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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
転生の章
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2-21 最初の血祭り

 一人の魔軍兵士- 魔兵士Aとしよう- の猿轡(さるぐつわ)を外し訊く。


「このあたりのお前たちの司令官、つまり大ボスがどこにいるか知りたい。お前知っているか?」

「し、司令官バメロス将軍様は、こ、この町から南に歩いて1時間ほどのところにある司令部にいます。」


 ミイテラの世界では念話が使えるため、魔族とも問題なくコミュニケーションがとれるという便利さがある。

 訊きたいことを聞き終わると、魔兵士Aにふたたびさるぐつわをはめ、今度は魔兵士Bに同じことを聞く。魔兵士Bは魔兵士Aの言ったことを本当の事だと言ったあとで、さらに情報を吐く。

「バ、バメロス司令官様はとても強い上級魔族です。それに副司令官のグゴスモ様もやはり上級魔族で強いお方です」

「ほーう... それほど強いのか? そのバメロスというヤツとグゴスモというヤツの得意とする戦闘方法はなんだ?」

「バメロス様は飛ぶことができますし、手が4本あるので4本の武器を使えます。人族が50人100人かかったところで倒せるお方ではありません。グゴスモ様は凄まじい魔法を使われます。それに、グゴスモ様には魔法攻撃も剣や槍による攻撃も通用しません」

「ほほーう... 魔法攻撃も刀剣による攻撃も通用しないのか... それは興味深いな?」



 この魔軍兵士たちは、最初にミイテラの世界に来てすぐの戦闘で倒した魔族と同じ種族のようだった。俗にコボルトと言われる魔族で、色は黒っぽく背は1.5メートルほどと高くないが、がっしりした体格を持ち、肉体的戦闘能力では人族をしのぐと言われる。

しかし、やはり小者の魔族らしく、我が身可愛さでなんでもペラペラしゃべる。


 魔兵士Cもまったく同じだった。

「こいつらが今言ったことは本当か?」

「は、は、はい。すべて本当です。バメロス様とグゴスモ様は、ここから南に15キロほどのところにあるギフという町で、人族が『ギフ・ホテル』と呼んでいる建物にいます。そこが司令部でもあります」

「そうか。お前らが言ったことにウソはないようだな。ところで、お前たち魔軍は占領した人族の町や土地の人間たちはどうしているのだ?捕虜としてどこかに収容しているのか?」

「とらえた人族は、働けるものは我々魔軍の食料生産に使われ、役にたたない人族はすべてわれら下級魔族のエサになります。人族のメスはゴブリンの子を産ませるために使われることもあります...」

「女性はゴブリンの子を産ませられるゥ?!」

「ヒャー、わ、わたしたちコボルトはそんなことはしません。ゴ、ゴブリンの奴らだけですっ!」

「しかし、お前たち、コボルトも人族を食うのだろう?」

「そ、そ、それは人族の肉はおいしいですし...」


 シュバッ、シュバッ、シュバッ


目にも止まらない速さでコボルトたちを切り捨てたレオ。

古びた木の皮の仮面から見える目は怒りに燃えていた。

   


(あーらら。捕虜を切っちゃった...)

「でも、ゴブリンもコボルトもひどいです。レオさまの気持ち、私もわかります。」

シーノとアイミが隠れていた森から出てくる。


レオは彼女らの言ったことには答えずに、麓の町の方を見ながら言った。


「これから魔軍の前線司令部を急襲し、司令官のバメロスと副司令官のグゴスモを倒す。その上で魔軍を戦慄させる戦法を実施する。心配しなくても、アイミが嫌がるようなことはしないし、シーノが言っていた“人の道を外すような戦い方”もしない。」

「そ、それはどんな戦法なんですか?」

(そう?相手は魔族だから、私たちから見たら想像を絶するようなことをするけど、だからこそ一日も早く魔族の支配下で酷い目にあっている者たちを救い、解放しなければならないのよ)

「まかせとけ、シーノちゃん、アイミちゃん。オレたちは絶対に魔軍を食い止め、ミイテラに平和と自由をとりもどしてみせる!」

「はい!」

(その意気!)


 .........


 .........


 ズバっ!


 一瞬で魔軍司令官バメロスの巨体は唐竹割りで切り裂かれた竹のように真っ二つになった。

二つに分かれた体のそれぞれの目は、“なぜ人族ごときに切られたのかわからない”といった驚愕で大きく見引かれたままだった。


 それでも切られる直前に片側それぞれに2本ずつ、両方合わせて4本の手に剣を構えたのはさすがだ。

もっとも、まったく何の反撃もできなかったのだが。

フラガラッハの剣はバメロスが装着していた分厚い鎧ごと真っ二つに叩き切ったのだ。


 シュワ...


