれるようになっていた。


 この変換は、最初のころはエタナール様の力を借りたシーノがやっていたが、あまりにも変換希望のタダノマ人が増えたことから、アルフヘイムに『改心殿』という建物が建造され、その中の壁、天井など一面に天才魔法陣設計家キュィポラ先生の手によって魔族種をリニューアル・エルフ種に改造する魔法陣が描かれた。


...というのは一般向けの説明で―


 実際はエタナール様が描いたいたのだが、エタナール様得意の記憶操作で世界中の誰もがキュィポラ先生が描いたと信じこんでいた。


 こうして魔族やタダノマ人たちは、『改心殿』で一日かけてお祈りをして、魔族であったときの非道の数々を悔い改めることでリニョルフとして再出発できるのだった。

 それにより、それまではタダノマ人と人族の間での結婚はできたとしても子どもは作ることができなかった元魔族たちが、人族などと結婚して子どもを作れるようになったのだ。

それは、元魔族(リニョルフ)にとっては僥倖(ぎょうこう)とも言えることだった。

 


 *  *  *



 セレシアは、ナラジャー、イマジャーとともにオムルカル湖の人気者となった。

もちろん、三人とも胸を人に見られないように、ランやイザベルたちが作ってあげたビキニブラを胸につけてはいたが、なにせ美女人魚なので注目を浴びるのは当然だ。


 セレシアは、そこからウオーター・トンネルでオクタゴンハウスのプールに移動したり、またはオマゾンの水晶宮に帰ったりしていた。

 ゴリュテイル王とメリュジーネ王妃にはイリリ川で起こったことを話し、彼女がウオーター・トンネルを使える能力をもっていることもゴリュテイル王に明かした。


 そして、ブージアお婆ちゃんの予言通りに、“運命の人”に出逢えたということも。

王はセレシアがウオーター・トンネルを使えるということに驚き、運命の人が人族の王だということを聞いて口から大量の泡を吹き出して仰天した。

 母親のメリュジーネ王妃は、常にセレシアの味方だったが、娘が恋した男が人族の王だと知って、これもたいへん驚いた。


「とにもかくにも、セレシアが結婚するというのだ」

“どうやって人族と結婚生活を送るのか想像もできんが…”


そう思いながらもゴリュテイル王は、あることを決断した。


「料簡の狭い人魚王とレオン王に思われないように、ここは一応、筋を通して儀礼訪問をせねばならん!」



 その旨をゴリュテイル王はセレシアを通してレオン王に伝えさせた。


レオはゴリュテイル王との会見場所にオムルカル湖を選んだ。

そして万に一つのマチガイもないように、ライトパレスの儀典長であるヴェロニカ夫人と王室出身のミヨカ、サヤカ、ワカメ、それにオリヴィアたちを、人魚王一行をもてなす役目につけ、バリゾディス 司政官に警備その他の受け入れ準備をまかせた。

もちろん、アドバイザーとして│耀貴妃ようきひ夫人を入れることも忘れなかった。




 そして9月の吉日。


人魚族王ゼリンガ・ゴリュテイルは、セレイア・メリュジーネ王妃、人魚軍司令官ギルマン・ビラルクー、女官長イマンジャー・トゥクナレー以下、百名近い女官や人魚兵を連れて川馬に乗って堂々とやって来た。

もちろん、セレシアのウオーター・トンネルを通ってやって来たのだが、ゴリュテイル王たちは、レオが人魚王一行を迎えるために作らせたオムルカル湖の接待場に到着した。



 今回の儀礼訪問の主役であるセレシア姫も、今回は川馬に引かせた立派な海中馬車に乗って着飾ってやって来た。イマジャーもナラジャーも、セレシア姫の付き人として同じ馬車に乗り、なんと貝占いのブージア婆さんまでが晴れ着を着ていっしょに来た。



 レオたちは、水中では思うように動けないし話もできないので、胸までつかるように設計した接待場で人魚族王とその一行を迎えれるように舞台を設定した。

 会談のメーンテーブルまでの長さ百メートルの水中廊下には、イザベルたち美女奥さま、恋人たち、それに300人もの美女たちが並んで人魚王一族を微笑んで迎えた。


 イザベルたちは、この日のためにメイの両親が社長と取締役を務めるユウシャコ傘下のアパレルメーカー『ユウラブ』の総力をあげて作らせた華麗な水着を着ていた。

もちろん、アイミにもバッチリ水着を着させた。彼女も今日はエルフ女王役ではなく、勇者王国レオン王の王妃としての役目を果たすのだ。



 ゴリュテイル王は、水中廊下の両側にずらーっと華麗な水着を着てならぶ美女たちに圧倒された。

(いや、精力ゼツリンな人魚王は、ウホウホ顔で美女たちに釘付けになり過ぎて、 セレイア・メリュジーネ王妃から強烈な肘鉄砲を喰らっていた?)


