表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
転生の章
32/526

2-13 創造主さまのヘルプ②

 不思議なことに、レオとシーノ以外は、フェルナンド大神官も誰もエタナール様を見たことを覚えてなかった。

 たぶん、創造主様の事だ、時間でも止めてフェルナンド大神官に脳手術 ―“信頼”と“理解”の植えつけ ― をしたあとで、レオ以外の全員の創造主を見たという記憶を削除したに違いない。


 とにかく、フェルナンド大神官は人が変わったようにイザベルたちの言うことを信じた。

あまりの変わりようにイザベルなんかはいささか戸惑っているようだったが。


 聖堂の入り口にある二つの部屋 ― 武具庫と書庫をフェルナンド大神官に見せた。

 武具庫を見せたときは興味深そうにしていたが、書庫に連れて行くと目の色が変わった。

 その反応を見ただけでも、宗教学的にも歴史的にもたいへん貴重で稀な資料が山ほどある事がわかった。

 レオたちにそれらの石板などの所有権はもちろんないのだが、フェルナンド大神官はレオたちの冒険の協力をする代わりの交換条件を示した。

 それは、フェルナンド大神官の『古代アールヴ文書の研究』を手助けするために、ミィテラから誰か古代アールヴが分かるエルフをフェルナンド大神官のもとに派遣してもらうということだった。

 それに対してアイミが、エルフの女王に願い出て、若いエルフの神学者をテラに来させることを約束した。


「エスティーナ女王様とお話しなければなりませんが、きっとご承認されるでしょう」とアイミはあとでレオたちに言った。

そして、エタナールが言った、彼ら三人の冒険旅行の説明と説得、それに理解を得るためのお膳立てをついでにフェルナンド大神官にたのむことにした。もちろん“良き理解者”となった彼は()()()()()()()くれた。




 エテルナール教総本山の宮殿にある特別室に関係者が集ったのは一か月後だった。

 なぜ、そんなに時間がかかったかと言うと- レオの父親マウロが遠洋漁業から帰って来るのを待っていたからだ。


 だが、ただ無為に一か月を過ごしただけではない。

ミィテラの世界で冒険を本格的にはじめる前に、解決しなければならない課題はたくさんあった。

 まず最初に解決しなければならないとシーノが言ったのは、テラの世界の時間の流れの速さとミィテラの世界の時間をシンクロさせることだった。

 シーノの説明によると、ミィテラの時間とテラの時間の流れは違うそうで、テラの時間の流れはミィテラの時間の流れよりもかなり早いそうだ。


(えーっと、はっきりとは計算できないけど、100くらいかな?)

「100年違うのか?」

(いえいえ、そうじゃない、100倍よ。ミィテラの1年はおそよテラの100年)

「ゲッ!じゃあ、向こうに行って1年経ったら、こちらでは100年経っているってこと?!」

(そう)

「帰ってきたら、家族も知り合いもとっくに死んでしまっていたりして… なんじゃー、それじゃ本当に浦島太郎になってしまうじゃないかー!」

「ウラシマ?…」

イザベルが逐一翻訳していたレオたちの会話を聞いてアイミが“ウラシマ”という言葉に反応した。


「レオさま、ウラシマ・タローってどんな人ですか?」

「ああ、浦島太郎はね、浜で子どもたちにいじめられていた子ガメを助けたお礼に、母ガメに竜宮城へ連れて行ってもらって、乙姫から歓待され楽しいバカンスを過ごした。

三年経った時、浦島太郎は残してきた両親が心配になり帰ることにした。

帰る時に乙姫から『玉手箱』というお土産をもらった。また母ガメに送ってもらって村に帰ってみれば七百年も経っていて、家族も友人もみんな死んでしまっていなかった。

悲嘆にくれた浦島太郎は決して開けてはならないと言われた『玉手箱』を開けると紫の煙りが出て、太郎はたちまち老人になった... というおとぎ話なんだよ」


「ウラシマという家名のエルフがエルフの里に住んでいます。」

「えっ、ウラシマって名前のエルフさんがいるの?」

「はい。現在の当主はウラシマ・サブローさんというエルフですが、そのウラシマ・タローの話はエルフたちの中でもよく知られている逸話です。

テラの若い漁師であったウラシマ・タローさんは、その当時エルフの巫女長だったアットヒメ様の「カアメちゃん」という子犬が迷子になっていたのを保護してアットヒーメ様に届けてあげたことで、アットヒメ様がお礼としてミィテラの国へ招待し、そこでアットヒメ様の付き人だったエルフの少女カティアに恋をして、アットヒメ様の承認をいただいて結婚しました。


 楽しい新婚生活を過ごし、カティアさまも妊娠しました。

でも、3年も経ったことだし、一度里帰りをして父母の顔や友人たちにも会いたいと思い、カティアに話し、アットヒメ様にも願い出て了承され、テラへもどったのですが、その時に運悪くあるインシデントが起きて二度と妻のもとへ帰ることができなくなったのです。

 残されたカティアさまは、アットヒメ様や家族の支えもあり、子どもを産むと女手一つで育てました。そのカティアさまの孫がウラシマ・サブロー様で、今はエルフの里で研究者となっています。」

