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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
転生の章
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2-29 銀狼たちの戦い②

 カイオ王子たちが銀狼のリーダーたちと検討した結果、採択された作戦は、味方を二手に分けて、それぞれ魔軍の兵站基地と駐屯地を攻撃するというものだった。


 魔軍の駐屯基地の方が兵站基地より戦力をもっていると思われるため、主力は駐屯基地を攻撃し、これを殲滅したあとで兵站基地攻撃に加わることにする。


 駐屯地攻撃にはカイオ、イザベルとガブリル、グエンス、ガァロー、そして白銀狼のキャネリーとそれぞれ配下の150頭の銀狼たち。

 兵站基地攻撃は、族長ロボン、ローギ、ギィマロ、ゴローとそれぞれ配下の90頭の銀狼たちとなった。


 さらに、50頭を魔軍の予想逃避ルート(魔族領へ向かうルート)に伏兵として待機させて、逃げ出す魔軍兵士をことごとく始末することにした。

 援軍でも呼ばれたらやっかいだからだ。そして20頭をドワーフ軍の方へ逃げ出す魔族がいたら、これを始末するために配置することにした。

 位置的にこのあたりは魔軍前線の後方地帯なので、前線方面にはまだ魔軍の部隊が多くあるため、襲撃情報を伝えさせないためだ。念には念を入れての殲滅作戦だ。



 作戦決行時間は夜の9時となった。

夜間の攻撃は魔軍のブラックドラゴンによる空からの攻撃の心配がないという大きなメリットがあるのだ。


 ブラックドラゴンの脅威は、そのブレス(吐く息)にあり、麻痺効果のあるその息を吸えば体が痺れ動けなくなってしまう。そこをブラックドラゴンの鋭いキバやツメで攻撃されたり、魔軍兵士に攻撃されたりするので昼間の戦闘はよほどの対空砲火― と言っても弓矢しなないわけだが―がない限り大きなリスクを負うことになる。


 唯一気をつけなければならないのは魔軍の軍用犬とも言えるヒエーナだが、これはギブがイザベルといっしょに作ったマタタビ入りのパンを要所要所に置くことで対処することにした。

ヒエーナは嗅覚がするどいため、銀狼などの匂いを嗅いだらアラートを鳴らすからだ。


 カイオ、イザベル、ギブと150頭の銀狼たちは、兵站基地から200メートルのところにある低木の茂みに隠れていた。風下にいるために哨戒をしているヒエーナには気づかれない。



◇  ◆  ◇



 イザベルがおもむろに立って、ガンデーヴァの弓を構える。

10本以上の矢をつがえ、駐屯基地の上空目がけて放った。


 シュシュシュシュシュシュ―――!


放ち終わったと思った次の瞬間、またも10本以上の矢をつがえ、魔軍の駐屯基地の上空目がけて放つ。


 シュシュシュシュシュシュ―――!


夜空に大きく弧を描いて駐屯基地に落ちた数十本の矢は、次から次へといる魔軍兵士たちに降りかかる。


「ギャッー!」

「ギギー?」

「ギャッ?!」

「アギェー?!」 


ガンデーヴァの弓から放たれた矢は百発百中だ。一矢として的を外さない。

次から次へと矢を放ちながら、イザベルはふとシーノが( あなたには火属性の攻撃魔法があるわ。今度の戦いで思う存分ためしてみることを勧めるわ)と言ったことを思い出した。


“じゃあ、今ためしてみるわ...

炎よ わが聖なる矢に宿り ミィテラの世界を 乱す 魔物たちに 天罰を あたえよ!”



 次の刹那、イザベルが打ち出したすべての矢が夜空高く達した時点で火がついた!

そして火矢となって魔軍兵士の上に、駐屯基地のテントに降り注ぎはじめた。

 魔軍兵士もテントも燃えはじめた。燃えるテントの中から逃げ出す魔軍兵士にさらに燃える火矢が降りそそぐ。

 火矢を放っている敵を探そうにも、矢はイザベルがガーンデーヴァの弓から放った時点では火がついてないので、どこから射っているのかわからないのだ。


「よーし、今だ!攻撃開始!」

「ガオォー!」

「ガオォーン!」

「ガオオオ――ン!」


 ロボンの息子ガブリルに跨ったカイオがゲイ・ボルグの槍を振りかざして駐屯基地に突進する。

右往左往する魔軍兵士たちめがけてゲイ・ボルグの槍を突き出して刺すと、たちまちゲイ・ボルグのの穂先は数十に分かれて、一つ一つが別々の敵を刺した。

一度ゲイ・ボルグの槍を突き出すごとに10人、20人といった魔軍兵士が突き刺され、倒される。


「シーノの言ったとおりだ!これならイケる!」

カイオ王子はガブリルに跨ったまま、敵陣の中を縦横無尽に走り、片っぱしから魔軍兵士たちを数十人ずつ倒していく。

銀狼たちもその体の大きさからは考えられない素早さでカイオ王子を守る形で疾走し、魔族をあるいはキバ、あるいはツメにかけて倒していく。

中でもひときわ敏捷なのが白銀狼のキャネリーだ。


魔軍の駐屯基地は想像もできないような混乱に陥った。



 イザベルは、数百発の炎の矢を駐屯基地に見舞ったあと、方向を変えて隣接する兵站基地に炎の矢を次から次へと矢継ぎ早に数十発ずつ放ち始めた。


 すぐに兵站基地でも火の地獄が始まる。

ころあいはよしとロボンと90頭の銀狼たちが兵站基地に突入した。

そして兵站基地でも阿鼻叫喚地獄が始まった。

銀狼たちは魔族だろうと、ゴブリンだろうとコボルトだろうと容赦なく血祭りにあげていく。


 魔都からの補給物質運搬ルートとして使われている街道には、数百の魔軍兵士たちがわれ先にとなだれ込み、少しでも安全と思われる魔都の方角を目ざして必死に逃げ出そうとしていた。


