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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
転生の章
35/526

2-16 タイムシンクロ

 テーブルについているのは、主催者のフェルナンド大神官から向かって右側に

レイナード国王 エンリケ・マクシミリアン・ゴッドスペッド

レイナード国  第三王妃 シルヴィア・メリー・ゴーランド

漁船船長    マウロ・オーコット 

   妻    サラ・オーコット 

貿易商・網元  ロナルド・マルティネス・ローズブレイド 

   妻    マリー・フランソワ・ヒッグス・ ローズブレイド



向かって左側に


レイナード国王子 カイオ・イングラム・ゴッドスペッド王子

レオン・オーコット

イザベル・キャロル・ローズブレイド


だった。


「えー、こほん。皆さまお忙しい中、本日皆様にお集まりいただきましたのは、不肖私が責任者を務めておりますエテルノ教会総本山が、が今年度から実施することになりました『次世代のリーダー育成計画』の一環として考えております“外国事情研修旅行”についてのご説明をさせていただきますと同時に、この栄えある第一回外国事情研修旅行に、こちらにいます、ご子息、ご令嬢さまたちが選ばれましたことをご報告しますと同時に、保護者であります皆さま方に、ご子息、ご令嬢さまたちの海外旅行の承認をいただくためであります。」


 フェルナンド大神官が司会者よろしく立て板に水で話し始めたのは、エタノール教総本山内のVIP会議室だった。

 レオたちとの合意によって、フェルナンド大神官は古代の『神聖アールヴ文字』で書かれた書物の解読をアイミたちエルフに手伝ってもらうのと引き換えに、レオたちの親を子どもたちが長期間海外旅行―という説得するための名目― させることを承認させる役割を請け負ったのだ。

 彼の招請に応じて、カイオ王子、レオ、イザベルの親たち― カイオ王子にはなんとエンリケ・ゴッドスペッド国王まで参加していた。たぶん暇だったのだろう― を前にしてだった。


 エテルナール教総本山の宮殿にある特別室に関係者が集ったのは一か月後だった。

なぜ、そんなに時間がかかったかと言うと、レオの父親マウロが遠洋漁業から帰って来るのを待っていたからだ。

 フェルナンド大神官が、具体的に“外国事情研修旅行”についての説明をはじめようとしたとき、


(あーっ、ストーップ、ストーップ!もう、それくらいでいいわ。あとは私とエタナール様がやるから!)

そう言ってレオの青色で薄い陶器製のペンダントから飛び出したのはシーノだった。

金色の光を輝かせながら会議室にいるみんなの頭上を数度飛び回るとテーブルの上にホバリングして止まった。


「こ、これは何だ?」

「大神官さま、これはなんですか?」

「えっ...?!」

「まあ、かわいい!」

「何で光っているんだ?」

「ワイワイ、ガヤガヤ...」


 みんなが騒ぎ出したのを無視して、シーノは突然その輝きを急に増した。

その光は、まるでミニ太陽かと思われるような強烈な光だった。

そして、その強烈な光がおさまった時、テーブルの天井近くに白く半透明のような色をしたロングスリーブのドレスのような着物を着た、ウエストあたりまであるブロンドの髪をもった創造主エタナールが現れた。


「フェルナンド大神官、それに勇者のみなさん、お久しぶりですね」

にこやかに創造主さまが話しかけた。


「えっ? そなたは誰じゃ?」

「どこから現れたんだ?」

「大神官さま、これはなんですか?」

「神様、じゃない、エタナール様?」

「ワイワイ、ガヤガヤ...」


みんなかなり驚いている。そりゃ当たり前だ。


「それではさっさとシーノのお願いをかなえてあげましょうね。」

エタナール様は、みんなが驚いているのにはまったく構わずに、右手にもっていた短い白色のスティックを大人たちへ向かって一振りした。

なんだか銀粉に似た感じのキラキラしたものが大人たちの頭に降りかかる。


「これは、何だ??」

「大神官さま、これはなんですか?」

「えっ...?!」

「まあ、キレイ!」

「雪みたい!」

「ワイワイ、ガヤガヤ...」


ふたたび、みんなが騒ぎはじめたが、シーノが口に指をあて

「シー!」と黙らせた。


「さあ、これでだいじょうぶよ。シーノ」

「ありがとうございます、エタナールさま。」

「これも、大事なレオさんとお仲間の冒険の旅のためよ。お安い御用です。」

「何から何まで、ありがとうございます。」


今回もすることだけすると、エタナールは徐々に姿が薄くなって消えていった。


「レオさん、みなさん... がんばってねぇ... 応援していますからぁ...」


 最後に遠くから創造主さまのエールが聞こえた。



 前回と同じように、不思議なことにVIP会議室にいた者は―レオをのぞいて- 誰もエタナールを見なかったし、どういう事が起こったかも覚えてなかった。

 前回と同じように、今回もエタナール様は時間を止めて大人たちの脳をちょいと変えたのだろう-“信頼”と“理解”の刷り込みを- やったのだ。そしてまたエタナールを見たという記憶も消したに違いない。


 とにかく、カイオ、レオ、イザベルの三人は、晴れて親たちから“海外遊学”の許可をもらえたのだ。これで数年間いなくても誰も心配しない。

 不思議なことに、フェルナンド大神官もその場にいた者は誰もエタナールを見なかったし、どういう事が起こったかも覚えてなかった。

 これは前回と同じだ。たぶん、エタナールの事だ、時間でも止めてフェルナンド大神官の脳手術―“信頼”と“理解”の刷り込み― でもやったのだろう。そして、レオ以外の者のエタナールを見たという記憶を消したに違いない。