「それって、まったく浦島太郎伝説そのものじゃん? アットヒメ様って乙姫という名前そっくりだし、物語のあらすじもほぼ同じだし...」

「なに、そのウラシマ・タローの物語って? そんなもの聞いたことないんだけど?」

「ああ、ボクも初めて聞いた。レオってよくそんな話知っているな?」

イザベルとカイオが当然とも言える疑問をレオに向ける。

「いやぁ、これはオレがオヤジから聞いた話だから、たぶんオヤジが船で外国に行ったときに聞いた話じゃないかな。」

「そうか」

「そうなの?」

なんとかカイオとイザベルをごまかすことができたレオ。



 とにかく、この時間差問題はどうしても解決しなければならない重要課題だ。

 まあ、玉手箱なんていうモノはないだろうが、もしあったら、イザベルはテラに帰って玉手箱を開けたとたんに白髪頭のウメボシばあさんになるだろうし、カイオもサンタさんみたいなヒゲジジイになるだろう。

 イザベルとカイオのそんなになった姿を想像して、そのおかしさに思わず「ククク...」と笑いをもらしたら、二人から思いっきりガン見された。


(とにかく、その課題については、私が解決法を知っているから心配しないで)

(シーノちゃんがそう言ってくれるなら安心だ。それと、やはりオレの寿命の問題だな。はい、冒険の旅に出ました、魔王を倒せずに1年経ちましたので“ご臨終です”とかメッセージ出て、GAME OVERになったんじゃ笑い話にもならないからな...)

(それもちゃんと対策を考えています。それもトップ・プライオリティーとして)

(おお、そうか!)

シーノさまが頼りのレオだった。




 あらためてフェルナンド大神官にエテルナール教とエルフの関係を聞いたところ、エテルナール教をテラにもたらし広めたのはエルフたちだったという伝承が受け継がれて来ているそうだ。

 確かな文献がないのでその時期は明確ではないが、一万年から五千年ほど前にかけて数度にわたりエルフたちがまとまった集団でレイナード山の麓に出現し、そこにエテルナール神殿を建設しエテルナール教をテラの人々に広めはじめたという。

 エテルナール教の教えは「人を殺してはならない」、「父母に従順であること」、「礼儀正しいこと」、「年長者を敬うこと」、「他者の立場を配慮すること」、「ドレイや貧民を正しく扱うこと」、「盗んではいけないこと」、「他人の財産を欲しがらない」、「食べ物として必要以外に生き物を殺してはならない」などという戒律も教えていた。


 それまでのテラの人間はかなり野蛮で、欲のために部族間での戦いが絶えず、父母、年長者は敬われず、盗み、殺人、詐欺などを平気で行う人も多く、社会は世は大いに乱れていた。

 そこに創造主エタナール様の教えを信じ、その戒律を守ることで、悪しき感情や行動を自制することでより良い社会を作っているエルフの生き方を見て感銘したテラの者たちが現れはじめた。

彼らはエテルナール教に入信すると同時に戒律を習い、他人と協調・共存する術をエルフたちから学んだ。

 

 彼らは、最初は少数であったが、野蛮でウソとエゴの横行する社会に辟易した人たちの中で、そんな彼らの生き方に賛同し、同じようにエタナール様を信奉する者が次第に増えはじめ、ついには部族の長や地域の統治者までがエテルナール教徒となり、エタナール様の教えのもと、善政を敷くようになり、治安を維持し、法令を作り、犯罪者を厳しく取り締まり罰するようになった。

このような変革が波及していき、社会は次第によくなっていった。


 こうしてエテルナール教はテラの世界の民衆の間に深く浸透し、信奉されていたが、ある時代からエルフたちはまったく出現しなくなった。テラに残ったエルフたちは百人にも満たなかった。

 彼らはそれまで通り神殿での神職や仕事をやっていたが、エルフは子どもが生まれにくいこともあり次第にその数が減って二百年ほど前に最後のエルフが亡くなってしまったそうだ。

 ただ、エルフたちの中には人間と恋をし、結婚をして人間とエルフのハーフを産んだものも少なからずいて、そのハーフたちの子孫は現在もエテルナール教の神殿で神職についたりしているという。

もちろん、神職に就かずふつうの仕事に就いたエルフの子孫たちもいるそうだが、極めて少数だったという。

 


 そしてアイミからは、さらに詳しくエルフたちの歴史や状況を聞くことができた。

 魔王ルゾードの『世界征服計画』と『魔族の長寿獲得計画』によって、エルフたちが聖域を追われ、今はミッッデンランジアにある獣人族国の山奥に隠れ住んでいることは前に聞いた通りだ。


 魔王の精鋭部隊によるエルフの首都強襲から逃れることができたのは、神殿の移動魔法陣を使って逃げることができたエルフの女王と神殿に退避することができた数千人のエルフだけだった。

 残りのエルフたちは、それぞれ集団や家族単位でエルフ国外へ逃亡した。彼らは逃亡した先の同盟国の保護を受けたが、その後、彼らはエルフ女王がミッッデンランジア(中央大陸)の山奥に避難したという話を聞いて、女王のもとへと向かったそうだ。

 しかし、山奥では大勢のエルフが暮らしていけるだけの食糧の確保が困難なこと、多くの住居を建てれる場所もないことから、現在、女王と暮らしているエルフは5万人くらいで、残りのエルフは各国に集団を作って住んだり、人族や獣族たちといっしょに住んでいる。

ミィテラの世界における現在のエルフ総人口は10万人程度だそうだ。



 ちなみに、現在の各国の人口とそれぞれの兵力は― アイミがエルフ軍の司令官から聞いた数字で、たぶん、(おおよ)そそのものでしょう― ということだった。


アイミによるミィテラの世界の各国の人口と兵力

       挿絵(By みてみん)


魔王の戦力、ハンパじゃない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