2-09 新ステータス
間一髪で魔軍の追っ手から逃れることができたレオたち。
アイミもギブもテラの世界は初めてです。
さあ、どんな展開がテラで待っているでしょう?
間一髪でテラにもどったのはいいが、地下の聖堂にもどったとたんにカイオもイザベルも念話が使えなくなったようだ。
二人ともシーノが何かを言っているらしいことはわかっているが、頭の上に「?」マークをつけていた。
(レオ、早く二人に伝えてあげて!)
せかされてシーノの言葉を伝えるレオ。
レオが、シーノが遮光バリアーを使って光を出さないようにしたことを伝える。
「じゃあ、一安心ね」
「さすがシーノちゃん、たよりになる守護天使さんだね!」
「さて。で、これからどうするかだな。」
当然の質問をカイオがみんなにする。
「そうだな... アイミちゃんたちを保護することと、もっとあちらの世界の事情というか情報を聴かなければならないと思うし、できれば誰か信用のおける大人に相談とかもできたらいいと思うんだけど...」
レオが続ける。
やはりここは一度じっくり話し合って、今後の方針を決めることが重要だとレオは思っていた。
「そうだな… ミィテラの世界の事情をアイミちゃんから聞いた限りでは、出来ることなら手助けしてあげたいが、オレたち3人だけじゃあどれだけ力になれるかもわからないし…」
「申し訳ありません。あなたたちを私たちの問題に巻き込んでしまって…」
アイミが申し訳なさそうに頭を下げ、ギブも耳を下げ頭を下げる。
「でも、私たちは、“世界を救うという役割”というレオの言葉というか、彼の守護天使であるシーノちゃんのミッションクエストを信じて行動をとり、ミィテラの世界へ飛び込んだわけでしょう?
アイミちゃんとギブ君を助けたのはその行動の結果よ。
それを冒険がスタートしたとたんに、問題が大きいからって怯んで尻込みしているようでは“勇者”の名折れよ。だったら、最初から何もしなかった方がいいって言うもんだわ!」
イザベルの理性的で反論の余地のない説得に何も言えないカイオとレオ。
(さすがイザベル。私が見込んだだけはあるわ。私がレオを通じて言ったように、これはあなたたちにしかできない役割 ― 使命と言い換えてもいいことだけど、ミィテラの世界を破滅から救えるかどうかは、あなたたちの働き次第と言っても過言ではないわ)
守護天使シーノが真剣な顔で言った。
それをレオが伝える。イザベルが褒められて恥ずかしげに少し頬を染めて下を向く。
(それに、ミィテラの世界での冒険はリスクと悩みとストレスだけではないわ。レオはもう知っているけど、あなたたちもベネフィットを享受するから、冒険がより楽しくなるのよ)
それを伝えながら、レオは“はて、ベネフィットって何だっけ? もしかして100倍パワーのことか?”と考えたが、ついでシーノが言った言葉でそれが明らかになった。
(それは、戦い、敵を倒すことで経験値が上がり、さまざまな能力や人知を超えた力が覚醒し、技も習得でき、戦うにつれて次第に自分が強くなっていくということよ!)
「そ、それはどういうことですか?」
「戦闘能力が上がるってこと、シーノちゃん?」
レオの通訳を聞いたカイオ殿とイザベルが訊く。
(レオ、みんなに“ステータス表示”と念じるように言って)
「えーっ、これなに?」
「な、なんだ、急に目の前におかしな文字や数字が現れたぞ!」
カイオもイザベルも目を見開いている。
そこで、すでにそのことを“よく知っている”レオは、それぞれの文字と数字が意味するところを説明した。
「しかし... ここにはレベルという文字のほかにはHPとかMPとかいう表示しか見えないんだが…」
「それに、STR、DEX、VIT、INT、AGI、LUKなんてのもあるんだけど、これは何を意味するの?」
「えっ、ちょっと待って!」
驚いたレオはあわてて自分のステータスを開けてみる。
《レオ:ステータス》
と表示されている!
職業が“漁師の息子”から“勇者のかけだし”に変わっている。
それにレベルも5に上がっている。たぶん、ミィテラの聖堂近くの森で魔族たちと戦ったためだろう。
しかし、ステータスの表示内容が変わっていた!
「シーノ、これは最初に見たステータスとはまったく違うじゃないか?!」叫ぶレオ。
(ええ、あの時はサービスでレオを喜ばせようと思って、レオが大ファンだったDK7そっくりのステータス表示にしてあげたのよ。で、これからは本格的なアバンチュールなので、ステータス表示も本格的にしたの。コホン!)
そして、“どお、私はサービス精神旺盛な守護天使でしょ? さあ、褒めて、褒めて”と言わんばかりの得意顔でレオに迫るのだった。
(って... コホン!じゃないだろ?)
(なにか言った?)
「いや、何でもない、何でもない!」
《装備》を見てみると
E フラガラッハの剣、ショートソード
破れたウールの服[かなり傷んでいる]
E 破れたウールの帽子[かなり傷んでいる]
E 革のくつ[少し傷んでいる]
と表示されていた。
“ああ、この剣はフラガラッハという名前なんだな”
レオは初めて自分が選んだ剣の名前を知った。
帽子は先ほどの着地失敗でアタマから森の中に突っ込み、地面に穴を開けたときに破れたようだ。
“これはもう使い物にならないな。代わりのもの見つけなきゃ”とレオは思った。
そして、説明を待っているカイオとイザベルにHP が体力、MPが魔力、STRが力などとステータスの記号の意味を説明し、戦うことで経験値を積めばレベルアップし、これらのステータスがさらに上がり強くなるし、それぞれの能力も増えるし、アップすると説明した。
「なんかよくわからないなぁ…」
「こんなもの必要なの?」
(戦闘能力が上がると一目瞭然でわかるし、《魔法》を習得できたらすぐ確認できるというメリットがあるからとても便利なものよ。使い慣れたら、これからの冒険に欠かせないものとなるし、自分の成長が楽しくなるわ)
シーノの補足説明をレオが伝える。
「で、カイオとイザベルのステータスはどれくらいなんだ?」
(ちょっと待って。おたがいにステータスを見れるようにするから……… はい、オーケー。どう?)
レオが見ているカイオとイザベルの上方にステータスが現れた。
《カイオ:ステータス》
装備:
E 聖槍 ガエ・ボルガ
E 剣 ショートソード
E 貴族の服
E 貴族の帽子
E 貴族のブーツ
魔法 土属性:
《イザベル:ステータス》
装備:
E 弓 ガンデーヴァ
E 剣 ショートソード
E 令嬢の服(男装)
E 令嬢の帽子(男装)
E 令嬢のブーツ
魔法 火属性:ファイアーアロー、ビッグファイア
「えーっ、なんでイザベルのステータスがダントツなんだ~?!」
「イザベル、メチャレベルアップしてる~!なんでオレだけ魔法をまだ使えな~い!?」
驚きと羨望の声が男性陣からあがった。
いよいよゲームっぽくなって来ました。