 とにかく、フェルナンド大神官は人が変わったようにイザベルたちの言うことを信じた。あまりの変わりようにイザベルなんかはいささか戸惑っているようだったが。



 だが、ただ無為に一か月を過ごしただけではない。

やらなければならない課題がたくさんあった。

まず、第一にシーノがやらなければならないと言ったテラの世界の時間とミィテラの世界の時間の調整。


 これは、レオたちがミィテラの世界でエルフたちを助けるために、魔王の軍勢との戦いを始めるにあたって最大の問題だった

 シーノの説明によればミィテラの時間とテラの時間の流れは違うそうで、テラの時間の流れはミィテラの時間の流れよりも100倍速いのだそうだ。

 ミィテラの世界へ行きました、魔王とその軍勢と2年間にわたって戦いました、そしてテラに帰って来たら200年経っていました、ではジョークにもならない。


 テラの世界の時間とミィテラの世界の時間の差について、シーノがより詳しく説明してくれたところによると、両世界の時間差の倍率差は単なる100倍ではなく、その時々の両世界で発生するイベント― 歴史上の出来事― によっても倍率が変わるそうだ。

世界を巻き込むような戦争とかが起きれば倍率はさらに上がるが、平穏な時期だと倍率は下がるという。

「ということは、今はかなり倍率が上がっているということだな?」

(だから急いで問題を解決しなければならないのです)


 しかし、時間差の問題の解決は拍子抜けするほど簡単なことだった!

地下の聖堂の両端に置かれてあった、石で出来たみたいなオブジェをミィテラの世界の聖堂のと交換するだけだった。


 もちろん、その仕事をやらされたのはレオだった。

地下の聖堂にあるオブジェ。それは一個5トンほどの重さがあった!

 5トンと言ったらインド象のオスくらいの重さだ。それを全部で10個x 2 =20個移動できるのは、当然100倍力のレオだったわけだ。

 そんなわけで、レオにとってはたかが50キロほどの重さしか感じないオブジェを、よっちら、よっちら抱えてミィテラ側の聖堂に持っていき、帰りもよっちら、よっちらとミィテラ側のオブジェを抱えて持って来て...と、かなりの労働になった。 


 すべてのオブジェを交換するのに丸一日かかった。

オブジェの長さは2メートル近く、倒れた石灯篭みたいな恰好だが、真ん中の部分がねじれた格好になっている。

 オブジェはそれまでは横たえられていたのを運んだあとで立てるのだが、立てるとすぐにブォ―ンとうなるような音がして一瞬、ねじれた部分の中心に灯がともったようになる。

 そのあとはうんともすんとも鳴らなくなったが、20個すべてのオブジェを運び終わって据え付け終わったときは、さすがのレオもクタクタになってしまった。


 これでテラの世界とミィテラの世界の時間はシンクロされたのだそうだ。

“なんだか、エテルナールさんのこじつけ設定みたいな感じだな...”とレオは思ったが口には出さなかった。



 レオが一人で汗水たらしている間、ほかのみんなは「レオ、がんばって!」と遠くで声援していたわけではない。それぞれ分担された役割を一生懸命にやっていた。


 カイオとイザベルはミイテラに持っていく必需品の用意。

食料とか、寝袋とか、テントとか、着替えとか― 噂ではイザベルは貴族の夜会に招かれたときに着るためのドレスもバッグに詰め込んだそうだ― もちろん、確かなことではないが。


 ギブはアイミといっしょにマタタビを探した。運よく、エルフの植物学者がエルフの里からもってきていたマタタビの種が― たぶん、ネズミか何かが持ち出して森に落としたのだろう― 廃墟の近くの森に自生しているのが見つかった。

運よくオレンジ色に熟した実がたわわに生っていたので見つけやすかっただそうだ。


 エルフ少女はどうやら幸運の持ち主のようだ。

二人はマタタビの実をギブが持っていったバッグ二つにいっぱい詰め込んで持って帰ってきた。これを使いやすいように加工するのだそうだ。まさかネコ用ジャムなんて作るんじゃないだろうな。


 それらの重要な課題をクリアした後は、みんなが期待していたお楽しみの日となった。

レオの17歳の誕生日― ではない。まあ、それもみんなが祝ってくれたが。

それは再度地下の宝具庫にもどり、それぞれ必要な防具や武器を選ぶというもっとも重要な仕事だった。


 それぞれが選んだものは


《レオ》


【武器】〈剣〉フラガラッハの剣

【防具】 ハデスの兜、ハデスの鎧、オーハンの盾



《カイオ》


【武器】〈槍〉ガエ・ボルガ

【防具】 ゴスウィットの兜、イージスの鎧、クーフーリンの盾



《イザベル》


【武器】〈弓〉ガンデーヴァ

【防具】 ネメアーの獅子皮の兜、ネメアーの獅子皮の鎧、プリトウェンの盾



《アイミ》


【武器】 メイス

【防具】 スヴェルの盾、エルフの戦闘服、エルフのチェンメイル、

     エルフのブーツ

 

《ギブ》


【武器】 竜の爪

【防具】 ヒルデグリムの兜、迷彩服、 チェンメイル(上下)

     頑丈なブーツ



「うん、みんなよく選んだようだね!」

「これで準備万端ね。」

「私やギブにまで防具をお貸しいただき、深く感謝いたします、シーノさま。」

「本当にありがとうございます!」


 かくして、勇者たちはミィテラの世界での冒険に出発する準備を無事完了したのだった。



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