2-15 神の山の欠けら作戦
「さて、では『神の山のかけら作戦』を練ろう!」
今度はカイオが作戦ミーティングの主導をとる。
「アイミちゃん、壁のボードに今は魔王の領土になっている元エルフの国と来たのドワーフ族の国、そして南にある人族の国の大体のマップを書いてくれないかい?」
「は、はい」
数分後、黒板にアイミが描いた東の大陸- イーストランジア(と言うらしい)- のマップを前にしばらく考えていたカイオは、みんなの方を向くと彼の作戦案を話し始めた。
イーストランジア地図
「ボクの考えでは、魔族たちは魔王の本陣にボクたちのような少人数の戦士が侵入してくるなんて考えてないと思う。それはこのイーストランジアの北方および南方における魔軍とドワーフ族国軍、人族国軍の境界線は魔軍によって厳しく監視されているから、そこを魔軍に発見されずに通過して魔王の本陣にまで侵入してこれる者はないと考えているはずだからだ。」
「そうですね。ドワーフ族軍も魔軍を押し返し始めたと言っても、まだ決定的な反攻となってないから半ば膠着状態となっているようですから。」
アイミがうなずく。
「だから、我々は少人数のメリットを生かし隠密行動をとって神の山の麓まで行き、神の山のカケラを入手後、一手は魔軍に見つからないようにして北のドワーフ国へ行き、ドワーフ族の軍司令官と会って反攻作戦を実施する。もう一手はこれも隠密利に北へ向かい、人族軍の抵抗戦線の司令官と会い、ドワーフ族軍の反攻作戦とシンクロした反攻作戦を実施する。」
そこまで言うと、カイオはこれまでの説明で分からなかったこととか何か意見はあるか?というような顔でみんなを見渡した。誰も口を開かないのを見て続ける。
「北へ行くルートは海へ出て海からドワーフ国へ入る『プランA』と魔軍の背後を突いて強行突破してドワーフ国へ入る『プランB』を考えている。そして人族国へ行くルートは、これは海からしかないだろうな!」
「二手に分かれるって、ここには5人しかいないんだよ?これだけでもメッチャ少ないのに、これを二手に分けるなんてムリだよ、ムリ!」
「いや、イザベル、隠密行動は人数が少なければ少ないほどいいし、アイミちゃんはステルス魔法を使えるそうだから、魔軍の犬にさえ気をつければ神の山まではだいじょうぶだと思うよ。それにさっきも言ったけど、敵の本拠地まで侵入して来る者はいないと魔族は考えて油断しているはずだから、たぶん警戒もズサンだと思う。」
「かなり強硬な作戦みたいだけど、前回の戦いで私たちの戦闘能力は“伝説の武器”のおかげもあって、かなり高かったし、これにまだ試してはないけど魔法をプラスすれば、かなり強力じゃないの?」
カイオ王子の作戦プラン
「そうだ。それにボクたちはまだよく調べてないけど、武器であれだけの攻撃力があるんだ。防具だってきっとスゴイものがあるに違いない。」
「うーむ... そう言われればそうだけど...」
レオだけが、たぶん、自分だけが経験値もレベルも低くて魔法も憶えてないからか、カイオの立てた作戦に少々不安を抱えていた。
「で、誰と誰を北上グループ、南下グループに入れるつもりなんだい?」
「そうだな… まず第一に魔軍の犬をどうやって巻くかだ。これは難しい…」
「あ、あのー… あれは犬科のケダモノではありません」
「えっ、アイミちゃん、あのヒエーナっていう犬、犬じゃないんですか?じゃあクマ?」
「違います。あのケダモノはネコの仲間というかネコ科のケダモノなんです」
「ネコ科?じゃあ、マタタビを入手して餌か何かにまぜて置いておけば、後はつけてこないと思うよ」
「マタタビ?なに、それ?」
「ネコの毒か?」
「いやいや、毒じゃないよ。ネコ科の動物を酔っ払ったような気分にさせる実だよ」
「ネコを酔わせるって、ネコのお酒?」
「いやいや、山などに生えているツタ状の植物で、森の木などに絡みついて育つやつだよ。実の大きさは3、4センチほどでドングリに似た形で熟れるとオレンジ色になる。覚醒作用をネコにあたえるから酔ったようになるんだよ。」
「あ、それ知っています、レオさん!」
めずらしくギブが口を開いた。
「ボクの友だちの猫族の娘が、囓ったら天国に行ったような気になるドングリって言ってました。」
「えっ、ミィテラにもマタタビがあるの?」
「ありますよ。ボク匂いを憶えていますから、このあたりにあったらすぐ見つけれます!」
「よし、じゃあそれはギブにお願いしょう。」
「はい。まかせてください!」
「で、先ほどの質問にもどるけど、誰と誰がドワーフ国へ行き、誰が南へ行くかだな。」
「全ては神の山へ行って、かけらを入手してから決めよう。それまでに敵と遭遇する可能性もあるし、そうなれば我々の戦闘力もよりよくわかると思うから、その上で誰がドワーフ国へ行くか、誰が人族国へ行くかを決めればいいと思う。もし、その時になって困難なようであれば二手に分かれることもなくなるかも知れないし。」
カイオの結論に誰も異議を唱えず、結局、その計画で行くことになった。




