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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
転生の章
31/526

2-12 創造主さまのヘルプ①

 エテルナール教総本山にある文書保管所は、神殿の地下にある。

そもそも、エテルナール教の神殿は、総本山に数ある建物の中でも最も古い建物と言われている。


 現在使われている神殿は約2千年ほど前に建てられたと言われている。

そして、その神殿よりもさらに昔に建てられた、初期神殿とも言えるべきものが現在の神殿の地下にあるが一般には非公開となっている。


 その古代神殿の一部屋をエテルナール教総本山では、重要な文書保管所として利用しており、そこには金銀などの財宝こそないが、エテルナール教にとって貴重な文書類や宗教絵などの一部が保存されており、鍵のかかった厳重な扉があり、誰でも簡単に入れる場所ではない。


 さらに総本山には文書保管所とは別に貴重な原本とか、秘蔵の書、禁書などといった歴史的にも価値がある重要な書物が、大図書館の奥まったところにある宝蔵に厳重に保管されてあり、これは総本山内でも限られた者しか入ることが許されてない。

 フェルナンド大神官もその“限られた者”の一人ではあるが。 

その宝蔵ほどではないが、初期神殿の文書保管所は誰でもたやすく入れるところではないのだ。

そこに誰かが入っていると聞いて驚かない者がいるはずがない。 


 しかし、レオたちは、初期神殿の文書保管所の壁の一部に、地下の通路の隠し扉にあったのと同じような仕掛けがあり、その文書保管所へ出入りできるようになっているということを、今日地下の通路を調査していて発見したのだった。地下の通路は、聖堂から数百メートル歩くと階段を上がり、仕掛けのある壁を開いて文書保管所に入れるようになっていたのだ。



 そのことを確認してから秘密のトンネルから森に出て、カイオは村へ。

イザベルたちはフェルナンド大神官に会いに行ったのだ。

フェルナンド大神官は初期神殿の文書保管所に誰かが忍び込んでいると聞いて、

「君たちはここで待っていなさい」と言うと、ドアを開けて足早に去っていった。


 40分ほど待っただろうか。

フェルナンド大神官が汗を拭き吹き部屋にもどって来た。

顔がいく分白っぽっくなっている。

「あ、あの者は本当に“オオカミ人間”なのか?」

と言って、キャソックのポケットから一枚の紙を出す。


『わたしは 狼人間の ギブンテス と 申します。誰も 傷つけません。

カイオ王子、レオンさん、イザベルさんの友だちで アイミさまの 護衛役です。ここにいることを彼らに 伝えてください』

と書かれていた。あらかじめ、ギブに文書保管所でこの紙をもって待っているように指示していたのだ。


「はい、伯父様。正しくは人狼族です。思うがままに狼に変身することができます。アイミさんといっしょに別世界から来ました。」

「文書保管所に入ることができるという秘密の通路にはどこから入れるのかね?」

「そのことも含めお話を聞いていただこうと考えています」

「ふむ。よろしい。私もイザベルが生まれたときから知っているが、決してウソをついたり、人に迷惑をかけるような()じゃなということをよく知っているから、今回の事も私や総本山に迷惑になるような事ではないだろう...」

“とか言っても、さっきはエルフです、って言っても信じてくれなかったんだよな…”

レオはそう思ったが口には出さなかった。


「伯父様、この部屋は外から立ち聞きとかされる心配はないですか?」

「それは心配ない。それはそうと、あの狼男君は文書保管所に置いたままにするのかね?私もあんな恰好をした者を連れて歩くわけにはいかんので、あそこに置いてきたのだが…」

「あ、それはだいじょうぶです。あとでもといた場所へもどってスタンバイするように言ってますから。」

「そうか。」


 それから半時ほどかけて、地下の聖堂や書庫、それに聖壇のことを話した。(武具庫のことはいまはまだ伏せておくことにしている)