 儀典長ヴェロニカは、「レオ王の妻と恋人だけでは足りませんわ。ここは全エルフ種族、全人族から選りすぐりの美女も入れるべきです!」と言って、エルフ国やヤマト国、人族連合などから300人近い美女を集め、水着を着せさせたのだった。


 そして、つい2ヶ月ほどまえに子どもを産んだばかりの前エルフ女王エスティーナまで駆り出され、司会役を務めることになった。

 これにはゴリュテイル王もメリュジーネ王妃も大満足で、マサさんたちが腕をふるってオムルカル湖で釣ったばかりの見事な魚をさばいて寿司にして‐ただしワサビなしの‐ふるまったのにも大感激した。ほかの招待客たちには、あらかじめ用意していた魚で寿司を提供したのだが。

 

 そして、酒は、ヤマト国の老舗から取り寄せた大吟醸 、ホランスから取り寄せた白ワイン、アタリアから取り寄せた赤ワインをゴリュテイル王もメリュジーネ王妃たちに飲ませた。

 美酒でほろ酔いの上機嫌になったゴリュテイル王は、水面からたくましい上半身を出して高らかに告げたのだった。


「余、ゼリンガ・ゴリュテイル人魚王は、この人格高貴、ミィテラの世界の全種族に尊敬され、この、3百人の美女を妻にしておる()()()()なる レオ・オーコット・アルマライト勇者国の王が、わが娘セレシア・メリュジーネ・ゴリュテイル姫を妻として(めと)ることを人魚族の王として承認し、人魚族の崇拝する創造主エタナール様の名において、この言葉にウソ偽りのないことを誓う!」


もちろん、人魚語で「■■■■■■ ■■■ ■■■■ ■■■ ■■■■....(省略).....■■■■■■!」


と長ったらしく言ったのだが、それをイマジャーとナラジャーが代わるがわる念話でアイミに伝え、それをアイミがレオに通訳したのだが。


 人魚王の言葉を聞いて、“3百人の美女妻... 精力ゼツリン...”というくだりを聞いて、あやうく笑い転げそうになったのは耀貴妃(ようきひ)だけではなかった。


 耀貴妃は水中にもぐって水の中で大笑いをした。

“おーほっほっほ!レオさんの美女好きも、こういうところで役に立ったのね!それにしても3百人の美女妻は大げさだわ…”


と│耀貴妃ようきひ夫人は考えたが、顔を真っ赤にしながらもレオから目を背けない人魚姫を見て、


“これはひょっとして3百人くらい妻にしてしまうかも知れないわね…”

と考え直し、耀一族と王一族で、13歳以上の少女はいないかしら... などと考えをめぐらせるのだった。

どうやら今や耀貴妃はレオが幸せになるのが楽しみなようだ。



 ゴリュテイル王についで話をしたのはメリュジーネ王妃だった。


「ええ、本当にわが娘が、このように勇敢で心の優しい国王の妻になるなど、人魚族にとって本当に誇らしく、幸せなことでございます。つきましては僭越ではございますが、この婚約式をさらに盛り上げるために、この幸せなカップルに誓いの口づけをして欲しいと思うのですが、みなさまいかがでしょうか?」


 真っ先に賛成の拍手をしはじめたのは、イザベル、ラン、オリヴィアたち25人のレオの美人妻&恋人だった。つれられてゲストたちも拍手し、たちまち大拍手が起こる。

というわけで、おたがいを知るための友好会見は、一転して婚約式となってしまった?

あわてたのはセレシア姫だった。自分の意志を無視して物事がどんどん進んでいく。


“な、なに、これは?これじゃあ、お父さまかお母さまが、「今日からセレシアはレオン王の妻となりなさい!」とおっしゃったら、即結婚ということになるじゃない?”