 それを息をひそめて待ち伏せしていたのが銀狼のグループリーダーの一人であるグエンスだった。


「それっ、かかれ!」


 グエンスの号令のもと、50頭の銀狼たちが、ほとんど武器らしいものももたず、防具らしいもの付けずにに逃走して来た魔族たちに襲いかかった。

 一刻ほど経ったとき、駐屯基地にも兵站基地にも、どこにも息をしている魔族の姿は見られなかった。

とち狂ってドワーフ軍の方角へ逃げ出した魔族兵士たちは、これも前もって配置してあった銀狼たちが一匹も残さずに始末した。

かくして魔軍駐屯基地と兵站基地は全滅させられてしまった。



「よーし!攻撃計画は大成功だ。戦果はあとで確認するとして味方の被害状況を確認してくれ!」

カイオの指示が飛ぶ。


 味方の被害は銀狼十数頭がクロスボウと槍による傷を受けたが、致命傷ではない上、白銀狼のキャネリーが治癒魔法を使えるとのことで彼女が治療していた。キャネリーは戦闘能力が高いだけでなく、治癒や回復魔法も使えるオールラウンド戦士のようだ。


「では、一休止して夜明けまでに、さらに前線に近づき、途中で遭遇する魔軍部隊を今回と同じ戦法で攻撃しようと思うが。このままここに留まっていては、前線の魔軍部隊と、後方から来る魔軍部隊にはさまれてしまう。みんなも意見があったら言ってほしい。」


 最初の戦いで犠牲者なしの大戦果をあげて自信のついた勇者たちと銀狼たちは、一休みしたあと、ドワーフ軍の最前線目指して移動を続けることに賛成した。

行く手を阻む魔軍あれば、これを粉砕するのみ!



 三十分ほどの休息のあと、前方90度の範囲の索敵に数十匹の銀狼たちが散っていった。


 10分もしないうちに、三方から300匹規模の魔軍部隊が接近中との報告が高周波咆哮連絡で入った。

さきほど駐屯基地を殲滅したので後顧の憂いはないので、今回もその3部隊から逃亡兵が逃げ出さないように、30頭ずつの銀狼が退路を断つべく、三部隊の後ろへ回り込むために出発した。


 残った主力は、カイオと銀狼60頭、ギブと銀狼60頭、そしてロボンと銀狼60頭に分かれて迎え撃つことにする。イザベルはローギに乗り、遊撃隊として銀狼30頭を連れてガンデーヴァの弓で魔軍部隊に火の矢の雨を降らせることにする。歯向かって来る魔軍がいれば30頭の銀狼が相手をする。


 今回も風下からの攻撃で魔軍に気づかれることなく奇襲する。

初戦同様、阿鼻叫喚に陥った魔軍部隊に銀狼の群れが突撃する。

魔軍の三部隊は、イザベル、カイオ、ロボンたちの見事な連係プレーで1時間と経たずに壊滅させられた。


 イザベルの火のスコール攻撃の威力は想像以上のもので、魔軍は水をかけても地面を転がっても消せない火に大混乱して銀狼部隊が突入してもとても応戦どころではなかった。

すこし知恵のある魔軍兵士は逃亡を図ったが、これも待ち伏せしていた銀狼たちによって一人残さず殺されてしまった。



 さらにドワーフ軍の最前線を目指して移動する。

銀狼斥候をまた出して、前方の状況を探らせる。すると、どうやらこの先20分ほど行ったところから東西にかけてドワーフ軍と対峙している魔軍の最前線部隊が延々と配置されていることがわかった。 


 レオたちと分かれる前にアイミが言っていた戦況では、この山岳地域で魔軍はかなりドワーフ軍に押し込まれているらしい。

ということは、魔軍の士気はそれほど高いものではなく、いつまたドワーフ軍が総攻撃をかけてくるかと戦々恐々の状態にあるだろう。


「よし!ここは今回のミッションを果たす上でもっとも重要なところだ。今回は魔軍部隊の殲滅は考えなくていい。全員が魔軍の前線を無事通過し、ドワーフ軍側に到着することが最優先だ!」

「では、私たちにとって最大の脅威である魔軍の飛び道具―クロスボウの射程距離― が届かない距離を通過ルートの両側に開ければいいというわけね?」


「その通りだ。で、クロスボウの有効射程は100メートル程度として...」

「通過ルートの幅を20メートルとしたら、両側150メートルずつくらい焼き払えばいいかしら?」

「たぶん、十分だと思う。それと、我々がドワーフ軍の味方だということを何らかの形で見せなければならない」

「.........」

しばし無言のイザベル


「では、こうしましょう。まず、始めにあとで私たちが魔軍の前線を安全に通ってドワーフ軍に渡れるように幅1キロほどの横断ルートを作るわ。そのためには、幅1キロ以内の魔軍を徹底的に焼き払います。」

「ん?それはいいとして、それだけじゃ...」

「そのあと、魔軍前線にそって東西に移動しながら火の矢の雨を降らし続けて魔軍前線をできるだけ壊滅させます。」



ガーンデーヴァの弓の威力の味をしめたイザベル、なんだかとんでもない事を考えているようです?

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