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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
転生の章
41/526

2-22 黒龍魔術師グゴスモ

 ホテル内の魔族を一掃し、表に出ると、また百倍大音声で叫んだ!


「オダ・ノブノブ軍の奇襲攻撃だ――――っ!」


「魔軍司令官バメロスは打ち取った――――っ!」


ホテルで起きている異変に、近くにいた魔軍兵士たちが何事かと数百人ほどホテルの前に集まっていた。

手に手に武器をもっているが、何が起こっているのか皆目わからずに、おろおろし、ガヤガヤ騒いでる。


突然、ホテルの入り口にいた十数人の魔軍将兵たちが吹き飛ばされると、そこには奇妙なヤツが立っていた。


高さは2メートルほど。

なんと頭が二つある。下の頭は樹人の顔。そして上の顔は黄色い布で覆われてるが、頭に被っているのは魔軍司令官バメロスが常用していた紫色で金の装飾が入ったヘルムだった。


「ギャギャ?!」

「ギャー?あ、あれはバメロス司令官さまの...」

「バメロス司令官さまが打ち取られたとか誰か叫んでいたぞ?」



次の瞬間、その二つ頭の怪物は両手を下の口にあてると


「「「「「「「「「オオオオオオオオオオ――――――――――!!!!」」」」」」」

大咆哮を上げながら、前方180度に衝撃波をまき散らした。


 ズドドドドドド――――ン!


ホテル前に集まっていた魔軍兵士たちは一人も残さずに吹っ飛ばされ、ホテルのある通りの前に面している建物はすべて窓や扉が吹き飛ばされ、中には壁が壊れたり、屋根が吹っ飛んだものまである。

もちろん、生き残っている魔族は一人もいない。



「「「「「「「「「オオオオオオオオオオ――――――――――!!!!」」」」」」」


「「「「「「「「「オオオオオオオオオオ――――――――――!!!!」」」」」」」


「「「「「「「「「オオオオオオオオオオ――――――――――!!!!」」」」」」」



 疾風のごとく町の中を走りながら、大咆哮をまき散らす怪物。

その怪物が通ったあとには殺戮と破壊の跡しか残っていなかった。





 しばらくして、レオは副ボス―グゴスモ副司令官― がいると聞いた魔軍将校用の酒場の前にいた。

アイミを少し離れたところで降ろし、ステルス魔法で身を隠しているように言った。


 酒場からは十数人の魔軍の高級将校らしいヤツらが表に出て来ていた。

その中の、カバみたいにデカい図体のヤツがたぶんグゴスモだろう。

胸のところにドクロに似た模様の入った黒色の胸プレートをつけ、裏地が赤い黒マントを羽織っている。


 そいつが発する威圧感がハンパない。

捕虜にした魔兵士が言っていたように、戦闘能力がずば抜けているのは間違いないだろう。

そいつ周囲には魔軍将校らが十数人、すでに剣を抜いて構えている。

レオが大咆哮で破壊しながら疾走して来た騒音と騒ぎを聴いて、何事が起ったのかと表に出てきたのだろう。

 彼らはまるでトルナードのように、通るところを破壊してきた怪物― レオとアイミのことだが― を前にして驚きを隠せないでいた。



 魔族を相手にして戦う者は限られている。

ドワーフ族か鬼人族だ。ほかの種族は極めて弱い。人族など数が多いだけでザコと同じだ。

このあたりには、魔族を前にして怯まない種族、ドワーフも鬼人族もいないはずだ。

そして、魔軍の中でも戦闘能力の高い魔軍将校たちや、バメロス司令官の片腕として、その特異的とも言える強さを誇るグゴスモ副指令官を前にしてビビらない者などいないはずなのだ。


 それなのに、この異様な正体不明の奴は、グゴスモ副司令官の前に平然と立っていた。

グゴスモの発する威圧感にも少しも怯えず、平然と見ている。

 

“コイツは無知かバカに違いない”と魔軍将校たちは思っていた。

ただ、グゴスモだけが歴戦の魔軍戦士らしく、落ち着いて目の前にいる奇妙な奴を観察していた。


 この正体不明の奴が立っている後ろの景色は... 

数時間前、彼ら酒場に入る前とは様相が一変していた。

それはまるで、上級魔術師の破壊魔法が吹き荒れたように、通りに面した建物はすべて半壊しており、通りには魔軍の将兵たちの軍服や装備などがいたるところに散乱しているのを見ていた。


“コノモノは、ここに来るまでに破壊をまき散らして来た。バメロス司令官が倒されたというのもあながち誇張ではない可能性がある... 

たしかに、あのヘルメットはバメロス殿が愛用していたものだ。バメロス殿が手放すはずがない… 

それに、この建物の破壊の凄まじさ... 散らばっている魔軍将兵の服や装備。

たぶん、コノモノが殺したに違いない...”


そこまで考えると、グゴスモはすぐさま命令を下した。


「コノモノを殺ろ...」


グゴスモが命令を下し終える前に、レオの姿が消えた。

次の瞬間、十数人の魔軍将校が切り倒されていた!