 2メートル半近いバメロスの巨体が蒸発するようにして消滅し、豪華な絨毯の敷かれたホテルのVIPルームの床にはニワトリの卵くらいの大きさの青白い魔石だけが残った。





 話をちょっと前に戻そう。


 ギフの町に着いたレオは、魔軍兵士を捕まえ、バメロスとグゴスモの居場所を聞き出した。

そして、前線魔軍司令官バメロスは魔軍が前線司令部としているギフ・ホテルのVIPルームにいることを知った。グゴスモ副司令官の方は町の魔軍将校用の酒場に行っているらしい― 魔族も酒は飲むのだ。


 ギフ・ホテルには裏口から侵入。

もちろん、アイミのステルス魔法とシーノの気配遮断バリアーで魔軍兵士たちが感知できないようにしっかり対策をとってからだ。


 VIPルームのある8階までは非常階段を上がった。

部屋の扉の前で警備していた護衛兵士2名を一瞬にして切り、高級木材で作られている両開きの扉を蹴った。

30トン近いレオのキック力で蹴られた扉は、せんべいをハンマーで叩いたように粉々になり、轟音とともに内部に砕け散った。


“せめて誰に殺されたか顔くらい見せてやろう― もっとも、頭部を保護するヘルムの下に古い木の皮の仮面をかぶった顔であったが― アイミのステルス魔法を解除してもらって、まるで樹人みたいな顔を見せた。

シーノの気配遮断バリアーは張ったままなので、魔族といえど匂いも何も感知することはできない。


「キ、キサマは誰だ―?!」


 扉が砕け散った圧力で壁までぶっとばされた魔軍将校の一人が半身を起こしながら叫ぶ。

即座にフラガラッハの剣をそいつ目がけて投げると、瞬時に胸を貫いてレオの手にもどった。


粉砕された扉のかけらの散らばる室内には4人の魔族がいた。

いずれも高級魔族だとひと目でわかった。

その中でひときわ図体のでっかいヤツが魔軍司令官バメロスだとわかった。

バメロスは紫色の豪華なプレートアーマー(全身鎧)と黄色いマントを着用していた。

ほかのヤツらは真っ赤な色のプレートアーマーを着用している。

たぶん側近か何かだろう。


「おのれー!」

魔軍将校が殺されたのを見て、ほかの二人の魔軍将校が攻撃すべく体を動かそうとしたが、レオの攻撃は素早かった。

腰につけていたショートソードを瞬時に投げて一人を殺し、もどって来たフラガラッハの剣で残った一人を殺す。


「キサマは何者だー?」

バメロスは素早く左右の上下の腕で4本の剣を抜きレオに切りつけながら叫んだ。


「オレはミィテラの世界を魔族から解放するために遣わされた神風さ!」

バメロスは最後まで聞けずに真っ二つにされた。



 レオはバメロスの残した青白い魔石と魔軍将校たちが残した黄色い小石大の魔石を拾うと、あらためてVIPルームを見渡した。

 扉が破壊されたときの破片や衝撃で部屋の中は目も当てられないような状況になっているが、レオの目は床に転がっているあるものに止まった。


 VIPルームから出たレオは、アイミにふたたびステルス魔法をかけてもらって、ホテル内にいた魔軍の将兵を片っ端から倒していった。

 姿を消してホテルの全階を秒速十数メートルで走りながら視野に入るすべての敵を切る。


 そして百倍大音声で叫んだ。


『「オダ・ノブノブ軍の奇襲攻撃だー!」』


『「魔軍司令官バメロスは打ち取ったー!」』


 レオは140デシベルという大音量で叫びながら、魔軍将兵たちを倒しながら走り続けた。

人間であれば130デシベルが限度と言われる騒音。

130デシベルでも身体に異常を起こし吐いてしまうというレベルをはるかに超えた大音量は、間近でジェットエンジンの轟音を聞いているのと同じだ。

 その大音響はホテルを揺るがし、廊下や部屋などにかけられている額縁入りの絵や置かれている花瓶、置物などはその振動でことごとく床に落ちて壊れる。


 アイミはシーノのバリアーで守られているからだいじょうぶだが、何の防音対策もとってない魔族どもは、大音量の衝撃で茫然自失となるか両耳を思わず押さえてしまって戦うどころではない。


「「「「「「「「「オオオオオオオオオオ――――――――――!!!!」」」」」」」


さらに叫びのボリュームを上げて ―こうなるともう咆哮だが― 大音響を放つと、咆哮の方向にあるドアや窓が砕け散っていくのが見えた。


(なんだ、これは?オレの大声はこんな破壊力があったのか?)

(レオ、それは大音響発生により発生する衝撃波よ。見ての通り大きな破壊力があるので使い方に注意して!)

(おお、そうか!オレにまた新しい武器ができたな!)

(レオさま、すごい!さらにパワーアップですね!)

背中のアイミからも賞賛の声があがる。




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