「まさか、そんな通路や遺跡が神殿の地下にあったなんて...」

「もし、伯父様さえよろしければ、今からその聖堂へご案内しますが...」

「...」

「あそこの書庫には、たぶん叔父さまも見たことがない文献や資料がたくさんあると思いますよ。このような石板も高く積み重ねられていましたし」

「い、行く!今からすぐ行こう!」



 30分後、一行は地下の聖堂に来ていた。

フェルナンド大神官は文書保管所の壁に仕掛けられた隠し扉に驚き、地下通路の立派さに仰天し、そして今、眼前に見る聖堂の規模と聖壇に腰を抜かしそうになった。

「こ、このような立派な聖堂が遺跡の下にあったとは…!」

と言ってしばし絶句して見ていた。


 それから聖壇に駆け寄り、階段を上って魔法陣が一面に描かれているのを見て、首を右に曲げ、左に曲げ、それが何を意味するのか理解しようとしていた。

「伯父様。これは魔法陣というものです」

「やはりそうか!古い魔術書には記載されているのを見たことがあるが、誰でも知っているように教会は魔術というものを認めておらんから、そういう類の書物は禁書とされており、先ほどの文書保管所にも何冊かあるのはあるのだが、そういうわけで神職にあるものと言えど、公然と読んだり、研究すたりすることは憚れておるのだ。」

「そして、これがアイミさんたちがやって来た別世界への扉でもあるのです。」

「!」

思わず魔法陣の描いてある壁から数歩下がる大神官。


「こ、これが別世界へと通じる扉?!」

「私たちもここから別世界へ行ってもどって来たんですよ。アイミさんたちを連れて。」

「お、おまえたち全員が… カイオ王子もレオも、この扉  ―には全然見えんが― を使って別世界へ行き、そこのエルフの()と狼男さんを連れてもどって来たと!…」

やはり大人からしたら信じがたいことのようだ。


(やれやれ... どうも大人は世話が焼けるわね...)

そう言ってレオが首から下げていた青色で薄い陶器製のペンダントから飛び出したのは守護天使のシーノだった。

金色の光を輝かせながら聖壇の前にいた全員の周囲を数回飛び回ると、フェルナンド大神官の目と鼻の先でホバリングして止まった。


 最初は何が何だかわからなかった大神官だったが、目の前で羽をブンブンとしながらホバリングしているもの― 最初、虫か何かと思ったものが ― 薄青いキトンをまとった金髪の顔の白い女性の顔をしていると知って(ふたたび、いや、みたびか)仰天した。

 

「こ、これは天使様?」

「そうです、フェルナンド大神官さま。この方はオレの守護天使シーノさんです。」

「しゅ、守護天使?それもレオの?」

(さーて、フェルナンド大神官さんを完全に納得させ、味方につけるには少し荒療法を行った方が手っ取り早いようね)

(なにをする気だい、シーノ?)

(ここは我らが創造主エタナールさまのお出ましでしょう!)

(えっ、エタナールさんを呼んじゃうの?)


 その問いには答えず、シーノはするすると数メートル上がると、その輝きを急に増した。

 それは、ゲートを通ったときに見た、みんなをやさしく包むような光ではなく、まるでミニ太陽かと思われるような強烈な光だった。

 そして、その強烈な光がおさまった時、シーノの前の空中には白く半透明のような色をしたロングスリーブのドレスのような着物を着た、ウエストあたりまであるブロンドの髪をもった美女― いや、創造主エタナール様がいた。


「お久しぶりですね。レオさんでしたね、テラでのお名前は。」

「エタナールさん、お久しぶりだけど、今度は何をしに来たの?」

「ええ、シーノがちょっと手を焼いているようだから、お手伝いに来ましたの。これでも結構忙しいから、こういう事にはあまり呼んで欲しくはないんだけど、ほかならぬレオさんのためですから...」

「お手伝いって?」

「そこのフェルナンド大神官さんとやらの脳みそを少々改造しますのよ...」

「えーっ、大神官さまの脳を改造するゥ?」

「そんなに驚かなくても、何も大神官の頭蓋骨を切ったり貼ったりはしないからだいじょうぶですわ。ちょっと“信頼”と“理解”を植えつけるだけ。これはシーノには無理ですから」

そういうと、エタナールはいつの間に出したのか右手にもっていた短い白色のスティックで、“コン”と軽くフェルナンド大神官の頭を軽く叩いた。


「さあ、これでだいじょうぶよ。そうそう、シーノちゃん」

「ありがとうございます、エタナールさま。えっ、何でしょうか?」

「どうせその三人の冒険の旅立ちには、親の承認が必要でしょうから、近日中に親御さんたちを集めてちょうだい。同じように脳みそを改造して、“信頼”と“理解”を植えつけますから」

「何から何まで、ありがとうございます。そのようにいたします!」

することだけすると、エタナールは徐々に姿が薄くなって消えていった。

「レオさん... がんばってねぇ... 応援していますからぁ...」


最後に切れ切れに創造主さまのエールが遠くから聞こえた。



さすが創造主さま、すごいですね!


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