剣を構えてレオに切りかかろうとした魔軍高級将校たちは、何が起きたかもわからないうちに切り殺され、地面に転がり、魔石だけを残して消失した。


レオは百メートルを秒速コンマ0.17秒で移動できるのだ。

10メートルほどの距離にいる敵に接近するのには、わずかコンマ0.02秒もかからない。

魔軍の目には彼が一瞬消えたように見え、気がついたときは切り倒されていたのだ。



 グゴスモはレオの姿が消えたと感じた瞬間に後ろへ飛び、酒場の屋根に移動していた。

さすが名高い魔軍の魔術師だけある。


そして、グゴスモは黒龍に変身していた。


“これが黒龍族か!”


 さすがのレオも、しばし、その異様な姿を凝視する。

たしかに、グゴスモの黒龍化した姿は伝承や神話で描かれたドラゴンそのものだ。

 あのブラックドラゴンとかいう翼竜とは全然似ていない。

 真っ黒な体に真っ赤な目。鋭い爪のある手。長く太い尾。

ただ大きさは10メートルを超えるくらいで、それほど巨大ではない。


「グワッハッハッハ...! 驚いたか、愚かな弱き者よ? これが世界最強の種族、黒龍族の真の姿だ。冥途の土産によくその目に焼き付けて死ぬがいい!」


 龍なのに、上手に話す?


 グゴスモは、すぐさま詠唱をはじめた。

見る間にグゴスモの周囲に対物理攻撃および対魔法攻撃の魔法陣が張られる。


 レオは通りから屋根の上にいるグゴスモを見上げている。

黒龍種であるグゴスモの戦闘能力は未知数だ。

もしもの時は、アイミだけでも助けるようにシーノに言ってある。


「やあ!お前がグゴスモの本当の正体か。結構怖そうな恰好しているけど、本当に強いのかな?」

「試してみるがいい...」


 グゴスモはレオの挑発には乗らなかった。


 急速に周囲の気温が下がりはじめた。

吐く息が白くなった。雪のようなものが星の光を反射してキラキラと光って舞っている。

たぶん気温がマイナス10度以下に下がったことにより、空気中の水分が結晶化したのだろう。


(こいつ今からスゴイ魔法を使うつもりだな...)


 グゴスモの周囲に剣のように光るモノが放射線状に現れた。

グゴスモが両手をレオの方向に向けて振った。

無数の剣― 氷の刃が一斉にレオ目がけて飛んできた。


 レオはコンマ002秒で反応し、秒速40メートルの速さで横に飛び、かわそうとするが、グゴスモは次ぎ次と氷の剣をレオの移動ルートを先読みして飛ばしてくる。


 レオはフラガラッハの剣でそれらの氷剣を払いながらジグザグに移動して予測をかわす。

するとグゴスモは右手で氷剣による攻撃を続けながら、左手を頭上で回し始めた。星が見えていた空は急速に黒々とした雲で覆われたと思った次の瞬間、


 バリバリバリッ!


数本のカミナリがレオに落下した... 


と思ったが、直前でレオには当たらない!


「?!」


なぜカミナリがレオを直撃しないのかわからず、不可解という顔でグゴスモは見る。



「お前の手の内は見せてもらったよ、グゴスモ!」


「ナニ、ナニをキサマは言っているのダ?」


その次の瞬間、氷剣による攻撃はすべてはじき返され粉々の氷片になって散った。


「キサマ、魔法陣を張ったのカ?!」


「いや、これはオレの守護天使様のバリアーさ」


「ナニ、守護天使ダト?」


「お遊びはここまでだ」


「!!」



 グゴスモが気がついた時、聖剣フラガラッハが深々と彼の胸に刺さっていた。


レオがフラガラッハの剣を投げる動作さえ見ることができないほどの瞬殺だった。


「コンナ、バカな... わしノ魔法陣ハ効かナカッタのカ?」


「フラガラッハの剣の前には、どんな鎧も魔法バリアーも無効ということだ!」


魔軍副司令官グゴスモの体は消えて、あとには黒っぽい魔石だけが残った。




「オダ・ノブノブ軍の奇襲攻撃だ――――っ!」


「「「「「「「「「オオオオオオオオオオ――――――――――!!!!」」」」」」」


「魔軍司令官バメロスは打ち取ったぞ――――っ!」


「「「「「「「「「オオオオオオオオオオ――――――――――!!!!」」」」」」」


「魔軍副司令官のグゴスモも打ち取ったぞ――――っ!」


「「「「「「「「「オオオオオオオオオオ――――――――――!!!!」」」」」」」



 恐怖の衝撃波をまき散らし、道を阻む者は誰に切られたかもわからずに片っぱしから切り伏せられる。


 パニックは境界線でオダ将軍のヤマト国軍と対峙していた魔軍軍団を恐怖のどん底に陥れた。


 オダ将軍の秘密奇襲部隊の手によって、魔軍ホのメロス総司令官とのグゴスモ副司令官が暗殺され、ギフの町が破壊しつくされた、という情報が前線を駆け巡り、南方の魔軍部隊はわけのわからない恐怖からから潰走した。




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