2-10 エルフ少女の魔術スキル
レオだけ魔法が使えないのは、まだレベル10に達していないからだとシーノから言われ、しょげてしまったレオだった。
しかし、この先がんばって魔族を倒せば、レベルアップして魔法をおぼえれるとわかって安心をすると同時にヤル気満々にもなったレオだった。
イザベルの経験値が高いのは、やはりミィテラの世界の聖堂の森で魔族兵士を多くやっつけたからだそうだ。
ステータス表示は、三人の勇者たちだけでなく、ミィテラの世界の戦士たち、アイミとギブでも表示できるようにシーノはしてくれた。
ちなみに、アイミのステータスは
《アイミ:ステータス》
装備:
E メイス
E ブレーストプレート
E エルフの戦闘服
E エルフのブーツ
E リュックサック
呪文:回復魔法:〈治癒〉止血+癒合+骨肉復元(中級)、HP回復(中級)
支援魔法:意気軒昂(中級)、攻撃力増幅(中級)、防御力増幅(中級)
ステルス魔法
解毒魔法:解毒(中級)、動物&虫との意思伝達能力
攻撃魔法: 光属(‐)、水属性(‐)、地属性(‐)、風属性(‐)、光属性(‐)
雷(‐)無属性(‐)
防御魔法: 対物理攻撃バリアー、対魔法攻撃バリアー
特技:魔法解析 魔法模倣
《ギブ:ステータス》
装備:
E 鉄の鉤爪
E 迷彩服
E 頑丈なブーツ
E リュックサック
特技:威嚇、跳躍、オオカミへの変身攻撃
やはり、ミィテラでのこれまでの戦いで戦闘経験を積んできたからだろう、アイミもギブもかなりハイレベルだし、とくにエルフ美少女アイミのHP、MPの多さはレオたちを驚かせた。
そして使える呪文の種類がハンパない。
回復魔法の治癒・HP回復は中級だし、支援魔法―いわゆるバフとかデバフとか言われているものも全て中級レベルだ。攻撃魔法はまだ習得してないのか、支援魔法専門なのかわからないが、後方支援としてこれほど心強い味方はいないだろう。
ギブの攻撃力(力)と敏捷性もかなりハイレベルだ。近接戦では敵にとって手ごわい相手となるだろう。
ステータスについての説明と確認が一応すむと、結局、先ほどの課題にもどった。
“世界を救う勇者としての役割”をどうすれば確実に果たせるかだ。
「どのみち、その役割を果たすのは自分たちであることは間違いないとして、ミィテラの世界の状況はまったく絶望的ではないということを前提に、少し整理してみましょう」
イザベルが状況分析の音頭を取る。
「一つ。私たちテラの勇者3人には、強力な身体能力を持つレオと、これから成長して強くなると思われる私とカイオがいる。そして、先ほどの魔軍との戦闘でもわかったと思うけど、スタートしたばかりにも関わらず、私たちの戦闘能力は極めて高いということ― これから先、きっともっと強い魔物が出てくるはずだから、その時に、いえ、それまでに、どれだけ戦闘能力を上げれるかも重要なんだけど。
二つ。私たちがここの武具庫で見つけた武器は想像以上の威力をもっているわ!」
(そうよ。あれは“伝説の宝具”なの)
シーノが注釈を加え、レオが伝える。
「私たちが選んだ武器が“伝説の武器”なら、防具も私たちを守ることのできる“伝説の防具”みたいなのもあるはずよ。それを見つけて装備すること」
「つまり、しっかり攻め、しっかり守るということだな?」
カイオがフォローする。
「そう。そして三つ目。
ミィテラの同盟国軍は、決して絶望的な状況にないということ。
これは大事なことよ。魔王ルゾードが用意周到に計画した世界征服作戦は、緒戦では同盟国側の油断もあり、不意を突かれたこともあって大きく攻め込まれ、いくつかの同盟国の首都も陥落され、エルフの聖域も占領されてしまったけど、まだまだ希望を捨てるには早いわ。
鬼人国やドワーフ国は魔軍を押し返しつつあるというし、魔王が用意周到に戦争を計画したように、ミィテラの同盟国側も緻密な反攻作戦を立案して、それで戦いの行方を変えることができればミィテラの世界は救われる ― 少し楽観的すぎる考えかも知れないけど」
「いや、よくまとめているし、的確な状況判断だと思うよ。さすがイザベルだ、見事と言うしかない」とカイオ。
「ほんとうだ。イザベル、お前本当に17歳か? 頭良すぎるだろう? 10歳くらいサバ読んでいるんじゃないか?」
称賛すべきところを“オバン”と言わんばかりの言葉を発したレオは、次の瞬間100倍力のイザベルの速攻ひじ鉄を食らって痛さのあまりうずくまってしまった。
まあ、イザベルは100倍力ではないので怒り100倍とでも言っておこうか。
何でレオがひじ鉄を食らったか、人間語がわからないアイミとギブには「?」だったが、レオの口調と怒って速攻でひじ鉄を食らわしたイザベルを見て、何となく状況を飲み込めたようだ。
(レオ、いつまでもうずくまってないで- 自業自得だと思うけど。レディには言ってはならないことがあるのよ。おぼえておきなさい- これまでイザベルが話したことをアイミたちに説明してあげなさい!)
レオが脇腹をさすりながら、イザベルの状況判断を…
“えっ、オレってエルフ語、話せたっけ?”と気がついた。
「いやいやいや、それは無理でしょ、シーノちゃん。オレはまだエルフ語話せないし…」
(じゃあ、おぼえなさい。私がこれからイザベルの説明をエルフ語で話すから、それをマネて話しなさい)
「えーっ、ムリ、ムリ、ムリ!それはイザベルにやらせて!」
(レオ...)
「はい?」
(あなたの持つ100倍能力は、学習能力も100倍なのよ。だから、ふつうであれば数ヶ月かかる外国語習得も一週間もあれば結構おぼえるの)
「えーっ、そうなの? 以前“記憶を思い出す能力は100倍じゃない”って言ってたから、学習能力だけアップしても意味ないんじゃない?」
(ツベコベ言わずに、言われたとおりにやりなさい!)
守護天使の電撃が落ちそうになったので、あわてて言われるとおりにする。
「えー、今、イザベルが言ったことをエルフ語で説明すると…
… △〇■X …
…
…
… ◎◇▽□●▲… ということです」
汗たらたらでレオがエルフ語でなんとか話す。
「〇 ▲ □ ◇ ● ■ ▽ △ !」アイミが発言する。
「アイミさんが、たいへん鋭く的確な状況判断だと言っています」
イザベルがアイミの言葉を訳して伝える。
「だから、私たちがやらなければならないことは、その大反攻作戦のキッカケを作るか、キッカケを作る手助けをすることじゃないかな、と思っているの。
そう考えればシーノちゃんが私たちに言った“果たさなければいけない大事な役割”、“世界を救うという役割”という言葉の意味がわかるような気がすると思うんだけど」
今度はレオがシーノの助けを借りてアイミのためにエルフ語へ翻訳をする。
「うん、うん、ボクもそう思うよ!」
「オレも思う!」
「私たちも、あなたたちには“神からあたえられた重要な使命”があると思います」
アイミがエルフ語で言った。