おどろき唖然となっているセレシアのそばに、晴れ着を着たブージア婆さんが泳いで来た。

片手にはグラスにはいった大吟醸をもっている。


「あ、お婆ちゃん!」

「セレシアさま、よかったですのう!」

「よかったですのうって、今日はおたがいに知り合うだけの会見だったのに...」

「ふぉっほっほ!心配されることはないですぞ?」


「え?」

「あのレオン王、あれはまさしく男の中の男。百人の女を毎晩満足させることのできる精力ゼツリン男ですぞ? 姫もあの王の妻になられたら、毎日、夜が来るのが待ちきれなく...」



 そのとき、ナラジャーとイマジャーが泳いで来て、セレシアの両腕をとるとゴリュテイル王とレオン王がいるテーブルの手前に急いで持ってこられた台の前に連れて行かれた。


「えー、こほん。それでは、レオン王とセレシア姫に、誓いの愛の口づけをしていただきます!」


司会の エスティーナがすました顔で‐しかし、内心は二人の口づけを特等席で見られるという期待感でワクワクしながら‐告げた。


「ええーっ、ここで口づけーェ?」


さーっと寄って来たメリュジーネ王妃がセレシアの耳元でささやいた。


「セレシア、ここで私たちに恥をかかせるものではありませんよ!」


そして、セレシアの頭をやさしくなでるとゴリュテイル王のもとにもどって行った。



 レオは体にぴったりフィットする白い上下の水着(ウエットスーツ)を着て、頭に王冠をはめていた。一方、セレシアは水色のビスチェ(ビキニ)のトップに同色のロングタイトスカートのようなものを下半身につけていた。そしてウエストには白いサンゴ礁のビーズで作ったベルト。

首には大粒の真珠のネックレスをつけ、頭には見事なティアラをつけていた。



 人魚の女は、ふだんは何も着ない。

着てもトップだけで、それも王侯貴族だけだ。


 女性はビスチェのようなトップをつけたり、胸のポッチあたりだけを覆うものをつけるが、一般の女人魚は胸はもろだしなのだ。

今日、セレシアが下半身にも衣装をつけたのは、特別なイベントだったからだ。



 レオはすでに婚約の宣誓が行われる台にいる。

セレシアもしかたなくゆっくり泳いで台に近づく。

宣誓台の両横にはイマジャーとナラジャーが控えている。

二人はセレシアの友人として、婚約式の証人になることをメリュジーネ王妃からたのまれたのだ。



 セレシア姫が台につくと、司会のエスティーナが透き通るような声で告げる。


「それでは、お二人に愛の宣誓をしていただきます!」


ワーワーワ―――――


パチパチパチパチ……


歓声と大拍手が起こる。



こんなこともあろうかと、儀典長ヴェロニカは宣誓書を用意していたのだ。


「オレ、レオン・オーコット・アルマライト勇者国国王は......」

「わたし、人魚族の セレシア・メリュジーネ・ゴリュテイル姫は......」

「「エタナール様に誓って、この人と結婚を前提とした婚約を今日、皆さまを証人としていたします。9月〇〇日。


               レオン・オーコット・アルマライト

               セレシア・メリュジーネ・ゴリュテイル 」」



ワーワーワーワ―――――


パチパチパチパチ……


ひときわ大きな歓声と大拍手が起こる。



エスティーナは、片手でみんなを沈めてから言った。


「それでは、婚約指輪を!」


イマジャーとナラジャーが黄金製の小さな小箱をいっしょにもって来る。

そしてフタを開けると、中には一対の白サンゴでできたエンゲージメントリングがはいっていた。

始めにレオが小さいリングをとり、セレシアの細く白い指にはめる。

ついでセレシアが大きい方のリングをとり、レオの指にはめた。


「それでは“愛の口づけ”を!」


エスティーナが高らかに言い、さらに近寄って“特等席”で愛のシーンを見ようとする。

レオはおもむろにセレシアの細いあごに手をかけると


(シーノ、たのむよ!)

(オーケー、お兄ちゃん!)


守護天使が二人に時間遅延スキルをかけた。

そっと目をつぶったセレシアはまったく気づかない。

ピンクの愛らしい唇にレオは初チューをする。


「!...」


“婚約の口づけって、そっと唇を合わせるだけじゃないの?…”


いつの間にか、レオは右手をセレシアの細い腰にまわし、次第に自分の方に抱き寄せる。

そしてセレシア後頭部を左手で少しずつ自分の方に押しながら、くっつけた唇への圧力を強める。


「むぐぐぐ...」


セシリアは無意識でレオの胸に手あて押して距離を開けようとするが、レオの100倍力の前には無力だ。

苦しくなってわずかに口を開くと、すごい吸引力で舌を吸い出されてしまった。


「ふぎゅ―――っ?!」


目を大きく見開くとレオの目が笑っている。


(レオさま、そんなに力をいれて吸わないでください!)

(え、なぜ? オレたちは婚約の儀式をしているんだよ?)

「ふぎゅぎゅぎゅ!(でも、強く吸い過ぎます!)」

(なにを?)

(わ、わたしの舌をです!)

(だって、セレシアの舌、とろけそうに美味しいんだもん!)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